170話 うさぎさん達、決戦の準備なう その2
【事前の準備って大変じゃね】
場所を変えて彼の働いている店周辺にある丸いテーブルへ。
人気も少なく、本当に人が来ているのかと疑いたくなる過疎っぷり。
「あのさブラフ、人来てる? 大丈夫なのこの店赤字になって廃業寸前なんじゃ」
「「なっとらんわ! 少し他の店に客を持って行かれただけだよ! だからお前そんな気を遣うような目するなよ」」
うん、業界って難しいものだ。
客が減るとやる気っていうもの失せてくるよね。儲けるということはどの世界に行っても難易度はそれなりに高いらしい。
「……それでブラフさん、バイタスの状況は?」
「そうだな、一応ギルドの方にも声をかけて警告しに行ったが、ギルドの人があたふたしていたぞ」
「ただ事ではないって感じね。そういえば来る途中外で冒険者達が小声で幾人集まりながら作戦会議をしていたような」
確かに見かけた気がする。
ギルド周辺を通る際に冒険者達が、周りをちらちらみながら仲間同士で話し合っている姿が。
あれはギルドの人達が手を回してくれたあとの余波なのかもしれない。
そうなると、のんびりこれはできなさそうだな。
「あいつはいつくるの? 明日、今日? それとも」
スーちゃんの情報では一週間後だったな。
もしブラフがここで1週間後と答えれば、スーちゃんが今朝話してくれたことが正夢になる。
あのバイタスには色々と借りがあるしな……正直なことをいうと愛理さんは宿題はさっさと終わらせてゲームするタイプだからその思考がはたらいているとも言い切れるが。
「1週間後だな」
「ほう」
「これは……スーさんの言ったとおりなのでは……」
「まじなの?」
「嘘偽りはないぞ。ちゃんと俺の機械が算出してくれたデータだ。場所を特定するのに時間がかかったが……ようやく足取りを掴めた」
裏で色々と動いてくれたんだな。大層それは立派で敵(仮)ながら尊敬する。
外のど真ん中に出現するみたいだから、この前のようなヘマはしないようにっと。
シホさんは腕を組みながらなにやらいつになく険しい顔つきをしている。
それほど、今回の敵は大物。今こそあの日の決着を果たすとき……なーんつって。マンガやアニメの主人公ならこのときそんなセリフを言いそうだな。
「それで倒す方法はないの? あいつ実質無敵じゃん私のパンチでも諸ともしなかったし」
「ですよ、あんなに何度も形を変えるモンスターなんて異例です。祖国のものでしたらなにやら弱点の1つや2つあるのでしょう?」
「期待を裏切るようで申し訳ないがそのようなものは……前にも言ったが断じてない。完全な死の概念すら存在しないモンスターなんだよ」
はあやっぱそうなるかぁ。
一応なくはないのだが……あれって短時間しか使えないけど大丈夫かな。
マスターの力がどれぐらいヤツに通用するかという話。
……他に思いつくことがなかった私はブラフに答え。
「どうなるかわからないけど、一応策はある……こいつを使って」
「あ、それ愛理の超超超超強い服じゃない。あんなやつきっとイチコロよ」
ガジェットを差し出して堂々と答えた。
なんだよそのSNSでよくありそうな、クソ長いハッシュタグみたいな文面は廃になる気かな。
ブラフはそれを見て興味深そうな目つきで瞠目すると。
「地球にこんなすごいものが……俺はただ指をくわえて見ているだけだがやってくれるんだな?」
「おう。あと協力するからにはそれなりの報酬、あと今後私達に余計な被害を遭わせない…………それ約束してくれたらやってくあげるよ」
色々と近所迷惑しにくるやつがうちにくるからな。もうそれ懲り懲りって。
こうして抑止することでほとぼりが冷めるかは分からないが念には念を。
するとブラフは額から汗を垂らしながら慌てた様子で。
「わ、わかった。侵略はどうかわからないが、高額の報酬はだそう舐めるなよナメップ星人の財力を!」
「…………だってさ、それでいいみんな?」
一同私が一通り話を終えると、再び仲間に賛同の声を掛けた。
3人とも拒否的な反応はとらず首を縦にふると、グッドサインをだしてくれた。……いや口で言いなさい。
☾ ☾ ☾
ブラフと分かれて数分。
彼は影ながら私達に応援しているの一言を告げたあと、どこかへと去っていった。
なんでも野暮用があるとかどうとかって。
ギルド周辺まで足を運んだ私達はそこで。
「情報集めに手分けして話きいてみませんか? 私はミヤリーさんと愛理さんはスーさんと一緒で」
「理由は? いつもならシホさんと一緒なパターンが多いけど今日はどうしたの意外な組み合わせなんかして」
唐突に手分けして情報集めをしようと提案してくるシホさん。
言われてみれば、ゲームにおいて情報収集は大事だからな。……それに群がっている人の雰囲気もとても気になってしょうがない。やはり一大事なのか、この前のような後悔をしたくないのならひとつでも多く情報を集めないとな。
でもふと疑問に思うことが意外な組み合わせをシホさん直々に提案してきたのだ。
なぜに私とスーちゃん? 決して嫌いではないけどここはいつもの組み合わせかなと思った矢先逆の組み合わせがきた。どういう風の吹き回しか。
「承認はスーさんでしょう? なら彼女が愛理さんを導いてくれるかなと」
「……私は今はそれくらいの有力な情報しか持っていませんが……シホさんがそういうなら」
「うし、わかった予言を当てたスーちゃんとの組み合わせならいいか。もしかしたら途中でなにやらその夢の内容を思い出したらそれが手がかりになるかもしれないからな。頼むよスーちゃん」
約束の場所指定して数分後。
私達は二手に分かれて、バイタスに関する情報を聞き回るのだった。