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留年になったので異世界生活することにしました  作者: 萌えがみ
第10章 うさぎさん達の頂上決戦
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178話 うさぎさん巨大な強敵を討つ その7

【いっちょ名誉挽回といってみますか】


 どこから響いてくる謎の通信。

 発信元はサーセン博士にもかかわらず、肝心な通話相手はというと見知らぬノイズボイスで語りかけてくる謎の少女だった。

 女口調で話すため、語り相手は女性だと断定できるが急展開すぎだよこれは。

 私のことをなぜか知っているようだが、今はそれを一旦おいといて目の前にいる敵――バイタスの倒す方法を知っているらしいので私は謎の声に耳を傾けた。


「それで教えてよ、あいつの突破方法を」

『……いい姉ぇさ……あいや愛理』


 空耳かな、今こいつ私を姉と呼ぼうとしていなかった?

……き、聞かなかったことにしよう……はいスルー。


「な、なんやて? いいから言って少し急ぎ気味だからさぁ」

『そんな急かすことは……って急いでるからそう言ってるのか。わかったわ、あなたが短期決戦に持ち込みたいならいいわ教えてあげる』

「うんじゃ頼む」

「いい? そのバイタスの成長エネルギーとなる核が、体の上半身内部にあるわ。円球状の物体でそれを叩いて壊せば理論上ヤツを倒すことできるはずよ」


 あ、まじ?

 マシンガントークなごとく、悠長淡々と話す彼女。

 得意げに1度も、言葉を噛ませることなく弱点を私に伝える。

 やはり、私の推測は合っていたようだ。体内部に動力源となる球体がある……か。ほらみろ、弱点のない敵は存在しないって。

 弱点の箇所はというと、敵の体内部に位置しそれを壊すもとい破壊すれば完全にバイタスを倒すことができるみたいだ。


「んじゃさっそく」


 私がそうとなればと、攻撃の行動に移す駆け出す寸前に語り手が呼び止めてくる。

 んなんだなんだ?


『ちょっと待った‼ 話をもうちょっと聞いてプリーズ・ストップ』

「え、あぁ」

『直接もぎ取って破壊するより、丸ごと破壊した方が手っ取り早いわよ。理由は再生能力が尋常ではないから。……つまり、次、力強い攻撃をその中心部分に丸ごと叩き込んでしまえばいける。今はそうね、弱りきっているけれど、いずれあの再生能力が完治するわ。その前になんとかして叩くのよ!』


 なんとかってなんだよ!


『え、その肝心な突破口はどうすればいいのかって? ……それぐらい自分で考えなさいよ』

「おい、先読みすんなよこのエスパー!」

『まあまあ。取りあえずその先は自分で考えなさい。それでもあのネットで大有名なデス・スナイパーさんなの? ……んじゃそろそろ切るわね、近いうちにまた会いましょう』

「あちょ待…………っ切っちまった。名前ぐらい教えてもらおうとしたのに」


 最後の最後にも、長々と話したのち言うこと告げると、ピッという通話の切断音とともに通話が途絶えた。

 このパーカーにそんな力があるという、暗に彼女なりのメッセージか?


「つーかなんで私のネットでのハンドネ知ってんだよ」


 すると。


「愛理さーん!」


 シホさんが手を振ってくる。

 颯爽と仲間達が私の方に駆け寄ってくると、一番にシホさんが私の両手を握り。

 相変わらず痛い。


「無事でよかったです」

「……シホさん強すぎですよその腕の振り方。愛理さんと言えども骨折でもしたら大変ですよ」

「そ、そうでした」

「やれやれねシホ。それで愛理なにか掴めた? そのバイタスはさっきよりボロボロになっているけれど」


 私の前に立つバイタスに視線を向ける。

 機構な物音を立てながら、こちらの方に前進する様子の姿があった。

 不完全ながらも体は十分に動かすことができる模様。

 だが今がチャンス。いち早く先ほど聞いた朗報を3人に伝えないと。


「聞いてよ、さっき誰かは知らないけどバイタスの弱点を教えてくれたんだ」


「え」

「え」

「え」


 数秒前の私のような反応とるのやめてくれない? 

