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留年になったので異世界生活することにしました  作者: 萌えがみ
新・第2章 うさぎさん達、再始動イン大きな一帯へ
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235話 うさぎさんたち、エルミア城に入る その1

【金持ちに憧れるのは小坊までにしとけ】


 街中を進む。

 次第に巨大な塀が近づいてくる。


「スゲー大きさだなぁ」


 狂政の住む、

邸宅もそうだが、これはそれ以上の荘厳さを放っていた。

 尖塔は全体的に金で塗られ、

表面は全体的に白みかかった石造。


 よく見ると独特な意匠も見える。


「……圧巻ですね。私たちからしたら手の届きそうのない場所ですが」

「ですが、ここまできたら、もう引き下がるわけには」


 少し戸惑っている仲間もいるが。

城前には門兵が立ち塞がっていた。


「止まれ!」


 と手に持つ槍を交差させ、

行く手を阻んだ。

 まあデスよね。


「変な服を着ているが、なにしに来た。一般人の通行は……」


 ポケットから、メイソンじーちゃんからもらった、

通行証をみせた。


「ほい」

「その、メイソンさんから借りた物なんですけれど。これでいいですか」


 手紙ぐらいの大きさをした半紙。

 そこには、確かにエルミアの名前が記されていた。

 これが、通行所として機能するか、

まだ自信は持てないけれど。


 通れる

でいいんだよね?


「! これは。まさかメイソン殿の? ……これは失礼。彼のご友人とあれば、どうぞお入りください」


 まるで人が変わったかのように、

槍を下げ。

道を空けてくれた。


「あ、ありがとう」

「そのもし機会がありましたら、エルミア様達にもお会いになってください」


 中へと入っていく。

……一応展示室にも行きたい。

行きたいけれど。


 ここは、先に挨拶しにいくのが筋というものでは。

 でないと私はただの不届き者。

やらないとだめだよね。


「まずは最初に会いに行ったほうがいいよね」

「……ですね。そのミヤリーさん。うかつに物を壊さないでくださいね」


 床全体には高価な赤い絨毯。

長く伸びたその布は、奥へと続いている。

 所々、台座も置かれており、

花や壺。


 壁には外注で取り寄せたであろう、

名画が飾られてある。


 物色しはじめているけれど、

大丈夫か?

 スーちゃんの言うように、私もアイツが壊しそうで、

とても怖いのだ。


 いざというときは、私の能力を使って直す

のも1つの手。

 あくまでも最終手段だが。


「わかってる、わかってるって~」


 生返事な声で知ったような口ぶり。

 フラグ踏んだりしないよな。


……目の前にあった大きな階段を上る。

 王室は3階にあるみたいで、

2度に渡って、階段を上った。


 この世界にある絵

ってよくわからないけれど、絵心はあるほう

なはず。


 ゲームでよく描いてたし、価値感はわりとわかるほう。


「愛理、絵とかなんかわかるわけ?」

「なんとなく」

「なんとなくってなによ」

「こういうのはな、言葉で表せないものだってあるんだよ」

「は、なにそれ」


 呆然とした顔で、理解の追いつかない様をみせた。

 うん、バカなお前に返答した私が誤算だったわ。

永遠に迷走しとけ。


「その、絵はよくわかりませんけれど」

「とても華やかな絵の数々。いいと思いますよ」


「……私もこの色とりどりのスライム絵好きです」

「この金色のスライムっているのでしょうか」


 今のうちに、博打技でも習得しておこうかな。

 金策になるだろうし、やったほうがいい?


 いや、

そもそもまだ出会ったこともねーし。

てか本当にいるのかよ。


 と歩みを進めていたら、ようやく王室前だ。

 殺される、

 ことはさすがにないだろうが。

なるべく粗相のない程度に、空気は読んでおかないとね。


 扉の前は両開きする大扉となっている。

 重々しい見た目と、

これもまた高そうな意匠。


(どれだけ金かけてんだよ、なんだ廃課金勢か?)


 城だから、こういうのは通だと思うが。


……一拍、一呼吸をしたのち。


トン、トン。


「入りたまえ」


 ノックの後に、

優しそうな中年の声がしてきた。

 少々低めな声だったため男

なんだろうか。


「失礼しまーす」


 歩一歩、慎重に前に進む。

 両端からは、連なるように続く半円窓。

 光が差し込む外からは、

エルミアの景色が一望と映った。


 そして。

 玉座のほうにつくと。


「よくぞきた、我がエルミア王である」

「どうも(わたくし)は……」


 ぷ。

 私がなれない(わたくし)って。

 自分でも、笑いそうに。


ってみんなも私の言葉に、笑いを堪えてるのなんなの。

体を震わせているところが、

バレバレ……つーか笑うんじゃあない!


