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留年になったので異世界生活することにしました  作者: 萌えがみ
新・第2章 うさぎさん達、再始動イン大きな一帯へ
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225話 うさぎさん達は無名の遺跡に潜る その2

【ハメ技詰み攻撃! クソゲーと化した遺跡⁉ ※薄い本のようなネタはありません】


 降りていくとまた長い道が続いていた。

 今度は塀が立ち並ぶ迷路となっており、ところどころ橋がつき上がった部分があり動かしてもビクともしない。

 おそらくどこかにレバーがあり、それを倒すと道が開けてくるそんなところだろうか。


 するとシホさんが前に出る。


 スッ。


 え、何する気?

 まさかとは思うが力ずくでこじ開けよう、なんて考えてないよね?


 1歩も退こうともせず。

 見据えている、いや正直なところ見据えたくない気持ちが大いにある。

 頼むからやめろ。


「……あのシホさんどうしたのですか? たぶんそれはレバーかスイッチを倒すかして道を作っていくものだと思いますが……なので人力だと無理ですよ?」


 スーちゃんの忠告に耳を傾けず。


「ならダメもとで……えい!」


 ドゴォン‼


 ちょ!


 なんと、シホさんは軽く足で突き上がった橋を蹴り飛ばすと。

 その彼女のあまりにも高い力量によって前へと倒れた。


 本来は、倒すことができないほどの堅固さだというのに、ここでシホさんの尋常ではない力が遺憾なく発揮された。


 やべぇよやべぇよ。

 か、勝てるわけがない。

 というかこれ、壊してよかったの? 一応遺跡でしょここって。

 たしか文化財などの物を壊したら重い罪に囚われたような。



※妹豆知識

 文化財を壊したりすると5年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金が取られちゃうから、みんなはシホさんみたいにマネしちゃダメよ!

(というかもうちょっと出ておきたかったんだけど……あ、だめ? しょぼん)


 異世界の法律はどうなっているか知らないが、まあ弁償しちまえば万事解決な世界だ、問題ないだろう!


 と、とはいえだ。

 恐る恐る笑顔で立ち振る舞うシホさんに。


「チョチョットシホサン、ナニヤッテクレテンノ(あまりにも衝撃的なことだったので片言になっている)」

「あぁすみません、どうやら加減を間違えたみたいですね」


 どの度合い程度からそんな言葉が出るんだよォ〜ッ。


 その申し訳なさそうにこっちを笑顔で向いて謝るのやめてくれませんかねェ! 他のみんなもあまりにも衝撃的だったせいか驚いてその場で固まっちゃっているよ!


 あれ、もしやギミックこのまま無視しちゃったり?


「……グリモア思考な私でも全く原理を理解できません……。それ、力押しでなんとかなるものなんですか?」


 いいえ、シホさんが強すぎるだけです。


「きっとなにかのトリックよ、隠れた荒業かなにかでしょ?」


 たぶん違うんじゃあないかな。

 本人は涼しそうな顔でやっていたし、おそらく素だと思います。


「な、なに驚いているんだ2人とも。こ、これはシホさんの素だよ?」


 するとミヤリーとスーちゃんがあんぐりとした顔で言ってくる。


「言った本人がとても驚いているじゃない」

「言った本人が非常に驚いているじゃないですか」


「う、うるせえ! これはこれ、それはそれだ!」


 シホさんは間に入らずなんのことか飲み込めず、少々苦笑しながら私たちを見守っていた。


「あはは。私はなんのことかさっぱりです」


 涼しそうな顔でなにを言う。

 また『私またなにかやっちゃいました?』みたいな立ち振る舞いは本来私が担うべきことなのではと頭を悩ませた。

 別に欲情しているわけではない。

 マジだよ頼むから、ハッタリとかそういうのじゃあなくて正直な話だようん天地神明に誓って言うからさ! なんならこの場で土下座数千万回以上して証明してやりたいぐらいに、自分の考えを提示したいと思っているようん。

 私はなにを考えているんだ、うさぎとはいえどそれだと骨折不可避ぐふ。


 私は改めて思った。こういうのをゴリラだということを。

 やっぱ脳筋じゃねぇええええええええか!



