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留年になったので異世界生活することにしました  作者: 萌えがみ
第4章 うさぎさんと天才?ちょっと影が薄い魔法使い
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番外編 うさぎさんと出会う前の天才少女 その2

【私はいたって慎重派の魔法使いです】


 街の外れにある常闇の洞窟。

 林の中にある岩壁は、静寂を運んでくる風とともになにかを待っているかのように佇んでいました。

 周りの木より少し高いくらいの程度。

 特質すべき箇所はあまりなく、大理石の意匠が少々埋め込んであるくらいです。


「薄暗くて気味悪いですね。初級魔法使い殺しモンスターがでないといいのですが」


 そこに試練の魔洞窟はありました。

 奥からなにやら物音がしますがいったいなんなのでしょう。

 長い間、手入れされていないからか、苔があちらこちらと生えていますけれど。

……グリモアには『若いグリモア人には旅をさせろ』なんて言葉がありますが、こんなに踏み出すのが大変だなんて……これも冒険者になる第一歩というわけですか、ふわわ。


「明かりが欲しいですね灯しますか」


 暗がりなので、炎魔法で光源代わりに辺りを灯します。

 道は曲折な通りになっており、規則性は全くありませんでした。


 間に宝箱は……ない。

 強力な武器の1つや2ぐらい欲しかったのですが。


 迷路を歩いているような感覚。あまり大きな声では言えませんが、つまづいたら泣いてしまいそうな。


「帰りたい。なぜこの洞窟に向かわせたんですかね」


 少々納得がいかず愚痴をこぼす。

 歩一歩を慎重に踏み出しながら。

 汗がわずかに滴ると、恐怖も同時に込み上げてきました。


 そういえば、母に昔言われたことがあります。

 人は恐怖を一度感じるとそれを緩和させようとどこかにすがりたくなりやすいと。


「こ、怖がってなんかいません……よ。私はグリモア(いち)のグリモワールになる魔法使いですから!」


 口を濁らせながらも、自分の“目標”という夢をねじ曲げず前進。

 こんな暗い場所から早く出て、日の下を歩きたい気分。うぅ怖い。


「? 奥から小さな物陰……あれは」


 すると奥から背中に棘を生やしたネズミ、ハリマウスが現れました。


 1匹、2匹……いえよく見れば隠れている個体も何匹かいます。

 眼前とそして四方には、合計4匹。


 得意げに柔らかい体を丸めて私の方へ猛突進。

 棘は数千本も及ぶらしく、負傷の度合いは油断すれば即死です。


 高速回転する棘の体。


「なんのこれしきッ」


 さすがに、いろんな魔法が使える私でも、高速移動する相手に対して魔法を撃つタイミングがありません。

 違う方向から立て続けにくるので、まとめて処理するのは極めて困難。

 体も私の足ぐらいの高さしかない小型なモンスターなため、狙うのが苦行です。

 動体視力を上げる魔法だなんて、童話に出てくる創作の魔法です。


「シャアァッ!」


 すかさず回避し、相手の様子を伺います。

 進路を変えて再び襲いかかってきますが、岩壁に隠れて敵の目に入らない場所に隠れます。


「フレイア、フレイア! なかなか当たらない……」


 身を潜め、壁側から小さな魔力の砲弾を火の弾のように出して放ち応戦しました。


 しかし威力は貧弱。

 軽微な火力しか持たない私の魔法は、ことごとく弾きかき消されていきます。

 壁として使っていた岩も攻撃によってほとんど破壊されてしまい、気づけば全身を覆い隠す物はもうあたりにはほとんど残っていませんでした。


「歯応えありませんね、これでは」


 速度は敵のほうが上、といったところでしょうか。

 この局面を突破するには、今より強力な魔法を使わないといけません。


 ならどうしろとなるわけですが、この地面を荒らしに荒らすハリマウスには、決定的な弱点があります。


 それは。


「……動き回りすぎましたね」


 岩壁と周りにあった岩を破壊し回るハリマウス達は、動き回りすぎたせいでヘロヘロになり、その場で立ちながら混乱してしまいました。


 ハリマウスは回転技を得意とするモンスターですが、この通り時間を稼いで回避し続けば、敵に隙を作ってしまう愚か者なのです。

 なのでこうして近くにあった岩の後ろで、ひたすら回避し続けたのは正解でした。


 卑怯ですって? 別に勝てれば問題ないんじゃないですか、多分。


 さて、今のうちに動きを止めておきますか。

 杖を軽く振り。


「ストリプ!」


 動きを止める魔法を使い、敵の動きを封じます。

 もがき苦しそうにうなるハリマウスはなんだか苦しそうではありますが、倒します。


「ザオザブラ!」


 水にとても弱いので水魔法で退治します。

 私が呪文を唱えると、周囲から巨大な水流が現れ徐々に氾濫(はんらん)していきます。


 水流によって、前にいるハリマウスをたちまち飲み込まれました。

 ハリマウスの姿はどこへ。

 あれぐらいの威力を持つ魔法なら、小型のモンスターは一掃できたでしょう。

 倒したと確信した私は安堵。


「ふう。手強い敵が多いですね」


 噂には聞いていましたが、ここまでモンスターが強いとは思いもしませんでした。

 今まで戦ってきたモンスターはどれも魔法の一撃を放てば、すぐに倒せる弱小モンスターばかりでしたが、ここのモンスターは格が違います。


 一定の動きをするモンスターは、他の攻撃を受け付けない……先ほど倒したハリマウスもその1体です。……モンスターの知識は、ある程度学校で知っていたので対処できたのですがこの場所に住む敵は強敵揃いです。

