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留年になったので異世界生活することにしました  作者: 萌えがみ
新・第2章 うさぎさん達、再始動イン大きな一帯へ
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224話 うさぎさん達は無名の遺跡に潜る その1

【名前なんて結局気分しだい、そうに決まっていると思います】


~無名の遺跡前~


「ここが町長さんが言っていた遺跡か。陳腐ていうか、コケめっちゃ生えているけど」

「……手入れはもうずいぶんやってないみたいですよ、なんでも強いモンスターがひしめきすぎて手つかずなんだとか」


 村を出て少し歩いた先に、石から成る古めかしい遺跡に近づく。

 どうもここが例のその遺跡、らしいがどうにも危険な雰囲気は感じ取れない。


 その遺跡の名前はというと。


 無名の遺跡。


 安直にほどがあると言いたくなるくらいのふざけた名前。

 匿名でよくありそうなニュアンスから、雰囲気と名前が不一致に感じてくる。

 無名って単に名付けるのが億劫なだけだっただろ。


 あれか。

 とりあえず仮名を付けて後からつけようと思ったら、いつの間にか忘れてこの名前になったていうアレ。

 ここに来た人は一同、こう思うだろう。

『無名ってなんぞや』

と。


 それはごもっとで誰だってそう思う。私だってそう思うよ。


 そういえば、これまで私たちは洞窟やら山への出入りは頻出してはいたものの遺跡は初めてか。

 以前に類似したような場所に入ったことはあるが、それとはわけが違う気がする。


「扉ないとか防犯対策なさすぎか!」

「あれじゃない? きっとモンスターがあまりにも強力すぎるせいか気がまいってやる気なくしたのよきっと」

「……そんな痕跡全くありませんよ? どう見ても元からなかった有様ですが」


 あとから取り外したと推測するミヤリーだったが、スーちゃんの一言によって論破されてしまう。

 溝らしきものもないし、巨大なモンスターに荒らされた痕跡もない。

 どうしたら、そんな思考になれるのか頭をひねりたくなるくらいに私は理解不能状態だった。


「でもあれかもしれませんよ、飛行系の魔物だったり」

「あ、それなら合点がいくかも」

「なにこの、背徳感。私が完全は敗北したようなこの状況は」


 洞口は扉もない開放状態ですぐさま入れる模様。

 防犯対策大丈夫なのここ、古いからなんだろうけど(遺跡というのもあるが)どうしよう、鍵か扉でも作ってやろうか?


「枝分かれした道が多くあると聞きます。ここは慎重に」


 シホさんはいつもさながら頼りになりそうなので安心できるが、ミヤリーまた所々物色し始めているけど、こいつから目を逸らしたらろくな目にあわないので、重々見える範囲で注意しとかないと。