☾ ☾ ☾



 結局、シホさんの力技があったおかげか、目の前にある橋の数々は彼女によって押し倒されていった。


 はい画面の前のキミ、『はつまんね』とか『何そのご都合主義www』とか思わないの!

 結果的に抜けられたしよかったじゃあねえか(よくない)


 それにより予定よりも早く先に進むことができた。

 進む道中ではレバーが見えたが、おそらくあれはあの橋のものだと思うが……涙目である。なんかごめん許してクレシンス。


「ッ!」


 前触れもなく現れたのはコウモリモンスター。

 小さな体でシホさんに向かって鋭利な牙を見せる。

 1度でも噛まれれば500ccとか吸われたり……。

 なんだよそれ、どこのマイナーチェンジ版のグラフィックがアホみたいな顔芸しているモンスターだよ!


「やばい、あれだと当たるぞ、しかもたくさんいる!」


 それが1匹にとどまらず、何匹も束に襲いかかってくるのだ。

 銃で応戦するも私の持つ銃では、広範囲には及ばず精々連続で5匹仕留められるぐらいの速度。


「ちりつもってーのはこういうこと言うんだな」

「ねーねー愛理、チリツモってなに、なにかおいしい食べ物? 水くさいじゃないそうならそうと早く言いなさいよ」

「いや私が言ってるのは塵も積もれば山となるって意味だよ、食いモンじゃねえ!!」


 肘打ちする暇あったら戦えよ!

 私がよそ見するほど暇なヤツに………………はたから見たらみえなくもないか。

って納得している場合かぁ!


「くそ数が多すぎぃ!」

「……ま、魔法は。すみません間に合いそうに」


 さすがに私の対応が間に合わずにいたが。


ズサァッ!


「え」


 心配したのもつかの間。

 交差させるがごとく、迅速な斬撃を放つ。

 あっという間にその飛んできたコウモリは、一瞬でミンチに変えられ地面に横たわる。

 これ大丈夫か。


「そのモザイク表記がいいか、得体の知れないXのどちらかの名前で言おうと思うんだけど……どっちがいい?」

「あんたなに言ってんの? まあいいわ」


 その時間は1秒もかからない速さで、私の肉眼でも追いつけないぐらいの華麗な剣捌き。

 あれ、私たちの見せ場は。


「あんな敵を一瞬とか、冗談もほどほどにしてよ!」

「あれ、またなにかやってしまった感じですかね?」

「……そんななにもなかったような顔しても、こちらはどのような対応をすればいいのやら。というかそれ本来私が言うセリフなのではッ!」


 私に主人公の『主』はちゃんとあるのだろうか。

 たぶん微レ存。

 ハッタリではなく正直なことだとあらかじめここで断っておく。


「おりゃ!」

「……愛理さん後ろです!」

「ふぇ?」


 ブサァ!


「愛理さん大丈夫でしたか? 背中がガラ空きだったので倒しておきましたよ〜」

「さっきから愛理が白目向いてるのは気のせいかしら」

「……いいですか? ミヤリーさん一旦落ち着きましょう、愛理さんもきっと何かしら見せ場を作ろうとしているのですよ」


 庇っているのか、それとも皮肉言っているのかどっちなんだい?

 天才魔法使い様!


 違う戦闘にて、私の背中がガラ空きの際仲間の呼びかけで振り向いた時には。

 残ったのは残響となったモンスターの悲鳴と、その死体だけという見るだけで終わっていた状況ができあがっていた。


「あ、ありがとう。やっぱ心強いなシホさんは」

「ふつうに戦ってただけですけど、ありがとうございます」


 素直に喜ぶべきか否かこれはわかんねえな。


 他にも洞窟にあまたいるモンスターが数知れずいたが、私たちみんなは各々の技能を振る舞い蹴散らしていった。


 その中でやはりシホさんは一番討伐数が多く、他のメンバーと比べて群を抜いていた。


「……最深部はこの奥のようですね」

「今度は剥き出し状態か。余分なギミックなくて助かったぜ」



 まああってもこの隣にいるお姉さんが、ゲームバランスを破壊するんですけどね!



