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留年になったので異世界生活することにしました  作者: 萌えがみ
新・第2章 うさぎさん達、再始動イン大きな一帯へ
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233話 うさぎさんたち、広大な大地を踏みしめて国に入る

【広い場所で迷子にならないためには団体行動を心がけよう】


 洞穴を抜けた。


「うわひっろ」


 そこには、広大な草原が遠方にまで続いている。

 並大陸がいくつか入りそうなそのスケールは。

 どれだけこの大陸が、異常なくらい。

 大きいかがわかる。


「……目の前、中央に見えるのがエルミア王国。この山岳地帯に建つ王国の中では一番大きい都市国家です」

「え、あれだけ大きいのに、他にも王国が建っているんですか?」

「そうですねあの王国を中心として」

「四方にそれぞれ1つ建っていますよ」


 巨大で大きな壁と思わせるような塀。

 リーベルの何倍あるだろうか。

 家の屋根すら少し見えるか、

見えないかわからないくらい高い。


 塀の穴には。

 強力そうな魔導砲が付けられた砲門がある。


「逆らったら、ガチで殺されそうなやつだなアレ」

「なにビビってんの? らしくない」

「う、うるせぇ。あまりの大きさに驚いたんだよ」


 職歴詐称ではたして生きて帰られるか?

 死んだら運がなかったな、

 とここで墓標が立ちそう。いや、そんなの絶対嫌だ!


「……不安なことでもあるような顔してますが。大丈夫です?」

「大丈夫」

「だとは思う」

「なぜそんな自信なさそうに答えるんですか?」


 首傾げながら、気にするよう睨まれても困るんだけど。

 むしろ。

 不安は募るばかり。スーちゃんやミヤリーが一様に見てくるが、

 なんだろう。気になって足が進まないそんな気がする。


「だってでっかいじゃんここ。私たちの住んでいる場所とでは天と地の差っていうか」

「それは激しく同意しますよ愛理さん。まあでも大丈夫ですよ、いざというときは私が魔法を使ってあげるので」

「フォローしているの? それとも馬鹿にしているのスーちゃん」

「ご想像までに」


 焦らすか。


「私もなんとなくわかる気がする。例え魔の手が襲ってきても、あの大砲で即座に倒せそうじゃない?」

「ならお前まず特攻してきてよ。それで安全確認したらいくわ」

「あのね愛理、だから私を実験台みたいに扱わないでちょーだい!」


 手を下に伸ばし。

 少々怒り気味なミヤリー。

 ふはは。なんとでも言うがいい。

 犠牲を払わないと、勝利を手にすることはできんぞ、

なーんて。


 とりまこいつが、身を挺してくれれば、

こっちは安全の有無を確認できるようなもの。

 意地でも転がす。

 そんな準備はできているのだよ。


「ところで愛理さん。狂政さんからもらった物ありますよね?」

「あぁアレ? うん、あるよ。重すぎて常備はできないけれど」

「流星石ですっけ。私の体では持ち上げられなさそうなくらい重そうですが」


 500キロもあるバケもん、

みたいな石だし、いくら魔法に優れているスーちゃんでも。

 こんなの持ち上げようとしたら腰でも折れそうで、

想像しただけで怖くなってくる。……あ、いや想像もしたくない話だな。


「浮遊させて持ちあげればいいじゃないの?」

「ミヤリーさん、私をなんだと思っているんです?」

「あなたが道中またあれから、死に急ぐようなことをしてまた死んだじゃないですか。おかげで魔力はほぼスッカスカです」


 しかめるようにして。

 遺恨のこもった視線を送る。


 あぁ。


 スーちゃん超怒っている。

のか?

 路傍ドジってまた棺桶入りしたのは事実だ。

 何度か、私も止めようと。

声をかけたこともあったが。

 まったくコイツは聞く耳を持たなかったのだ。


(……ったく世話の焼けるやつだなぁ)

