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留年になったので異世界生活することにしました  作者: 萌えがみ
新・第2章 うさぎさん達、再始動イン大きな一帯へ
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239話 うさぎさんたち、機械軍と戦う その3

 打開の策として

スーちゃんに声をかけた。


 彼女は、敵の死角でなくなる

その寸前まで間合いを詰めた。


 距離的に1歩踏めば、見つかるのではないかと言わんばかりの境界。

 少々胸を詰まらせる心境だが。


「……物騒な鎧を身にまとっていますが、行けると思います」

「爆発系のものはやめて。

返って敵を、呼び寄せる危険があるかもだから」


 要点を簡潔に伝える。

こんな密閉された空間で、ハデな魔法を

ブッパすれば、

敵に居場所を教えるようなものだ。


 無論、

敵が、束になって押し寄せてくる

そんな恐れがあるからね。

 今は、目の前にいる2体だけを蹴散らす

だけに集中させたいから

理に適っているはず。


「……たしかに。敵に場所を教えたら元の子もありませんからね。

それではやってみます」


「本当に大丈夫でしょうか?」

「大丈夫だって、スーちゃんなら

なんとかしてくれる」

「だ、だといいわね」


 目を皿にする、

ミヤリーと私たちを後ろに、

白い帽子を目深にさせる。


そして大きく外套を

翻すと。

杖を前に振り倒し唱える。


「テンプス!」


場面が切り替わる。

わずかな煙が発生し、目に染みらせる。


おっと。

ここで「やったか?」と言うと、

フラグ回収しかねないので、

口に出すのは控えておく。


「……言われたとおり、騒ぎを立てない程度で仕留めましたよ」


「敵は……壊れていますね」


 機体は大破していた。

 頭部、両腕もろとも地面に落ち、

機能は完全停止状態。


「ありがとう、これで先に進めるな」

「……風魔法を重ねてみました。正直効くか

どうか、自信なかったのですがよかったです」

「でも結果的に倒せたことだし、よかったんじゃない?」


 敵にバレていないことを

頭の片隅に入れつつ奥へと進む。


 開かない扉もそこそことある。

なにか入るために、必要なものでもあるのか。

こういった場合、重要箇所に、

鍵となるものが隠されているものだが。


「ここも閉まっていますね。ビクともしません」

「……これは入力するものでしょうか」

「愛理さんが、ずいぶん前に言っていた

キイボウド? に似ているような気がします」


 扉の横にある入力装置。

小型のキーボードが

数字振りで配置されている。


 どうやら

入力次第ではロックを解除することが

できるみたいだ。


桁は4。


 でも肝心の暗証番号まったく、知らないのだが

どこから探せばいいのだろうか。


 すると。


「あのミヤリーさん? なに鼻を付き合わせるようにして見つめているのですか」


「……」


 私は破滅する未来しか見えなかった。

絶対、物は試しとやろうとしてる目だ。目を呉れて

まじまじと見つめているが。


「ちょっとミヤリーさん⁉︎」

「ポチポチ……これでどうよ」

「テキトーに入力すれば、なんとかなるんじゃない?」


 口角を上げて

決めたように笑うミヤリー。


「お・ま・えなぁ!」


 呆れるを通り越して、目を吊り上げる。

 コイツの無謀な行いといい

なんでいつもそうなるんだよ‼︎


「へ?」

『エラーエラー。チガイマス』


 ほらみろ、

どうなっても私は。


「大丈夫大丈夫、また入力すれば」

『防衛システム作動シマス』


ブーブー。ブーブー!


 耳がつんざくような

激しい警告音。

 赤いランプが点り警告を鳴らす。


「へ?」


 すると周囲から、機構な足音が

少しずつ近づいてくる。


 重々しいその足取りは

明らかに、こちらへと向かっていた。

 振り向くと。


「……」


(デスヨネー)


 警告音を鳴らしながら

身構える、機械兵たちが

行く手を塞いでいた。


「言わんこっちゃねぇ!

お前少し警戒心ぐらい持てよ」

「ま、まぐれよ今回運がなかっただけ」


 目を側める。

おい逃げようとすんな、逃げるが勝ち

とかそんなルールねえからな!


 通路から繰り出される

敵の攻撃。

 強靭な刃や斧

束になるほどの武器が襲ってくる。


「ストロング! からのハンマー」


 すかさずモードチェンジ。

力には力をと対抗し

ハンマーで払い。


「食らえ! ラビットクラッシュ」


 襲ってきた敵の塊に向かって、

金槌を横に向ける。

 力を蓄え、そのまま振り回し攻撃。


ドゴ──ン!


