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留年になったので異世界生活することにしました  作者: 萌えがみ
新・第2章 うさぎさん達、再始動イン大きな一帯へ
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218話 うさぎさん達とヘンテコな国 その2

【髪の毛は生涯残したほうが悔いは残らないだろう】


 目に映りこんできたのは、髪を1本も生やしていない人だった。

 街歩くほとんどの人が頭からまばゆい光沢を放っている。

 しかも平然と住民同士で話しているし、なんだこの国。


 私たち決して仏教へ入門しにきたわけじゃないのだが、すみません来る場所間違ってませんよね?

 いやだからなんだこの国。髪の毛の1本も持ってないって……どんな国だよ!


「……変わった人……だらけですね?」

「なぜ私を見てそんなこと聞くの、現実から目をそらしちゃあダメだよスーちゃん?」

「……愛理さん、それはわかってますけどこんな国初めて見ましたよ」


 私もハゲだらけの王国なんて初めて聞いたよ?


……あ、マルガリアン王国のマルガリアンって。

 最初はマーガリンか、なにかの食べ物が由来かと思ったけど。

 これって丸刈りから派生してマルガリアンって名前になっているんじゃね。

 しかしまあ、この国をまずどこから突っ込んでいいのか検討もつかずで……ひとまず回ってみようかな。


「すごい国に来てしまったわね愛理」

「そうですか? どこか変わっているところありますかね? 景色などはいたって普通ですけど」


 1名天然な発言をしてくる者がいた。

 仰視しながら周りを見回しているシホさんは、どうやらどこが変なのか気づいていないようだった。

 え、まじ? これでもシホさん基準じゃあ普通だって言いたいの?


「いやいやシホさん? よく見て頭に毛を生やした人、誰もいないでしょ?」


 四方を歩く住民は誰もがハゲである。

 屋台を営む人や住宅でほうが悔いは残らないだろう】


 目に映りこんできたのは、髪を1本も生やしていない人だった。

 街歩くほとんどの人が頭からまばゆい光沢を放っている。

 しかも平然と住民同士で話しているし、なんだこの国。


 私たち決して仏教へ入門しにきたわけじゃないのだが、すみません来る場所間違ってませんよね?

 いやだからなんだこの国。髪の毛の1本も持ってないって……どんな国だよ!


「……変わった人……だらけですね?」

「なぜ私を見てそんなこと聞くの、現実から目をそらしちゃあダメだよスーちゃん?」

「……愛理さん、それはわかってますけどこんな国初めて見ましたよ」


 私もハゲだらけの王国なんて初めて聞いたよ?


……あ、マルガリアン王国のマルガリアンって。

 最初はマーガリンか、なにかの食べ物が由来かと思ったけど。

 これって丸刈りから派生してマルガリアンって名前になっているんじゃね。

 しかしまあ、この国をまずどこから突っ込んでいいのか検討もつかずで……ひとまず回ってみようかな。


「すごい国に来てしまったわね愛理」

「そうですか? どこか変わっているところありますかね? 景色などはいたって普通ですけど」


 1名天然な発言をしてくる者がいた。

 仰視しながら周りを見回しているシホさんは、どうやらどこが変なのか気づいていないようだった。

 え、まじ? これでもシホさん基準じゃあ普通だって言いたいの?


「いやいやシホさん? よく見て頭に毛を生やした人、誰もいないでしょ?」


 四方を歩く住民は誰もがハゲである。

 屋台を営む人や集合住宅で暮らすほとんどの人が、地毛なしの坊主である。


 シホさんはそれを見て首肯し納得する。

 察してくれた?


「あぁなるほど。でも愛理さん聞いてください、世の中髪の毛を生やしていないお方は大勢いると思いますよ。ですから私はそのどこに珍しさがあるのか、街を見回して考えていたのですが」

「シホさんそういうのを天然って言うんだよ! 普通あんな人がたくさんいたら驚くのが普通だからね!」

「そうなんですね? すみませんこういうのに疎くて」

「愛理あきらめなさい、シホには理解がたぶん……追いつかないわ」


 隣から肩に手を乗せてくるミヤリー。

 もう諦めろってか。見捨てろとそう言いたいのかミヤリー。

 シホさんはこういうところはホント疎く、いや彼女のことだから『馴染んでいるんでたいしたことありません』みたいなこと言ってきそうだけど。だめだ、私と他の仲間からしたらシホさんの次元は違いすぎる。


「……とりあえずまわりますか」


 おかしな物を目の当たりにしたというのに、スーちゃんせっせと動く。

 私がスーちゃんの隣に歩き、彼女を信じて前を進んでいるが。

 誰一人とて、髪生やした人いねぇじゃん!

 だからこの国は脱毛でもはやってんの?


