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留年になったので異世界生活することにしました  作者: 萌えがみ
第10章 うさぎさん達の頂上決戦
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番外編2 うさぎさん、つかのまの休息 その1

【暇なときだからこそ、時間は有意義に使うべき】


 バイタスの一件が終わり一段落ついた。

 マイペースに仲間たちと共にクエストで資金を稼ぎながら、生活費の確保し安定した日々を送る毎日。

 今日は、気分転換にみんなと一緒に街の通りに赴いていた。


「愛理さん、あそこにとても高価な武器――剣がありますよ」

「えぇとなになに……『一太刀でどんな物も一刀両断できます 金貨10枚』。すげぇ胡散臭いけどこれ買いたいの?」

「こういうの買ったら死に金になるんじゃないの? 買うなら別の物にしましょうよ」

「買う気もないし、店の人には悪いけど嘘っぱちすぎるよこれ。買わないよ絶対」


 強い武器がなにかないかと、武器屋に赴いて商品を物色する。

 相変わらず、私の想像を遙かに上回る異質な商品がいくつもならんでいるが、もっとまともな武器はないかと探す自分がここにいる。


「……杖もいくつか並んでいますけど、私の好みに合う物は今日見つかりませんね」

「魔法使いの基準ってよくわからないけど、そこまで執着するものなの? 感慨深いね」


 これといい、興味のそそられそうな武器は1つもなく、私たちはその店を後にし違う店へと移動する。

 ノープランだが、気になっては入りまた気になったところには入るの繰り返しで転々と時間潰しする作業がひたすら続いた。


 そうして、当てもなく私たちが歩いていると。


「お、愛理じゃないか。この間はありがとな」

「ブラフさん! バイタスとの話ではまったく顔出していませんでしたが……生きていたんですね!」


 シホさんがブラフの声に呼応する。

 す、少し図に乗っているように聞こえるが、あのシホさん……だからメタな発言はよしなさいって。


「ばりばり生きていたわ! 人を勝手に殺すなよシホ、こう見えてもギルドに前準備をさせるよう声はかけていたんだぜ?」

「ちなみにブラフ、私たちが戦っている時お前なにやってたんだよ?」


 前準備を行っていたということは知っている。バイタスが来る前にあいつがいろいろと手を貸してくれたからな。

 でも、決戦の時全く姿ひとつすら見えなかったのは事実。本当お前どこ行っていたんだよ。私はてっきりアニメ・ゲームでよくあるやつの“存在を消されてしまった系”のヤツにされてしまったのかと思ったぜ。


「そうだな、大したことではないんだが……店長が当日休みくれなくてさ、ちょいと急用あるって伝えはしたものの『知ったことか!』と剣幕飛ばされて……結局無念にも出られなかったわけだな」

「ブラックじゃねそれ。ま、まあ無事ならなによりだが」


 今日は休日なせいか私服で歩いているが、彼は異星人として似合わない初心者冒険者が着るような質素な布の服を着ている。性に合わないだろぉお前にその服はよぉ。

 もう完全に、わたしに復讐する云々な話はどうでもいいと考えていない? 侵略どこいったよ。


「偶然お前の姿が見えたから声をかけたが、元気そうでなによりだな。バイタスのことに関しては本気でもうダメかと思っていたが……改めて感謝する。あとその謝礼としてこれもやる」

「うわっと。……硬貨? 金貨、銀貨……たくさん入っているじゃあねえか、いいのこれ?」

「いいっていいって! おっとそろそろ時間だ……! んじゃあな愛理次こそは必ず倒しにくるからな!」

「ちょっおい! ……行っちまった」


 私が言葉を返す間もなく、彼は走り出し姿をくらます。

 なにかあるなと、睨んだ私だったがどうでもいいと思い詮索するのはやめた。

 というか、この期に及んでまだ私と戦うことを考えていたのか。……まあ、宇宙人だしそこは彼なりのプライドというものがあるのだろう。


「すごい速さで消えていきましたね。まるでメタルモンスターのごとくのようでしたよ」

「なにその比喩。この世界では万国共通のメジャーな比喩なのそれ? うん、わからん」

「……速い有無はさておき、一旦お昼にしませんか? そろそろ良い頃合いですし」


 スーちゃんが、まじまじと懐中時計らしき物を(ふところ)から取り出し時間を確認し始める。

 よく見るタイプの純金製で、秒針が刻む音がかすかに聞こえてきた。


 カチカチカチカチ……。


 現物は初めて見たが、最近買ったのかな。

 傷が1つも見つからないしとても状態がいい。それを片手に持つスーちゃんはとても愛らしくも大人びた感じにも見えてくる。なんかとってもかっこいいぜ。


「……12時過ぎですね。ミヤリーさん、愛理さん、シホさんなにか案はありますか?」

「私はそうね、とくにないわね。だって私なんでも食べるし……ゲテ以外だったらなんでも食べるわよ」

「ゲテって……そうだねこういうものは私苦手だから、今日はスーちゃんが好きに決めていいよ」

「はい、私も異論ありません。スーさんのお好きな料理食べていいですよ」

「むー。少し気遣っているように思えますけど気のせいですかね。……なら3人がそういうのであれば」


 スーちゃんは私達が普段行かないステーキ屋さんに矛先を向けた。

 少し目立たない場所に建つ一部の冒険者達にとても人気な店らしい。

 お店の外には画架があり値札が提示されていた。


『リーベル・ステーキ 銀貨25枚』


 思っていた値段より高すぎてわろた。

 勇み足になりながらも私――私達は扉を潜り、高価なステーキ料理を頂き。


「す、ステーキたけぇなおい」

「愛理さん行きますよ! ほらこっち」

「あいたたたたたたた! シホさんだからもうちょっと加減を」


 再び、シホさんの強烈な牽引を受けながら店内へと入っていくのだった。

 シホさん、だからもう少し手加減してって!

 どうやら戦いの後も、先は長くなるみたいだ。

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