 暗礁(あんしょう)の巣窟と言っても過言ではないでしょう。


「さて次は……うぅ手強そうな敵がまた」


 臆せず前に進んで行くとまたモンスターが私の前に。

 巨大な体を持つ巨人型モンスター。【ギガント】が現れました。

 私の体躯より遙かに大きいその巨体は、体の小さい私にとっては非常に不利ですのでこのままでは苦戦しそう。


「……これではまるで修羅場じゃないですか」


 手に持つ棍棒が非常に脅威で、しくじりでもすれば一発で死んでしまうこと間違いなしです。

 大きな体で向かってくるギガント相手に私は、巨大な炎魔法で応戦します。


「……はっ!」


 騒音と共に巻き起こる灼熱。焼き焦がすがごとく燃え尽きそうにないその炎はみるみる内にギガントの体を包み込んでいきました。


「これで……? ……倒せていない」


 ですが軽傷でした。……レベル差があるかもしれませんがこれは手強いですね。

 こうなったらあれを使いましょう。

 私は呪文を唱え、目の前に2つの魔方陣を出現させました。

 その中から、禍々しい異彩を放った悪魔2体が現れます。


「……これならどうですか。他頼りにはなりますが!」


 召喚魔術という、習得難易度が極めて高い魔法です。……好きな場所から一時的に念じたモンスターを自分の従者にして戦わせる汎用性の高い魔法です。

 いくら私が非力とはいえ、この魔法で強力なモンスターを呼び出せば苦戦を強いられることはまずないです。

 ……召喚した悪魔二体に指示を出します。


「あそこにいるギガントを倒してください。貧弱な私だと長丁場になりかねないので」


 私が貧弱云々はさておき。


 指さした方向にいるギガント。

 その目標を確認した悪魔2体は私が指示を出すと、矛先をそちらに向けて攻撃をしかけます。

 謎の混沌魔弾を作り出し、それを敵に放ちます。

 黒いあの魔法……あれは。


「……ッ!」


 漆黒の巨大な弾が命中すると、ギガントはかつてない悲鳴を上げます。

 そして私に手を差し伸ばす様子をみせますが、力及ばずそのまま力尽きました。

 恐らくこの2体が放ったのは、即死魔法でしょう。


「ざ、ざまぁないですねぇ。さすがです」


 レベル差が大きく開いているので効果覿面です。

 ひとまず、手伝ってくれた2体の悪魔にお礼を言って、元いた場所に返してあげました。

 これがキャッチアンドリリース。……違うような気もしますが。


☾ ☾ ☾


【強行突破。不正じゃないですよ正当な手段です】


 奥に歩みを進め、なにやら大部屋がありそうな巨大な扉がありました。

 いかにも、古代の財宝などが隠されていそうな扉ですが、この奥にいったいなにが。


 陳腐で一見ビクともしなさそうな大扉ですが、開けてみましょうか。


「…………ふんぎぃ! ふんぎぃぃぃ! …………ダメです不可抗力すぎます」


 力一杯に扉を開けようとしましたが、びくともしません。

 わかっていたものの、つい無意識に手で触れたくなるのが人の癖。とりあえず試してみようといった魂胆です。


「おや、あれは……鍵穴……ですかね?」


 上をよく見てみると、巨大な鍵穴が。

 なるほど。鍵で開ける仕組みの扉みたいですね。

 他に穴は見当たらないので1か所だけのようですが。

 道中そのような鍵はどこにも。


「さてどうしましょうか」


 このまま取りにいくのもいいんですが、先ほどの戦闘でだいぶ魔力を使ってしまったので、極力魔法を使うのは避けたいです。

 使えるとしたら、戦闘以外で使える魔法ですね。


 おや、だったらこの魔法なら。


 扉に念じるように魔法を放ちます。すると呼応したかのように扉が光り、重々しい音とともに徐々に両扉が開いていきます。

 ズズっと物音を立てながら部屋の中が見えていき。


「ふう。とりあえず難所は突破できましたね、まさかこの魔法を使う日が来るとは想定外です」