 おっとAIさんまたなにか称号を?



【AI:シホは『ギミックメタキラーのバランスブレイカー、そして敵は目を合わせたらその時を最期だと思え!』の称号を手に入れました!】



 なんだよそれは!

 理にかなってはいるけれども。

 バランスブレイカーね、言われてみれば。

 先ず、最深部へと下りようとするシホさんをじろじろと見ていると。


「あの愛理さん?」

「な、なんだい」

「私の体に変な物付いています? じーと見てどうしたのかと」


 気にしているのそこじゃあないんだよな。



「いや別に気にすることじゃあないよ」

「そうですかあはは」



 少々パーティー内で気まずい雰囲気を出しつつも、下のほうへと向かった。



☾ ☾ ☾




 下りると玉座のような場所が目に入ってきた。

 その前に石積みとなった塊から、禍々しいオーラの光が瞬いて光っている。


 そしてそこには2匹の、中太りをした2足歩行の角を生やしたモンスターがいた。



「あいつらか」



「フッハハハー! もう少しだ、もう少しだぞアルッサよ! もう少しで闇の力を我が手に」



 あ、アルッサ、だって?



「べガッサの兄貴やったじゃねえか! これであの村の連中をギャフンと言わせて懲らしめることできるぜーな!」



 あーあコイツら私たちと鉢合わせする前から、厨二病やらフラグ建築士第1級が言いそうなことを淡々と、バカな野郎だぜ。


 ちょうど4人隠れられる石の柱に身を潜めているが、さあどう出る。


「どうします? 機先を制しにいったほうがいいですか?」

「早とちりは油断()()よ! ここは様子を少し見て……」

「近没……油断禁物ではなくて? 明らかに沈みそうだなそれ」

「……愛理さん、それは沈没ではなくて?」


「そうそうそれ! だから油断禁物よ」

「ちょ静かにしろって、勘づかれたらどうするの!」



 油断近没って聞くからに危険を促す以前に、舟から落ちそうな言葉だな。

 そんな低脳なミヤリーさておき。


 彼女がまさか先に身を投じることになるとは、誰が想像できただろうか。



「クンカクンカ。兄貴、人間のニオイがするぜ!」

「なに人間だと⁉︎  探せ探してぶっ叩いてしまえ!」


 ボテ!


 不意にも床のタイルにある大溝につま先が引っかかってしまいミヤリーは転倒してしまった。



「ど、どうして……こうなるのよ」



 こっちが聞きてぇよ!


 転んだミヤリーに目がいくと執拗に彼女を見つめ。



「…………。スゥ〜〜〜〜。あ、無理窒息する」


 最初息を止めて死んだフリをしようとしたみたいだったが(無理があるだろ)、自分にはダメだと自覚したのかすぐさま諦めた。

 そして兜を脱ぐように起き上がると、キャラを作るようにしてミヤリーは言う。



「あ、ども。道に迷い込んでしまったみたいで。帰り道よかったら教えてもらえませんか?」


 ドゴーンッ!


「……ミヤリーさんあなたって人は……」


 と小さく声を出しながら嘆息を出すスーちゃんは呆気にとられる。


 しかし彼女のブラフ戦法はすぐさま破られ、敵の放った闇の魔弾で攻撃されてしまう。

 つま先立ちして両腕を顔の反対側へ向け、避けみせると口を大きく開けて驚嘆。


「え、この戦法ダメだった感じ?」


 弟であるアルッサ? がそれに応じるように言ってくれる。

 やさいせいかつ。


「お、おう。だって『窒息する』とか言ってたし」

「はっ⁉︎ しまった〰︎〰︎〰︎ッ!」


「このバカ、またドジしやがって」


 やはりミヤリーは正真正銘のバカでした。

 で、私たちここからどう出るべきなんだ?

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