「……えぇと、ガイドによりますと『この国ではマルガリアン条例というおきてを定めています。この条例は現当主マルガリアン女王が発令したルールで、国の者は全員髪を生やしてはいけないという規約となっています。ちなみに旅行客などにはこの規定は適用されませんので気にすることは必要ないです。たぶん』とあります」


 多分ってなんだよ多分って。

 つまりあれか。


 どういうわけかしらないけど。

 理不尽にも髪を生やしてはいけないというルールが定められているってことでいいんだよな?

 でも私から見たら全員お坊さんにしか見えない。

 これは私が日本人だから言える、一種の典型的な部分かもしれないが。


「……少し話でも聞いてみますか。あの~すみません」


 あまりにも情報量が少なすぎたのか、近くで油を売る3人の中年ぐらいのおじさんに話かけるスーちゃん。


「うん? どうしたんだお嬢ちゃんそしてその連れの冒険者さんたち」

「……いえ、初めてこちらの国に訪れたので少し聞き込みをしようと思い」

「おい、お前教えてやれよ、このお嬢ちゃんが困っているじゃないか」


 真ん中の少し小太りなおじさんに対して、左隣にある木箱を椅子代わりにして座るおじさんがそのように急き立てるよううながす。

 そして右にいるおじさんは。


「連れのうさぎのお嬢さん、キミ達は見る限り……旅行者だよな? だって旅行者だと条例は適用されないからな」

「いやその、この国に入った時、見入った人全員に衝撃を受けてしまって。あぁいや喧嘩売ってるわけじゃないですよ、これは正直なことで」


 真ん中のおじさんが答えてくれる。


「……ここにくる人ははじめにいつも全員そういうった反応をとるよ。なぜハゲばかりなんですかとか、脱毛はやっているんですか。とか」


 私がさっき考えていたことじゃねえか。

 右のおじさんが言う。


「実のところ、脱毛ははやっていないがね。女王様が決められたことなのだ」

「ひと月前くらいだったかな? 前国王が体調崩されて彼女が新しい国王の座についたのだが、言い方ややり方がどれも浅知恵というか子どもじみたものばかりなんだ。ちなみに女王はまだ子どもだ」


 それさっきスーちゃんが言ってたね。


 おじさん達が言うようにはそのせいで、女王が不思議な魔法を使って国中の人から一切の髪の毛を取り除いてハゲにしたんだとか。

 日常生活する面で、ちゃんと規律を守ってくれないだとか喧嘩がほぼ絶えないとかでいろいろと問題を抱えていたらしいが、そこでこの条例を踏ん切って行ったらしい。

 そうすれば、多少国自体が安定し平和になると考えたらしいが。


 いやそもそも発案自体おかしいだろ!


「結果よくなったとも言えるし逆に悪くなったとも言えるかな」

「賛否両論ってところなの? なんてこった」


 ミヤリーが聞く。


「その、反対派がいるってことはわかるけどその子どもって何者なのよ」

「うんガキだ」

「自分達の口で実の王様をガキ呼ばわりするんだ」


 他にもおじさん達から国の案内図を教えてもらったり、立っている施設の場所なども教えてもらった。

 顔は少し強ばった感じだったけど、いざ話してみると案外話が通じるものなんだなと思った。

 そのクソガキマルガリアン女王。

 彼女が何者か知らないけど、街中の人からまた聞いて回ったほうがよさそうな。


 とはいえあちこち歩いていたらもう日没になっていた。

 道中、立ち寄ったカフェで息抜きしていたがその頃になった時には。


「もう夕方か、国が大きいせいか歩くのに時間かかったね」

「……愛理さん、頼んだ紅茶がきましたよ?」


 長い帽子をかぶった店員さんが紅茶を運んでくる。


「はいお待たせしました、こちらハゲッティーです! ごゆっくり」


 ごゆっくり……。


 じゃねーーよ!