 押し倒れていく敵は

引力とともに鉄の塊となって

壊れる。


「機械だろうと油断しませんよ」


 後ろで剣を抜き

戦闘体制。

 中腰なりながらも

果敢に剣を捌いて、次々と倒していく。


「……気をつけてください、

シホさん。数はわんさかといます」

「闇雲に斬っていくだけでは」


「その、スーさんあの魔法、まだ使えますか?」


 テンプスのことか。

 さっき使った後、彼女のほうを見たら

なんともなかったが

連続ではたしていけるだろうか。


 時止め

という、敵からしたら

至極厄介な能力だが。

だいたいこういうのには、重い制約が

付きもの。


 大丈夫であってほしいけど。


「……あれ使っている間、水中呼吸している

気分になるんですよ」

「その私の持つ本には、

『5分置きに使うといい』とありましたし」


 重い制約はないものの

だいぶ体力を消耗するみたいだ。


 水中呼吸と言うのだから、

徐々に息苦しくなるイメージでいいのかな。


「そんな連チャンばっかは

難しいってことか」

「……でもどうしても

と言うのなら」


 だが私は首を横に振る。


「使うまでないよ」

「みんなで協力すれば、打開できるはず」


 んまあミヤリーのことは

一旦忘れて。


「愛理さんらしい答えです」

「ミヤリーさんいつまで、棒になって

いるんですか」

「やった張本人がサボっていたら

愛理さんにまた、なにか言われますよ」


 悪いことをしてしまったと

足を重くする彼女を、そそのかすように

語りかける。


 やっちまった

そんなことを顔に出しながらも


「んなことわかってるわよ。やれば

いいんでしょやれば」


 シホさんの横に立ち

加勢する。


 しぶしぶ答えると

自慢の剣を出し手を貸す。


「自分でやったことにはちゃーんと責任

持つんだから!」


 群がる敵を前にして

ミヤリーは持ち前の剣を振るう。


 手慣れた捌きによって

次々と倒されていく。

 守りの硬そうな相手を前にしている

というのに、いともたやすく斬り倒す。


 敵の刃が掛かろうものなら。


「ふん、残念だったわね。HPは1になっちゃうけど持ち物のおかげで死なないかっら‼︎」


 攻撃を

受け流しながらも、蹴りを力強く入れ

斬り返す。


 襲いかかってきた相手は

順番に倒れ込んでいき

体を散漫させた。


「ざまぁみなさい」


 あれ、ようやく無敵の本領発揮か。

HPが必ず1残る

この特性をうまく利用できている。


 熱でもある?

んまあ今は、そういうことは置いておこう。


「シホさん、左右からめっちゃ湧いてるよ」

「どうにかできない?」


 とはいえ後ろが手薄な

ミヤリーを放置するのもなと思った私は

左右から大量にひしめく敵を

対処するよう頼む。


「……ちょっと愛理さん、いくらなんでも

無茶すぎなのでは」


 果てしなく続くように

湧いてくる敵。

常人なら無理ゲーな話

に見えてくる。


 実際、私の着るパーカーでも

できるかどうかも少しあやしい。

 なのでここは、シホさんが適任だ。


「造作もないですよ」


 親指を立てながら見せると

少し口を歪ませた。

 見るにとても余裕そうだ。


「少し狭いですが」

「大丈夫です、なんとかなりますよ!」


 彼女の持つ剣が

眩く光ると、

それを横に線を引く

さながら剣を振った。


「はぁぁあッッ、ウルティムソード!」


 横を横断する、巨大な光の柱が敵を包み込んだ。

 左右両方から来ていた敵は

引きづられ、巻き上げられながら

遠ざかっていくと。


ドゴォーン‼︎


 遠くから耳をつんざくような

大破する音が響いた。


「……一瞬であの数を」


 目を見開きながら

呟いて。

彼女は言葉を失っていた。


「言いましたよね、大丈夫だって」

「さすがシホさん。おっとっと……ラビットスタンプ!」

「こっちもようやく終わったよ」


 仲間が戦闘を行っている間に

私も目の前にいた、敵を片付けた。


 残すは

ミヤリーのところだけか。


「ミヤリーそっちはどう?」

「大丈夫よ。あともうちょっと」


 目を注ぎながら

立ち塞がる、機械兵を相手に

力強く武器を握っていた。


 そして剣を前に突き出して

敵に対して言う。


「さて、道を開けてもらおうかしら」


 一気に攻めに行くのか。


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