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留年になったので異世界生活することにしました  作者: 萌えがみ
第10章 うさぎさん達の頂上決戦
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172話 うさぎさん巨大な強敵を討つ その1

【戦いの火蓋は切って落とされた⁉ 大勢の戦いですがやってやんよ】


 弾を撃つ。

 私の射撃を合図にして、冒険者一同が敵の方面へと疾走していく。

 蟻集を作りながら、自慢の武器を振り回しながら駆け抜ける。


 ドゴーンと、私の撃った弾が直弾するとバイタスの頭部に僅かながら穴ができあがる。

 だがしかし、以前同様に負った傷の箇所はみるみる内に再生していき。


「ち、やっぱり健在かよ自慢の再生能力はよ」


 冒険者達の群れに紛れ込みながらも、いち早く距離を次第に詰めていき。地面を軽く蹴って宙に身を浮かせ、私はスーちゃんとシホさんに合図を出す。


「2人とも! やっちゃって!」

「……合点いきますよシホさん」

「えぇ言われなくとも」


“ウルティム・ソード”

“ストリプ”


 声を合わせ解き放った2人の魔法と剣術の連鎖により、大の亀裂が入り、再生させまいとスーちゃんが動きを封じる魔法を唱える。

 これなら、2人が時間稼ぎしている間に特大のラビットパンチを叩き込めば……。


「あ、愛理見なさい! 止まるどころかあの再生能力全然元気よ!」

「……うわ、まじかよ!」


 ミヤリーの指さした場所を凝視とする。

 最悪なことにスーちゃんの魔法はその引力に耐えきれず、傷を入れた箇所はみるみるうちに再び治る。

 うわ、まじかよ2人の力を持ってしてもこんなのって。


「……すみません、敵の力があまりにも私の魔法より強いです。これ以上は限界です」

「落っこちるのはまずいな……ここはスカイにチェンジして」


 無理に滑空戦に持ち込んだので落下寸前。動きを安定させるべくスカイラビットにチェンジをし、仲間を安全に下ろす。

 ラビットアローで敵の数か所を狙い撃ちしてみるが、先ほどとなんら変わりなし、寧ろ弾力性がありすぎる。


「ありがとうございます。まるで歯が立ちませんね」

「……冒険者さん方が……」


 冒険者達が果敢にもバイタスの方に近づいていき攻撃。

 その同時に、やつの背中についたいくつもの機関砲が飛び出る。


「な、なんだありゃ! こちらに向かって……ぐぁあああああああああ!」


 差は歴然であった。

 幾百人にも及ぶ敵をその驚異の攻撃により全て倒してしまった。

 あれが新しく手に入れた力ってやつか。……悠長に眺めるのは少し、気が引ける行為かもしれんがこれで少しはデータは取れたかな。


【メガ・バイタス 解説: いくつもの地球上のエネルギーを蓄え強化していったバイタスの姿。巨大な体を自由自在に組み替えて攻撃を行う。あと分散攻撃も可能】


 メガって名前が付いたのか。前々から思っていたんだけどバイタスって名前これってよもやあれか。

……と1つ疑問が浮かぶ。そうこの分散というワードだ。


「分散って一体……」

「愛理、なんかあのバイタスまた仕掛けてきそうよ」


「ギャアアアアアアアアアアア……」


 体からなにやら得体の知れないXをばら撒く。粘度ある凝固されたような物がいくつも。

 解き放った物体は飛んでいる最中、違う物体へと体を組み替え…………あれ、もしかして自由自在ってそういう意味だったのか⁉


「ななななな、なんだぁ飛んでる物体があのうさぎもどきに変身しただと⁉ こ、こっちに向かってぐぁ!」


 うさぎもどきっていうのは恐らく私のことを指していると思う。

 いくつも私に擬態化したバイタスの物体は、銃と拳を交えて冒険者達を完膚なきまでねじふせ倒していく。

 どうやらこの自由自在という単語。……正確には自由自在に分散させ攻撃、変身することも可能になったという意味。以前は単体でないと擬態は不可だったが今回は違う。飛ばした物も制限なく……おっとこっちにも3体ほど向かってくるぞ。