 一同声を合わせ瞠目とさせた。

 うん、まんま数秒前の私がした反応と似ている。


「そんなに驚くなって。言うよ? ……アイツには上半身の内部に動力となる(みなもと)があるんだよ。それを叩いて壊せばいけるみたい。だから」


 頼もうとしたそのとき。

 3人はお互いの顔を見つめあった後、再び私の方に向き直り首肯した。


「答えは無用です。それに後ろに控えている冒険者さん達はどうやら自分の手には及ばないらしいみたいですし」

「……完全に私達に任せっきりの……」

「つまり貸し切り! そういうことね」

「ミヤリーさんそれを言うのなら独占と言いましょう」

「あ、そうとも言うわね」


 前知ったか振りなだけだろお前。

 だが、そんなミヤリーのボケっぷりはパーティーを和やかにさせてくる。


「それじゃあいっちょいきますか」

「……合点、補助、攻撃共々お任せください」

「マックス・ヘルンは後ろに控えさせてもらっています。彼を濫用(らんよう)するのも良くないなと思ったもので」


 シホさん、その判断は賢明な判断だと思うよ。


「さすがシホね。仲間を大切にするその気持ち大切だと思うわよ。私も全面的にサポートするから心配しないでよね。……万一、棺桶オチしたらそのときはスーちゃんに任せるわ」


 良いこと噛ましておき、同時に死亡フラグもさりげなく回収するミヤリーに、草のまた草を重ね大草原だが。

 あのぉミヤリーさん、お熱でもあるんですかね。

 彼女らしからぬセリフに違和感を覚える自分がいるが、ここは目を瞑り戦いに集中したいと思う。

 できれば即棺桶オチ、なんかは避けてもらいたいのが建前……いや本音(ゝゝ)である。


 私達はバイタスの前に立ち、最後の決戦を交えるのだった。


 その前に、新しいパーカーの詳細を確認しておこう。




☾ ☾ ☾



【ハイパー・ラビット・パーカー(HRP) 全能力値50%↑】


解説:九死一生の最中、パーカーの能力が全て消えた愛理に、バイタスを殴ることにより自分の魔力の源であった力が彼女のもとへと戻り吸収。そして新しい力となり戻ってきた彼女の新しいパーカー。以前と違い、格段と力が大幅上がり、各パーカーの能力・技から自分の能力へと付け足しそれを自分の力として使用が可能となった(各パーカーから3つまで※マスターは含めない)。この【ラビット・スロット】の機能に応じて能力値が変動する。これまで通りパーカーチェンジは可能である。




 なにそれ。

 全能力値、50%アップも度がすぎるくらいのぶっ壊れだがそれよりも。

 つまり、各パーカーから3つまでの能力・技をこのパーカーに蓄えられるってことか。

 この文面から察するに、すなわちマスターラビットの省スペース版と言ったところ。ゲームなどでよくあるスロット機能をここで採用してくるとは気前がよすぎないかこれ。

+アルファでなにかあるらしいが、順当に今度は技のほうを見てみる。

 さてどのように変化しているか確認してっと。



 ハイパー・ラビット・パンチ(ラビット・パンチの50倍以上出力可能)

 ハイパー・(ジェット)・ラビット・パンチ:遠距離から放てるラビット・パンチ。巨大な拳を粒子体を集め生成し放つ。射程範囲∞、自分が狙いを定めた場所に飛んでいく。

 ラビット・アクセラレーション(マスターより少ない50倍ほどの加速技)

 ラビット・ブースト:足に付いているバーニアを用いてある程度滑空することが可能(1度につき1~3分ほど)




 空飛べるとかやべえな。

 スカイの時一応飛べはしたけど、それが既存でつくのか。差別化するため、時間が設けてあるみたいだがこれそれほどではないよな。

 他にも、能力がいろいろ蓄えられているらしいが一旦割愛し。


「じゃあ行くぜみんな、こっからが私……いや私達の戦いだぁ!」


 大声で一声上げて、仲間一同バイタスに向かって駆けだし最後の決戦へと身を投じるのであった。

 あともうちょっと。

 ここが踏ん張り時。だから一緒に頑張ろうぜみんな。

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