 今のは鍵のかかっている対象物を無理矢理開ける、少し卑怯な魔法です。

 例えば鍵のかかっている扉や宝箱やお金の入っている金庫ですら開けられちゃうんです。


「少し使おうかと、迷いどころではありましたが」


 ……あぁでもこの魔法、悪用厳禁にされている魔法なので街にある、硬貨預かり所では決して使ってはいけないよう定められています。


 もしも誤って使うとグリモア協会の人に捕まり、牢屋にいれられていしまう危険性もあります。

 使う際は慎重に。


 とはいえ、金銭関係の物に対しては背後にグリモア教会の存在がありますから容易に使う人なんていそうにないですけれど。


「あまり用途のない魔法がこんなところで役立つとは……魔法はやはり応用に応用を重ねるべき……ですね」


 はあ早く本格的な冒険に出かけたいですね。お日様が恋しい。

 部屋の中へ歩みを進め、いよいよ目的の最深部へ。


「広々としていますね、これといって不気味な仕掛けは見当たらないですが」


 物音ひとつすらしない大きめの部屋でした。

 注意を怠らず、辺りを見回しながら歩一歩進みます。

 すると、正面にあるものがひとつぽつんと。


「? あれは」


 宝箱が1つ。

 警備すらない空間で露骨に置いてあったのです。


「盗まれることを視野に入れなかったのでしょうか。いくら扉が厳重とはいえ、部屋にも防犯対策はしておくべきだと思いますが」


 慎重にそこへ進んで、距離を徐々に縮めていきます。あともうちょっと。


 そばまでくると、年季が入った古めかしい宝箱だと見てわかりました。

 さあ中身はいったいなにか。


「……これが、お母さんの言っていた品物なんでしょうか? ……いったいなにが」


 おそらくこの中に、お母さんからの贈り物が。


 その宝箱を開けるとそこから。


\プシュぅぅぅぅぅ/


「……ゴホゴホ⁉ なんですか……こ、この煙は」


 モヤモヤとした煙が出てきて、視界が遮られる。


 しばらくして。

 視界が再び開けてくると、目前に白い魔法の杖がありました。


 白いて長めな魔法使い用の杖で、先端には発光する淡い色をした、丸い宝石が付いています。

 どうやら母は私に最高のプレゼントをくれたみたいでした。


「……これが例の品物なのでしょうか」


 そういえば、学校で使っていた杖しか持っていませんでしたね。


「まさか、こんな形で杖が手に入るなんて。お母さんは気前がいいですね」


 いつ母はこのダンジョンに、杖を入れておいたのか知りませんがありがたく頂いておきます。

……旅から帰ったらお礼でも言っておきましょうか。


 杖を片手に持ち振りかざしてみました。


 天井に杖を振りかざして。

 おぉ魔力のみなぎりを感じますね。


「お、重っぷ! ……なりますからね最強の魔法使いに!」


 意気込みを入れ一喝。

 かつてない以上の力を感じてきます。


「さてそろそろ行きましょうか、私の冒険の始まりです!」


 部屋を出て、来た道に戻ります。

 ある程度道は道中紙に記録していたので、進路は完璧なはずです。


 光差す出口付近にて。

 周囲には、多種に渡るモンスターがたくさんいました。

 滑空するモンスターから、亜人系のモンスターまで。これはまた手強そう。


「うーん、1人でいけますかねこれ。四方塞がれて滅多打ちなんかにされたり……し、しっかりしましょうす、ステシア!(バシッ)」


 頬を叩いて渇を入れる。

 道中待ち構える数々のモンスターはどれも手強そうな。


 歩く最中モンスターの前に勇躍し前に出て私は身構えます。

 さて新しく手に入れた(譲り受けた物でもありますが)杖の初のお披露目といきましょうか


「さあ新しい力をつけた私の力をとくと見よ!」


 どこでもかかってきてください。

 私が長年磨き上げた最強魔法で倒してあげますよ。


……って忘れてました。先生に無理な魔力の使いすぎはよくないと学校で習ったではないですか。