「ちょ……! こんなのありかよ」

「驚きましたね……ッ。 まさかこうやって分散に加え擬態してくるとは」

「それぐらい知能が上がったってことなんじゃない? ふゎ! 全く迷惑な話よ」

「フレイア! フレイア! ……駄目です分身とはいえ強度な耐性があります。ちっとも私の中級魔法を受け付けません!」


 対処しながら語りかける。

 私は拳を交えながら複数体のバイタスの分身と戦い四方面、仲間達も力を振るうって戦っていた。

 力は私とそんな大して変わらないくらいの性能で、もはや諸パクリ……冗談も抜きにしろと言わんばかりの性能っぷりだった。


「……ったく違法コピーとか聞いてないよ! 学校で習わなかったのかい! ラビットチェンジ……アシッド! 食らえ腐敗しろ!」


 アシッドにチェンジして、腐敗させる霧をばら撒く。

 大丈夫、感染させる対象も設定できるから。……仲間側には影響及ぼさないようにして。

 範囲は小規模ではあるもののまき散らした毒の霧を受けたバイタスの分身は、ことごとくと消滅していった。

 違う方面から迫り来る分身に対しても。


「さぁて電動毒でも浴びさせてやろうか! アシッド・ショット! 次はぶった切る」


 撃っては切り、撃ってはまたチェーンソーに変形させて攻撃するのワンパターン。

 命中しただけであっさりとやられ、まっ2つに千切れ決壊。

 なんかさぁ戦っている最中に、このように思うのは変かもしれないけど自分で自分を切っている気分で、少々Mな行為をしている心境だが、それはさておいて……。


「た、助かりました。単体とはいえ性能はそこそこ強いです」

「私も何体かに踏み潰されたんだけど……シホの援護もあってなんとか倒せたわ」


 それあれだろ、お前モンスターにも弄ばれているんだよ。


「ん、まあ分身が私本体だしね……弱いわけないよ」

「混合魔法を駆使して倒しましたが……正直私の魔力が持つかどうか」


 スーちゃんは2属性の魔法を使いながらバイタスの分身に攻撃していた。

 少々息が漏れ気味なスーちゃん。彼女のいうように魔法使いは魔力切れが致命的だ。もし魔力が枯渇でもすれば、苦戦を強いられることになる。


 なんとかバイタスの中心を叩くことさせできれば。


「愛理さん、身構えていますけど行くなら一緒に行きますよ」


 みんな意見は一緒だった。

 反論する者はひとりも現れず、全員が私に賛同してくれた。

 だがスーちゃんが少々危険だ。ここは一旦ミヤリーにここの番は任せるように言って。


「なんか私いつも見守り番っていう役割になってない?」

「気のせい気のせい。それに全員で乗り込むのは容量が悪いしな騙されたと思ってここはやってくれよ」

「わ、分かったわでも危険だなと思ったらすぐ帰ってくるのよ」


 だからお前は私のオカンかっつーの。

 心配する視線を匂わせ、目を潤わせるミヤリー。そんな目で見られると少し背徳感があるが。

 今は目の前のことを的として……さてどうするか。


「でもどう潰そうか……やつの大きさは」

「……では愛理さん強引ではありますけど威力を増ささせそのまま愛理さんのパンチを叩き込むというのは?」


 そうかその手があったな。

 でもそんなのどうやって……とシホさんが。


「(口笛) マックス・ヘルン!」


 その合図と共に全速疾走で果敢に現れたのは。

 シホさんの相棒マックス・ヘルンだった。


「なんだなんだ⁉ あの馬は……馬とは思えない超スピードであの腹ぺこ女の方に向かって……!」


 到着。


「ヒヒーン!」


 マックス・ヘルンが私達の前に姿を現した。

 そして早く乗れよと、私に合図を出してくれる。


「この子なら誰にも負けない速さを出してくれるはずです。……スーさんは魔力の温存を……ミヤリーさんスーさんを守ってあげてください」


 シホさんはマックス・ヘルンに騎乗し、手綱を持った。……そして私の方に手を差しのばして私を。


「さぁ愛理さん大きいそのパンチの一発をあの怪物にやっちゃってください! 私と彼が全面的に援護しますので!」


 導かれるままにその手を取り。

 私はシホさんの後ろに乗る。おっと能力の補正があるとはいえ、イマイチ動物の乗り方というものになれないのはなぜか……まあいい。妹にこれで馬鹿にされようとも私は知らん。

 今はヤツを倒すのが先決だ。……待っていろよバイタス。シホさんの件といい、ナメップ星人の件といいここまでくるまで散々な目に遭ったんだぞ。早くこの戦いに決着をつけて勝利をこの手で収めに向かわせてもらう。


「さあ行きますよ! 愛理さん、マックス・ヘルン!」

「ヒヒーン!」


 シホさんが手綱を引くと私達は大元のバイタス……もといメガバイタスがいる位置へと再び駆けていくのだった。

 不吉な予感がするけど、頼むぜマックス・ヘルン頼りにしてるぞ。

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