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留年になったので異世界生活することにしました  作者: 萌えがみ
新・第2章 うさぎさん達、再始動イン大きな一帯へ
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228話 うさぎさん達は無名の遺跡に潜る その5

【やると言ったら必ず受け入れるけれど、それから先の判断は善し悪しとわずそれは結局自己責任ダロォ!】


 事を終え洞窟を抜けた。

 え、あんなくどくて長い道をどうして脱出したかって?

 そんなの言うまでもなく。


「……魔力がまだあったので抜けられましたね」

「そうですね、仕掛けの数々をもう1度解きながら歩く……なんてことはもういやですもんね」


 スーちゃんの魔力が残っていたので、魔法を使ってもらい脱出した。

 普段なら頑なに使おうとしてくれないのだが……あいやあれは移動魔法にかぎった話か。

 正直、私もあんな道を再び歩くなんてことはしたくない。

 私的な意見でもあるが、みんなもそれに賛同してくれたがあともうひとつの理由としてシホさんが無闇に遺跡の物を破壊してしまった……なんていう惨事を未然に防ごうと考えたのがもうひとつの理由である。


 変なレッテルとか貼られたくないし。

 それは学校の窓ガラスを割りまくって、教室の生徒から冷たい視線を送られると同義語でその状況におかれるようなもの。

 断じてそれは避けないいけない。

 無論このことは本人には伝えず、軽くミヤリーとスーちゃんに目配せをやってみせると伝わったかのように頷いてくれた。


 よく伝わったなこれ。


「それで愛理こいつらどうするの?」

「あぁこいつら。おーい生きてるか、生きてたら返事しろもし生きていて返事しなかったらラビパン食らわせるからな」


「ぐふっ」


 とか言いつつ不意に力のこもったパンチをベガッサにしてしまう。


 一応問題事は解決させたが、ベガッサとアルッサ兄弟はあえて殺さないことにしておいた。

 情けや哀れみではなく、殺すまでのことかと独断に判断しただけだが。

 まあこいつらはそこまで性根が腐っているヤツには見えなさそうだし、とりあえず今回だけは見逃すことにした。


 だが少し話をしたいと思い、私はスーちゃんに魔法を使ってもらい魔力で生成した縄で手を拘束させ話すよう場を整えてもらった。

 まあ勝手に逃げられたら嫌だしね、何事もなかったようにいなくなるだなんて私としては許しがたい行為だ……つーわけで。


「おい!」


 \ドスン!/


 ベガッサの髪をつまみ上げ、そのまま壁へと叩きつける。

 しかめる目線でヤツの視線を見張り睨み付けた。

 ヤツは物怖じするように体を震わせながら、こちらに恐怖を覚えているようだった。


「ひ、ひぃ! すすすすすまん、つい思い上がって……」

「思い上がった、あぁん⁉ 迷惑は大概にしとけよ、それともまたパンチ食らいたいわけ?」


 出るときなまいきな性格が気に食わなかった私は、何発かパンチを食らわせてやった。

 その態度を幾度もあれから繰り返すものだから、また1発また1発と黙らせる行動として何度もやってみせた。

 するたびにそのなまいきな態度が収まっていったが、今度はこんな感じに怯えるようになった。

 あぁいや脅迫や脅しをしているわけではなく、単に黙らせたくてやっただけだけど。

 端からまたうさぎは怖いとか思われているんですかねこれ。


 すっ。


 胸ぐらを掴んでみる。

 そしてまたパンチを。


\ドゴンッ!/


 わざと滑らせるつもりですぐそこの壁に大きな穴を開けさせた。

 身震いさせながらまた恐怖を……だから怯えなくていいって。


「あのさ、怖がらなくていいから」

「で、でも」

「えーとね、見逃してあげる。……その代わり悪いことは絶対やらないで……約束できる?」


 するとベガッサはうんうんと頷き首肯。


「その本当にすごい力が欲しかっただけなんだ。俺の家ビンボーで金なくて、これなら大儲けできるかなって」


 あぁそういう感じね。

 工面に困っていて、1つの賭けに出たってわけか。

 わかる、わかるけどさぁ。


「あ、愛理さん! ベガッサの兄貴は本当は良いやつなんだぜ。 だからこれ以上俺たちをいじめないでくれ頼む!」

「弱いうさぎだの言ってすまんかった、もう悪いことやらないから。な、な、な?」


 兄弟揃って粛々と頭を下げてくる。

 深めに、弟のほうは頭と地面が密着するくらいに突いて。

 何度もアルッサくん突いているけど、大丈夫なのあれ? 痛くないのかな。


 どこかで聞いたことあるようなセリフ。

 でもこれってゲームのお約束の断れないやつでしょ。

 いたたまれない気持ちもスゲーある、チョーあるけれどめっちゃ怯えているし…………やむを得まい。