 そんなミヤリーは古いほこりが被さった部分を振り払っては、よくわからないところをまじまじと見つめふーんと興味なさそうな声を出す。

 興味ねえなら手出さないほうがいいだろ。ほら知らない虫やキノコはうかつに触るなって。


「そうね、中にどんな罠が仕掛けられているかしらないけれど、直進あるのみよ」

「……ミヤリーさん、指摘しておきますけど一本道ではないです」

「あ、そうだっけ?」


 呆然とした顔でスーちゃんのほうをみると、軽く首をかしげる。

 やれやれ。

 低脳癖は治ってないようで、正直平常運転で安心した。


「それで愛理、今日はどんな服で潜るつもり?」

「えぇと……シホさんここの暗さってどのくらいだっけ?」


 場所が暗すぎる有無によってパーカーは慎重に選ばねばならない。

 生息するモンスターも注意するべきだが、普通に歩けるかどうかは念入り把握しておかないとだな。

 シホさんやスーちゃんは、地図をまじまじと見ていたからなにか知ってそうだけど。さあどうしよう。


「そこまで暗くなかったと思います。情報によればたいまつも所々あるとかって」

「……愛理さん、黄色い服になるのもいいですけど、どちらかというと進路を切り開いていけるものがいいです」


 困ったなあ。

 暗い問題は特になし。

 となれば、ここは無闇に選ぶ必要はなさそうな気がする。


「うーんなら現状このままでいこうかな」

「え、なんで。ここは光るものを使って……」

「はいはい、いいから行くぞ」


 ミヤリーの話を遮り、みんなとともに無名の遺跡の内部へと入る。


☾ ☾ ☾


 辺りはやや暗めといったところか。

 続いている進路は、私たち4人が余裕で横並びできるぐらいは広い。

 モンスターが出てきても。


「おっとスーちゃん危ない! ラビットショット!」

「ぐぎゃああああああッ!!」


「……あれ? もうやっつけちゃいました?」


 私のかけ声でスーちゃんはその場でかがみ込み、襲いかかってきた悪魔モンスターを私は銃を取り出して引き金を引く。

 俊敏な火球が胸部へと直撃すると敵の体に穴を開ける。

 倒したモンスターはその場に伏して力尽き。


 はあ間一髪といったところか。


「スーちゃんの迅速な反応が幸いしたよ」

「このヘルデーモン、私たちと体格差はそんなにないというのに本来は足が速く対処に時間がかかるみたいですが……愛理さんはやはりすごいです」


 この2枚羽を持ったモンスターがヘルデーモンね。

 見た目はなんだろう、ゲームのアセットに付属してそうな素材グラなモンスターみたいで、少し隙をつけば容易に倒せそうな敵だった。


 ドロップはなんだろう。


【AI:デーモンの羽を入手しました】


 これって装備したら、呪われたりしない大丈夫? 装備した途端トラウマBGMとか流れないよね?

 するとAIさん。行き詰まったように数秒の【……】が続くと。


【AI:調整中】


 なんだよ調整中って。

 ちなみにこれは装備物ではなく単なる素材だということがわかった。

 パーカーの素材に使うか否やろくな物ができなさそうだが。


「さっきからこいつら10匹ぐらい倒したわね。まあどれも動きが手に取るようにわかるから問題はなかったけど」

「シホさんは平常運転だし、今回の依頼は楽勝そうじゃね?」


 ちなみにシホさんは群がってきたモンスター達を1回の抜刀ですべて倒してしまいました。

 やはり瞬殺ゲーなのか恐ろしや。


 これがまた束になってかかってくると考えれば、厄介極まりないが。

 今はただ進むしかない。

 噂によれば、最深部にそのモンスターが待ち伏せているようだ。

 2匹の横暴やろうって話だがはたして。


 さらに奥へと進む、道は仲間が言ったように何回も道が分かれているようにまばらであり、紆余曲折と続いている。

 道中、ヘルデーモンの束に襲われるもスーちゃんを筆頭とする、補助攻撃によって血路が開けていく。


「……ふん!」


 迸る雷が地中上に響き渡り、辺りに居座るヘルデーモンの群れを倒していく。

 普段は強大な魔法を使うが、今回は高低差に無理があると踏んだのか中ぐらいの魔法にとどめている。

 肉弾戦で私と、ミヤリー、シホさんとで残りを片付けていく。

 数ある部屋の中から正当な道を探し、探しだす。


 すると一部の開けた部屋に入る。


「ここは。使われていない場所みたいですが」


 古汚い部屋。

 本棚が並んでいるがここはいったい。


「ん、なんだここ。ねえみんな、そこにある床のタイルの色、なんか違和感感じない?」

「違和感とは? 変に思うような場所はないように見えますが、なにか見つけられたのですか」


 色が同化していて視覚的に見えづらいが、私は逃さない。

 あたかもダミー床のような意匠のつく板が目の前にある。

 ああいう場所に限って通路かなにかが隠されているはず。よしバイザーの機能を使ってみるか。


「ちょっとみんな下がってて」

「……? 秘策でもあるのですか」

「もちろんさ、バイザー起動!」


 バイザーの機能一部である、物を見破るツールを使いダミー床に向かって光を放つ。

 すると私の推測が当たったのか、そのか所だけ見ていくうちに溶けていきその場所が露わとなっていく。


「階段が姿を現した? 床はフェイクだったとでも言うの」


 そこには姿を隠していた奥へと続く階段があった。

 深々と続きそうなその螺旋階段は私たちを誘っている。

 足を踏み入れ、下へと降りていき次の階層へ。


 さてさらに奥に進むとするか。

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