番外編 うさぎさんになる前の愛理さん その2
朝の続きです。
1話が始まる前まで経緯の話になります。
ちょっと矛盾もあるかも。
【ネットサーフィンする私はいつものこと】
翌日、今日も何気ない1日が始まった。
あいかわらず学校には行かず家でゲームに専念することにする。
いつものようにパソコンを立ち上げ、スイッターでみんなに挨拶したのち、動画サイトで好きな動画を視聴することにした。
最近は廃れていったが音MADや、TASの動画など私が見る動画のジャンルは様々だ。
「この動画急上昇中しているけど、なんかあったのかな」
動画のランキング一覧で変な動画を発見した。
『動画撮影中に黒いアイツが・・・』
サムネイルには、動画端の方にモザイクがかかった黒い物体が。
言わずもがなヤツのことだろう。……動画を再生してみると黒い虫こと、通称Gが現れ、動画投稿者の部屋を巡回し周りをうろうろと駆け巡る。
おい、投稿者後ろにいるぞ。
Gには気にも留めず、ひたすら目の前のパソコンを凝視する投稿者。……動画の編集でもしているのだろう。あ、いやこれは私もよくやっている人気のソシャゲやん。
数分後、ようやく存在に気づいた投稿者は、急に叫喚の声を上げ身構える。
狂ったように動き回るそいつを……捉えついに踏み潰す。
あれ、そういえば潰すのってよくなかった様な気が……。一通り見終わるとブラウザを一旦閉じ、他のことをする。
時間はちょうど朝の10時。愛理さんは学校行っていないからといって決してデブっちょではない。
身軽な体つきだし、他の街歩く人と見た目はあまり変わらない。
「さて、そろそろ出かけるか」
支度をして今日もゲーセンへと直行する。
今日はまた音ゲーに浸る。またこれで上がればみんなに見上げ話を持ち帰ることができるし。
というわけで今絶賛音ゲーをプレイ中であります。
昨日と同じ筐体だけど、昨日より隣に座っている客が多い。……右から1、2、3とずらり空いている席は10席中3席。……多過ぎね。
慣れた曲でことごとくと画面上に表示されるボタンを手でタッチしていくが、今日はなんか調子が悪い。
ところどころミス判定ばかりだし、……どうなっているんだこれ。はいクソ台確定。
プレイ終了後、スコアを見ると前回より下回るスコアになっていたことに疑念を抱いた。
「いやどうなっているんだよこれ、昨日はこんなことならなかったぞ」
すると隣の席のおじさんが答えてくれる。
「あ、その筐体昨日やっていたプレイヤーさんが苛立ちしてポンポン強引に叩いたんだよね。……そうしたら急に反応が悪くなっちゃって……」
この野郎。
私が帰ったあとにやった人なんだろうけど、上手くできないからといってそんな叩くことねえだろ。
プレイ料金を無駄に消費したような気がする。まあわかるよ思い通りに打てなくて苛立つことは。実況者の中にもそういう人山ほどいるし。その度に炎上してしまう人もいるけどね。
けどそこはある程度押さえて欲しいなぁ……なんて私からのこれは忠告。今度もしその音ゲーマーと出くわすことがあれば、共感を持つ同士として言っておきたいな。
「……嬢ちゃんよかったらするかい? ちょうどあと1プレイ分残っているけど」
「いやいいよ。なんかそれ聞いて今日のやる気が一気になくなったていうか」
「はっはっは……嬢ちゃんは面白い子だな。……レートいくつよ」
「ええと昨日ようやく15000行ったところ」
「せ、15000!?」
知らない人に話しかけるのはよくないって言うけどさ、私はこうしていつも隣の席に座る人と平然に話しかけている。
今まで不審な人に絡まれていないのだけれどどうしてだろう。多分ここのゲーセンに通い詰める人達が、みんな優しいからだと思う。
うん平和が一番なのはいいけどこの人達ちゃんと働いているのかな。……人のこと言えないけれど。
ゲーセンを出てホビショに足を運ぶ。
色んな二次元グッズが置いてあり、店内からはアニメの映像や挿入歌が流れている。
最近のフィギュアの造形はできがいいものばかりだが、それなりに値は張るものばかりだ。
「このストラップいいね。買っとこ」
目にとまったストラップを手に取りカートへ。品揃えいいなやっぱりこの店は。
行きつけの店なので、よくこの店舗にはくるのだがいつ来ても品揃えがいい。
大好きなアニメ、ゲームグッズを見るため立ち寄ったのだがとある箇所にぴたりと足を止めた。
「お、すげこのフィギュアあのイベントで展示されていたやつじゃん欲しいかも」
ショーケースに飾られているのは、ラノベに出てくるヒロインの1人であるルムちゃん。
短髪ショートの髪型が特徴的なキャラクターで、アニメ化した際劇中では主人公を全身全霊でフォローする姿が見受けられた。
ネットの評判もよく、そのあいらしい見た目から幅広い年齢層の人々から愛され近年数十体にも及ぶ彼女のフィギュアが製造されることとなった。