 なら慎重に魔法は使わないとです…………ね?


 と意気込んでいたのも束の間。

 私が抱いていた胸踊る感情をかき消すようなことが目の前に映る。


「……?」


 自然と違和感を覚え、その場に止まり思わず棒立ちしてしまいました。


 戦おうとしたら数いるモンスター達は、私に襲っては来ず。

 

 たった。たった。たった。


 外から木の葉が1枚こちらに吹いてきました。


 まるで、過ぎ去っていく風にでもなったかのような気分。

 あのすみません学校に遅刻して、授業中こっそりと教室に忍び込んで、授業を受けようとする生徒みたいな気持ちにさせないでくれません?


 気づいてもらえなかったらどうする。


 それはそうと呆気かなにかしら囚われた私は、弱々しい息とともに声を出し。

 


「………………ゑ?」


 モンスターはこちらに見向きもしません。

 私! 私はここにいますよ‼

 敵さん勝負しましょうよぉ〰︎〰︎! たしかに私は背が小さい魔法使いですけど実力に関しては誰にも負けない腕ですよ⁉︎


「あ、あの~」


 しかしこちらには気にも留めず。

 まるで私が見えていないような素振りです。


 顔を掻きながらあくびをするモンスター。昼寝をするモンスターといろいろいますが、どのモンスターも私に振り向こうともせず。試しに前に出てみますが……反応なし。


「…………どうして気づかないのでしょうか。まるで見向きもしないじゃないですか」


 そういえば先ほどの白い煙……あれはいったい。あれと何か関係があるのでは。

 いたたまれない気持ちを抱えながら私は、その場で戦う気力が起きず酷く落胆しながらその場を脱兎のごとく去っていくのでした。


 洞窟を後にした私は、考えに思いふけっていると、あることを思い浮かぶのでした。


「もしかして……あの煙……存在が薄くなる……煙だったのでは?」


 と。

 公算はありませんけど、頭の片隅に可能性のひとつとして考えに至りました。

 ただの憶測ですけれど、可能性はありそうな気がして。


 え、どうしてそんな考えが出てきたのかって?

 いえ、これは()()使()()としてのなんとなくな勘です。


 この時は、単なる妄想にすぎませんでした。


 しかし私が次、旅に出てから初めて訪れた街でのこと。


☾ ☾ ☾


【無視されるってなんか嫌ですよね】


 洞窟を出てすぐ近くにあった街に寄りました。

 堅固そうな巨大石壁の下の城門には、全身甲冑鎧を身にまとった門番さんが立っており、冒険者達の入国審査を行っていました。


 場所によっては入国証も必要ですが、ここは冒険者カードだけあればいけたはずです。


「ランクは不問……ふむふむ」


 念入りに各大陸にある、街やダンジョンが記された案内表を確認し推奨ランクを確認しておきます。

 条件が変わる場所もあったりするので一応……ですね。


 情報に誤りがないことを確認した私は、バッグ内を漁り始め。


「あ……ありました私の冒険者カード」


 グリモアで発行してもらった母国特製の冒険者カード。

 なるほど、ここでこれを提示しないと入れないわけですか。

 条件は"最低1人冒険者カードを持っていれば入国可"と張り紙に書いてあります。


 準備は万全ですね。

 それではいきましょう。


 街の正門におられる門番さんに話しかけ。


「あの~」


 返事なし。


「あの~」


 またまた返事なし。

 仕方なしに大声で。


「「あの~‼」」

「うわっびっくりした。……あぁ君いたんだ気づかなかったよ」


 驚いた様子を見せる門番さんは、ようやく私を認知してくれたようです。

 というかなんですかそのリアクションは。お化けが出てきて驚いたような素振りしていますけど、生きてます! ちゃんと私は生人です! なので無視するのやめてもらえますか。