「まあまあ楽にしていいぞ」

「え、マ?」


「転換早いですね」

「……えぇいつもの愛理さんです」


 褒められているのか、

馬鹿にされているのどっちだよ。


「こほん、改めましてエルミアさんこんにちは。私は愛理。こっちはシホさん、スーちゃん、みやりん……」


 やっべ噛んじまった。


「な、なに噛んでんのよ! ちゃんといいなさい」


 ほらすぐ怒る。

 まあくどいからスルーして。


「今日はメイソンさんから、通行証借りて入ったんだけど……ちょっと見たい物があってきたんだ」

「メイソンの? ほうほう見たい物とはいったいなにがあるのだ、遠慮なしになんでも言ってみるがいい」


 なんでも。

 というワードに反応してしまったが、

我慢だ。


「ここに昔、流星石を使った武器をもらったって、聞いているんだけれど。」

「見たいんだ。いいかな?」


 エルミア王……エルミアさんは少し考え込む。

 なんだったかと、模索する様子をしていたが。

 すぐにその答えは返ってきた。


「あれか、そういえばメイソンのやつ作りおったな」

「いいぞ、1階にあるからぜひ見ていっておくれ」

「ありがとうございます、エルミアさん」


 して、会話を終え、展示室へとおもむき――。



「おぉここか」


 下のほうにあると

1階まで降りた。


 厳重そうな並べられた、

ショーケースには、伝統的な物がたくさん並べられていた。


 壁にも物騒な物から小物まで。

多種多様と並べられ。


「古めかしい感じがまたいいわね。持って帰りたい」

「だめだからな」

「ちぇ。ぶーぶー。冗談だってば」

「お前がヤラかすときは、まともなことがない」


 貴重な品々。

 しかし、約1名

部を弁えられずにいるせいか、持ち帰るとか言い出す。

 さすがおバカさん。

 油断したらこうも言って来るとは。


(目を離さないようにしないとだな)


 ずっと、広い展示室を回っていると。

幻想的で、青々と輝く剣があった。

 未発光と発光を交互に繰り返す

その輝きは。


 まるで

なにかを待っているように見えた。


(これが?)



 この世の物とは思えないくらいの

品の良さ。

 星々が、覗き込むと見えるその

模様は、

目に入った瞬間瞠目した。


「愛理さんどうして……これは?」

「……エルミアの宝刀。実物を見ると圧巻ですね」


 なんというか。

 今にでも吸い込まれそう。


 この原料が宇宙から降ってきた

というんだ。

 うかつに触りでもすれば、大地が割れそう。


 それで。

 説明はなんて書いてあるのだろう。


 ふと目をやると、読み出す前に

スーちゃんが読み上げてくれる。


『流星石によって作り出された

エルミアの宝刀』

『メルソン氏によって作られて、腕のある戦士に贈る予定だったが、重量を多く含むせいで持てず終わった剣。』

『以降、本国のエルミア家が家宝とした』


 やっぱり持てなかったんかい。

 そうなると、

ここに、どうやって運んできたのか。


 魔法使い総出

……いやまさかな。


 真相はわからないが、

とりあえず“トンデモ武器”

ってことはよくわかったぞ。


「シホさんは持てそう?」

「わかりませんけれど、頑張れば持てそう……だと思います」


 なぜ、よそ見しながら自信ないのか。


 頑張れば


と抜かして謙遜した態度を

取っているけれど、

あなた絶対持てるでしょうが。


「……」

「あの……愛理……さん?」


 眉をひそめながら、

なにやら不安がる様子。

あれ、

私なにか変なこと顔に出てた?


「な、なにさ」

「顔怖いですよ」

「えあ……そう? ごめん」


「……まあ愛理さんが思い詰めるぐらい、不思議な物ということですよね」

「現に我が故郷グリモアでも、買い取ろうとする学部の人いましたし」



 グリモア人怖っ!

 勤勉っていうのはいいこと

だけれど。

怖い

という言葉を知らないのかよ。


「それで、どうなったのかしら? スーちゃん」


 言いづらそうな顔をし、

嘆息を吐くと嫌々答えてくる。


「……はぁ。不正利用しようとグリモア教団にバレて」

「お縄になったわけですよ。その後グリモアはエルミアと条約を結んで、中大陸に流星石を持ち込むのは禁止にされましたが」


 え、それって今私やばくね

普通に所持しているんですけれど!


「じゃあ私の」

「……あぁご安心を。その後すぐ解除されましたから、今は大丈夫ですよ」


「あ,焦ったじゃんスーちゃん! 焦らさないでそういうのは早く言ってよ」


 心臓飛び出るかと思ったよ。

合間作るのやめてくれ、

心臓にちょー悪いから。



 一通り見終わると。


「一旦王様のところに戻ります?」

「あぁうんそうする」

「珍しく静かね。あんたらしくない」


 うるせーよ!

 棺桶に閉めてやるぞ。



「だったら行くぞ! ここにもう用はないし」

「うん? 怒ってる。……ちょ待ってよ」



 圧を送りながらも、

王様の元へと戻り少しの間

会話を交えた。


 うん、怒っていない。

怒ってないからね?

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