 なんだそのスパゲッティみたいな名前は⁉

 ハゲの紅茶……まんまじゃねか。

 赤黒の色をした、いたって普通の紅茶だが。

 とりま啜る。


 ごくごく。


「……甘苦い味わいだなこれ」

「果肉も入ってるみたいですよ、他国からたくさんの果物などが送られてくるみたいで」

「それ、他の国からここの国の人はどう見えているかが心配だけど」


 味は悪くない。

 紅茶苦手な私でもギリ飲める味わいだ。

 いたって普通で飲みやすいのだが……ただ1つ言わせてくれ。

 安直な名前どうにかならなかったのか。

 頭からなかなか整理がつかない私は、少々仲間との会話を聞きながら頭の中で情報をまとめるのだった。

 というかこの国で私たちなにすんのさ、まさかこの法を打ち破れとか無理強いしてきたり……いやそれだけは勘弁してもらいたいが。


☾ ☾ ☾


 見た目に似合わずこの国は施設が充実している。

 宿屋、レストラン、武器・防具屋など。

 数も多岐にわたり、まず場所選びには迷わないといった感じだ。

 だが周辺が広々として非常に迷いやすい。いや単純に私が方向音痴なだけもあるが。

 道歩くさい、何回か仲間に行き先間違っているなどと指摘もあったが、仕方ねーだろ広いから。


「今夜はここで泊まりますか、数ある宿屋ですが今は空いているみたいです」

「ほほーん。わりと大きめじゃん。……二階建てにしては人が何組も入れそうだね」


 歩いてすぐそばに見えた寄棟の宿屋を前に足を止めた。

 大勢の人が宿泊できそうな面積で、入ってみると広々としていた。

 宿主に聞いてみたら、ちょうど空きスペースが5つほどあると言われたのでやむを得ず宿泊。


 チェックインを済ませる。

 え、こんなに大きな宿屋なのに満員じゃないんだ。


「そのうさちゃんさん?」

「……それって私のこと言ってる?」


 チェックインの紙を書いていると店主に声をかけられる。

 うさちゃんさんってなんだよ。

 ちゃんと愛理って呼べ。


「あなたたちはどこから来たの?」

「……えぇとリーベル・タウンから」


 驚嘆するかのような声で。


「はるばる遠くから……きつかったでしょうそうでしょうゆっくりしていっていいからね。あとこれあげる。農家の知り合いからもらった物だけど」

「えーなになに?」


 小さな詰め箱を私の前に差し出してくれた。

 中からはなにやらたくさんの物が同時に揺れる音がしてきたがこれは。

 食べ物かなにか?


 そして開ける。


 中には。


……。


……。


……。







 ふんだんに詰められた

 にんじん。


 なんだよ、からかってんのか!


「あのおばさん、私をからかってんの。私本物のうさぎじゃないからね?」

「え、そうなの? てっきりうさぎ族の変わった人たちかなぁとおばさん思ってたんだけど」

「いいやねえから! 私が知らないかもしれないけどそんな種族いないよ!」


 そんな宿主であるおばさんに少し小馬鹿にされたはしたものの。

 無事宿部屋を確保。


 しかも気前がいいことに、1部屋大部屋で人が自由に何人も歩き回れる広さ。

 おまけにシャワー付きの浴場が付いているって言うんだ。これで銅貨10枚安すぎる。


「……さてみなさん、今日この国に来たわけですが私気になることがたくさんあります」

「うん右に同じだよ、たぶんみんなそうでしょ?」


 他の2人も頷いてくれる。

 もう気になるという度合いではなく、おかしいの間違いだと疑いたくなるレベルだよスーちゃん?

 結局ハゲの人ばかりだったし、なにがなんだか。


「そのあれよ、ストレスでハゲたんじゃない?」

「ミヤリー聞いてなかっただろ? 魔法でハゲにさせられたって」

「そうだったわね」


 規定うんぬんよりあたおか制度で国が放った魔法でハゲさせられたんだが。

 にしてもこれは国と言っていいのか疑わしい。


「……その少し言いづらいのですが明日、その女王様に謁見しに行きませんか?」

「えらい唐突に切り出しますね」

「……だって街の住民さんたちが、聞く限り嫌だという話がありましたよね。……聞く限りたまりかねる気持ちになりまして、少しこの国を救いたいと思いまして」


 なんだこれ。

 私より明らかにスーちゃんが主人公しているじゃあないか。

 照れくささがもたげているせいか、後ろで頭をかいているが……いやスーちゃんそれは賢明だよ恥ずかしいことないから。


「それは名案ですね。そういえば盗み聞きして知ったことなんですが、国でデモを起こしている団体があるみたいですよ?」

「デモってあれか、云々を返せ~とかメガホンや拡声器で力説したりするアレ?」

「……そのカクセイキとメガホンは存じ上げませんが、大声で訴え続けすることに違いはないですよ」

「少し潜る?」


 顔を近づけてくるミヤリーに私は。

……ゲームでよくある国に革命を起こす的なあの鉄板イベントだこれ。

 どうしろっていうんだよ。政治とか私まったくイミフなんだけども。


 でもまあ、このままハゲの国なんて言われ続けるのも、それは後世に伝えるってなるとそれはとても恥ずかしい話。

 国の勢力がどれほどまでなのか知ったことではないが。


「あぁもうわかったよ。……とりあえず訴えのスピーチでも明日聞きに行くか、それから考えることにしよう話はそれからだ」


 と淡々と話す私。


「……では決まりですね、うまくいくかはわかりませんけどデモ活動を行っている人たちの所へ明日向かうことにしましょう」


 かくして、またメンドい件に巻き込まれる公算になったわけだが。

 スーちゃんの勇ましい姿を見た私は便乗するかのように彼女の提案に乗った。

 でも面倒なことは極力避けたいから、最悪私がパーカーの力をフルパワー全開でもして。


 とかく、決行は明日。このクソな国マルガリアン王国の女王に会うために私たちは明日国のデモ活動を行う組織のいる場所へと赴くことにした。

 クソガキが支配するハゲの国かぁ。もうお腹いっぱいなんだけど……あーあメンドくせえことになりそうですね、またこれは。

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