「あの入って……街に入っていいですか? これ冒険者カードです」


 門番さんに冒険者カードをみせると、申し訳なさそうな顔をして。


「ほうグリモアの人か。かの魔法の実力が極めて高いっていう。……あぁ入っていいよ。でも本当に気づかなくてなんかごめん」

「……そうなんですね」


 軽い手続きを済ませ一通り入国の審査を終わらせます。


 冒険者カードの提示、年齢……職業。さまざまなことを詰問されましたが、淡々と答え応対しました。

 そして入国しようと足を踏もうとしたら門番さんが一言。


「それとつい最近妙な噂があってね。聞くかい?」

「噂?」


 思わず見返りしてしまいます。

 でもなんででしょう、やけに胸騒ぎがするような。


 何の話なのかと、彼に問い訪ね近づくと。


「ここより先に行ったところにある、試練の魔洞窟ってあるだろ? あそこの最深部には強力な魔法の杖があるのだが……それと」


 私が先ほど、行った場所ではないですか。


 え、そんなまさか。


 と思慮深く、なんとなく頭の中で想像してみるものの存外なことばかり。いや断じてありえないです、そんなことは。


 なんなんですかもったい振らないで言ってほしいです。

 いえ、それよりなんか嫌な予感がするのですが、気のせいですかね。……気のせいですよね絶対……。


「あの宝箱からは……」


()()()()()()()()()()()()()()が入っているみたいなんだが」


 え。

 ゑゑゑゑゑゑ⁉(心の叫びによる当惑)


「なんでも悪い魔法使いが悪戯目的に入れ込んだらしいんだが、なんか知らない? ……き、君大丈夫? 青ざめたような顔しているけど」

「あ、いいいいいいいえ……は、初耳ですよそんなの……たしかにグリモアの人間ですけど、あまり立ち寄らない場所ですし!」


 私は苦い顔でいえいえと答えます。

 言えない、もう入ったなんて、絶〰︎〰︎〰︎対! 言えないです。

 もう過ぎ去った後の祭り。これからどうしろと。


「くれぐれもあの洞窟には近づかないでくれよ。……その呪いのかかった煙を浴びてしまうと存在が薄くなってしまうから、国に帰るんだったら十分気をつけてくれよ」

「あ……はい。ありがとうございます」


 事後。

 完全に事後ですよこれは。……頬に汗を垂らしながら私は思いました。

 母はその武器を隠しただけでなく、あの謎仕掛けを……? 後者がその変な呪いの魔法をかけたって可能性も否定できませんが。


 むむ。わかりませんね。こんな偶然ありえない確率です。


「こ、こんな屈辱……ぐ、グリモア様、これは私に対してのどういったバツなんですか!」


 次第に旅する最中、心が折れていき気づいた頃には寡黙になってしまいました。


 誰か私の存在に気づいてよ、と呼びかけてはいるのですが……なかなか誰も認知してもらえず。

 これだと最強の魔法使いはほど遠い存在となり、そうなるのは、もっと先になるかもしれませんね。

 不安を抱きつつも、最強の魔法使いを目指す私なのでした。



「……私の冒険のスタート、初っ端からハードすぎないですか…………?」

1日遅れですこんばんは。

スーちゃん現実で言う説明書を読まないタイプの魔法使いです。

結構少女唯一パーティの中で忘れられガチなポジションですが、根は良い子ですなんですがよく忘れられやすいんですが。強力な万能魔法使えたりと戦力的には十分なのですが、不注意にも存在の薄くなる煙の入った宝箱を開けてしまい現在に至ります。追々この話は掘り下げるとして、来週からまた新しい話始まります。次章から、4人は着々とクエストを熟していく回になります。時にワイワイはしゃいだり、危険な足場を踏みしめたりで。所々またパロディを入れ込んでの会話を頑張って作っていくので、なにとぞよろしくです。では皆様、また来週おねがいします。それでは。

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