「うん? なにか言った愛理」

「ふゅー、ふゅー。なんでもありませ〰〰ん」

「あ、はぐらかした!」

「まぁまぁ。そこまでにして。そろそろ行きますよ……疲れたら」

「愛理さん、マックス・ヘルンをお願いできます?」

「合点だぜ」


 はてしない平原を進み。

 巨大な居城に近づいていく。

 進むにつれて、その大きさの威圧感は増していく。


 そして大門の扉前につく。


「冒険者カードの提示を」


 門兵に順番ずつ、冒険者カードをみせ。

通行の手続きを済ませる。


「全員Sランク、たしかに確認しました。どうぞお入りください」


 地響きするぐらいの大きな物音がすると。

 閉まっていた扉が開いた。

 今回はあっさりと入れたが、

他の国と違って1つひとつの規模が大きい。


「入ったものの、でかすぎわろた」


 街は広いというには、

規模は非常に大きかった。

 一角ごとの家屋は、高々とそびえ立ち。

 頑丈そうな石畳を行き交う人々が大勢歩いていた。


「……大きい建物が多いですね」


 3~5階建ての建物が多いだろうか。

 半円の窓が付けられた、石造建築の家々は、

私たちの住む1~2階形式の建物とは、比べものにならなかった。

 どうみても高く、変わった尖塔をした一角もちらほら。


 これが規模の違い、

というのならどこで優劣が出てきたのだろう。

 エルミア大陸。

 恐ろしい国だぜ、まったく。


「鍛冶の職人さんの家どこでしたっけ、シホさん?」

「えぇーとたしか」

「真ん中のロータリーがあるから、そこの左端辺りに顔の利く職人がいるって」


 紙切れに雑な説明とともに書いてあった。

 迷ったとき用の。

 案内図として手渡してくれたのだが。


(字が雑すぎて読みづらいんだよ。……ったく)


 渋々、心のそこで文句を垂らしながら。

 狂政のもらった地図を頼りにし、街の中心部にある。

 ロータリーに向けて足を運んだ。








☾ ☾ ☾








 街の中心。

 開けた場所に見えたのは、露店の数々。

 人々がまばらといるが。


「うわぁ、ここもすごい数だなぁ」

「お店に並んでいる方がたくさんいますね」


 背丈を伸ばし、

遠くを見るシホさんは、圧巻の人数に驚いていた。


 でも、

大国家だ。

巨大な国ということは、

それなりに人口が多いということ。

 狭苦しい通路に店を立てるよりかは、

こういった広いロータリー……すなわち円形地帯に設けたほうが効率的だと思う。


 そして向こうに見える大きな一角。


「あの奥に見えるのがエルミア城か」

「屋根金ピカね。とても上品な人が住んでいるのかしらね」

「……聞けば、大陸一の国家みたいですし間違いではないかもしれませんね」


 尖塔が、

金色に塗られた居城。

 表面は、純白を基調とした色。

その色で塗られた、石造りとなっている。


 こちらからでは、

薄らしか見えないが、あのおごそかな風格は、豪族の貫禄にちがいない。


「えぇと愛理さん目的の鍛冶屋さんって……」

「あぁそうだった。目的失っちゃあダメだよね」

「たしか狂政のメモによると、こっちだったはず」


 入ってすぐ横に、

その職人がいると聞いたが。


「横、横、横……あれか?」


 すぐ左横にある。

建物の壁際。

 そこには、なにやら小さめの家が建っていた。


 小屋と言われても、なにも変だと思われない。

見た目は普通の一軒家。


(ここに住んでいる……のか?)


 いらない建物の残骸とみられる、

物を合わせたであろうハリボテになっていて。 古めかしい気配を感じ取った。


 嵐などの自然災害に耐えられるか、

 どこか心配に思えてくるが


 なんだここ?

と心の奥底で思いながら、立ち止まっていると。



急に家の中から──。


カン、カン! ドン!

カン、カン! ドン!


「うわっびくった!」


 不意に、物騒な打つ物音が響く。

 急に何事かと思ったが、

いったい中で、なにが行われているんだ?


 一同、顔をうかがうと目を見張り。

少し不安をよぎらせているせいか、

汗を流していた。


 恐る恐るノックをして。


「誰じゃ? 客かのう」


 年老いた声が聞こえてきた。

 歩調はゆっくりめだが、

ホラー映画みたいにチェンソー持っていたらどうしよう。


(こ、殺される……のか?)


 いまだに恐怖を感じる中。

 その扉はゆっくりと開き、

家の中からは──。


「……ほほう。こりゃたまげたのう。多人数とはどうしたことか」


 胸当て前掛けをつけた、年配の男が姿を現した

 この人が?


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