「スーちゃんもう解いていいよ」

「…………はい」


 後ろに控えるスーちゃんの方を横目で見て頼む。

 すると束縛としていた縄が解かれ、2人の体は自由となる。


 私もそこまで鬼じゃあない。

 ここまでして許さないってヤツがいるって言うならそれはもう人心無だろう。


「え、ああの」


 そして私は言う。


「いいよ許してあげる。お前たちのことは黙っていてあげるから、その代わり今度はその考えを良い方向に使えよ。あとこの玉は没収ね」

「ああああああああぁ! もうやらん、やらんから…… よしアルッサ一緒に帰るぞ」


 使っていた魔力の玉は私たちが取り上げた。

 宙に投げボールのように遊びながら言うが、わりと重め? に感じる。

 使用方法がどうなのかは知れたことだが、本当にこれ強力な魔力入っているの?

 いや戦ったから周知の事実だけども、なんだろう実感が湧かない。


 すると2人は言うことが済むとずらかるように踵を返し、背中を向けて走り出そうとする。


「あ、ちょっと待って!」

「ひ! あとなんか用でも?」


 ひとつこの際だから伝えておこうかと思った。

 だって毎回、私たちに悪い印象を与えるだなんて嫌だし。

 これじゃあ私が魔王の手先だとか疑われても、違和感この上ないしね。


「その他のモンスター達に会ったら言っておいてくれない?」

「……愛理さんいったいなにを言うつもりで?」


 スーちゃんを見て大丈夫、任せとけと合図を送ると。


「…………わかりました。愛理さんがそういうなら信じますよ」


 そして私は改めて、2人の方を見て。

 強く警告を促すように。

 足を1歩前に出し、その兄弟に言う。


「いいか、ベガッサそしてアルッサ。うさぎはワルモンじゃあない……そう私たちは『正義の志を持つ良くも悪くもある優しいうさぎ』だってな」


 2人にそのように伝えると、理解したかのように前を向いてゆっくりと歩き出し、私たちの前から姿を消すのだった。



☾ ☾ ☾



「ちょっと図に乗りすぎたかな」

「ううん、愛理っぽくてよかったんじゃない?」

「そう?」


 村へと戻ってきた。

 戻ってくると、取り返した魔力の玉を見る住民があとをたたなかった。

 その玉を見て活気に満ちあふれた顔をみせると、一安心したように他の人に伝えるように走り回っていった。


 それぐらい大切なものだったのか、これって。

 ゲームでよくあるような安モンや百均にあるような品物にしか思えないのだけれど……人は見た目によらないっていうけれど物も然りなのか。


「村長さんの所に着きますね、さあ早く返してあげましょう」

「そだね、周りの視線がキツイしさっさと用事を済ませて」


 村長さんの家の中に入り。

 取り返したことを報告すると。

 ありがたいように、私の手を力強く握り大きく感謝の意を示すかのように振ってくれた。

 嬉しいけど激しいよ。それぐらいの熱意は伝わってきたけれども。


 その魔力の石だが、返してあげるともう2度と誰にも触れないよう村長さんが管理していくと言い出した。

 なんでもこれがあるとご利益がある、幸運が上がる、願いが叶うなどとさまざまな言い伝えがあるみたい。

 仏やその類いなのかな、まあそりゃ誰か勝手に触られたら困るわな。

 肝心のあの魔力はというと先代が残した莫大な魔力を含有する品物らしい?


 詳しいところまではあまり伝承が残っておらず、用途もいまだ不明みたいだが……まあ深くこれ以上詮索はしないでおこう。

 お礼として硬貨と貴重な数々の物まで、そこまで多くはなかったのだけれど中には冒険に役立つものまで。

 やはり冒険者ってこういうことができるから楽しいんだよ。


 妹よ、お前のように部屋でひたすら超小型の精密機PC(ブルーベリーパイ)を弄くっているような改造野郎にはこの快感は味わえないだろう。


 ともあれ要件を無事済ませ、住民に手を振られながら見送られると再び旅行もとい旅を続けて。

 青々とした草原の広がる道なりを進み、目的の場所へ仲間とともに歩み出し。


「また人を救いましたね、やはり愛理さんはどの大陸に言っても大活躍間違いなしの存在です!」

「いやシホさん、あなたもでしょ……ってまあそうかもしれないね」

「愛理、もう少ししたらあの大きな木、木陰で休もうよ」

「もう、か。村出て1時間弱じゃあねえか。……まあいいやそろそろ腹減ってきたしみんなも食べる?」


 道中、また仲間とグダグダとした会話をしながら、先へと進むのだった。


「……同感です、錬金台を使って調理でもしましょうかね」

「スーちゃんいいけど、山火事にならない程度に自重はしてよね?」

「……えへへ、心配性ですね愛理さんは」


 やはり先はまだ長く続きそうだった。

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