因みにこれは限定イベントで展示されていたルムちゃんのフィギュアなんだが……なぜここに。
『ルム ふゆ祭イベント限定ver. ¥35000』と書いてある。
「た、高い」
私が今日持ってきた所持金は、僅か¥3000。到底手が出せるものではない。
……名残惜しいが今日は見るだけにして……頼む次くるまでに生き残っていてくれ。
と私は彼女に無事を祈りその場を後にした。
☾ ☾ ☾
【ちょっと時々学校に行っていた時も思い出したくなる】
昼を過ぎていたので、ファミレスで食事を摂っていた。
ガラス越しの路上に映る、都会の街並みを眺めながら一望していた。
この時間帯はサラリーマンがほとんど。……学生の姿はあまり見ない。
「ふうのどかだねえ」
頬杖をつきながらその景色を見て私は時間つぶしをする。
――高校入って早々友達はできるものだと勝手に思っていた。
中学まではちゃんとできたし同じ感じでまた作れるだろうと。
でも現実はそんなに甘くなかった。
中学まで仲良かった友達は全員違う高校に行き、私はひとりぼっちになりあげく友達も全くできずそんな学校生活に飽きた私はこうして不登校生に成り果てたのだ。
いや自分も頑張ったんだよ? でも周りからは無視される一方だしあの視線が超ウザかったんだが。
母からは転校をするよう勧められるが拒否。
父からは塾に行くよう言われるがこれも拒否。
どこへ行っても私の居場所はないと思った私は、こうしてワガママなように自堕落な生活をしているのだ。
「さて、そろそろ帰るか」
昼飯を終えて帰路を進む。
この街から家までそんなにかからないため、言ってみれば近所みたいなもの。
なにも苦労することはない。
家へと帰りいつものようにゲームに没頭する。
今日もタイマンまで持ち込み私は圧勝し、勝利を手にするが周りが弱すぎてなんとも。
「ちょろちょろ」
正直今のままでいいのかと思ってはいるのだが、ゲームの道に進んだ私にそんな躊躇している暇なんてない。
来る日もネットの中に潜り込み対人戦やらで明け暮れる日々。……因みに私は苛ついて台パンするアホとは違うよ。ちゃんと1回休憩して休んでいるし。
……今朝聞いた音ゲーマーのことがそのことで頭に浮かんできたが、私の使いやすい台は明日以降みつかるだろうか心配になってきた。長年やってきた音ゲーだからなおさら。最近色々バグとかも起きているみたいだからその影響もあるかもしれない。
「さて今日も夜までやるぞ」
その日も私はゲーム三昧の1日を過ごすのだった。
また翌日。
今日は久々に母が帰ってきた。
私の部屋の前でノックする母。
重労働な仕事を両親共々やっているため半時間後にはまた職場へと行ってしまう。
休んだ方がいいのに。そんな母が私に一体何用か。
扉をゆっくり開け、母と目を合わせた。
「……今日先生から手紙が来ていたわよ。どうやら話があるみたいなんだけど。今日ぐらい行ってあげたら?」
クソ教師が何用だよ。まさか私を無理矢理にでも登校させる気か?
本当は行きたくないけど、休み中疲弊しきっている母のお願いだ。ここは素直に聞いてあげないとね。
「分かった行くよ。……だから母さんは休んで」
数時間後、私は着替え母に学校へ行くよう告げると、母はにこやかに微笑んだ。
というか制服着るの久しぶりだな。……半年ぶりかな?
着慣れない服だが、指定服なので仕方ない。
登校時間は過ぎているが遅れて学校へ着く。
そして、職員室に行き、先生に挨拶をする。
久々に来たので驚いた顔をしていたのでとてもびっくりした。
それから数分後、今度は私の嫌いな担任の教師が来て。
「おう、よく来たな。……他でもないお前の話だ」
「はいはい、聞きますよ」
余裕を出すその表情で私はそのクソ教師の話を受けることになったのだが。
しかしこの時の私は知りもしなかった。
自分が留年することになろうとは。
読んでくださりありがとうございました。
愛理って結構学校嫌っているネット廃人キャラですが、それでも値は優しいキャラではあります。
愚痴ばっかりべらべらと吐いていますが彼女はそういうキャラなのでそこのところ把握してくださるとありがたいです。
さて平日今週最後になりましたが、2話連続投稿疲れました。
遅れを取った分、頑張り投稿しましたがいかがだったでしょうか。
まだ推敲する部分は沢山ありますが、みなさんの応援を添えて頑張って書いていく所存ですのでよろしくお願いします。
1本しか出せない日もありましたがそこは気にしないでもらえると助かりますが。
さて次の更新は来週になります。
次の章はまたまた新キャラの登場です。
魔法使いキャラですがどんなキャラか楽しみに待ってくださると嬉しいです。
ではでは皆さん来週もお願いします。失礼します。




