(10)
「ねぇ?タツミ。そのマントを取っちゃいなよ」とリィヤ。
「そうだな。この時間にマントを脱いでも平気なはずだゼ?」とラィヤ。
「本当?」とタツミはこぼれそうな満面な笑顔を見せて黒いマントを脱ぎ捨てる。
彼の短い銀色の髪が外の空気に触れて少しなびいた。
タツミの痛々しい両腕の刺青が薄い太陽の光に照らしだされる。
「へぇ〜。君、やっぱりあの有名な均整師なんだ〜」とどこからか声が聞こえた。
タツミは声のした方を向く。
すると、そこには白いマントをはおった、あの先導師が立っていた。
「ひどいわね?さよならも言わないで街を出て行こうとするなんて?」と彼女は笑って言う。
「君、一人旅でしょ?良かったら俺と一緒に旅しない?…ほら、先導師は均整師と一緒に旅した方が闇を生みにくいから良いって言われるじゃない?」
「俺はもう闇を作らない…」とタツミ。
「あら?無理よ闇は絶対に現れるもの…それにその聖痕と刺青も近くに先導師が入れば傷が浅くなっていくはずよ?」と先導師。
「好きにすれば…」とタツミ。
「じゃあ、私も好きにさせてもらおうかなぁ?」と突然、青いマントを着た青年が建物の中から姿を現した。
「誰?」と驚く先導師に青年は「私はピキャオの天秤師のジン・チャンオウと言います。よろしく先導師さん」と自己紹介をした。
「あっ!!天秤師なんだぁ〜」と先導師は納得すると「俺はネリマの先導師のレンジョウ・ユメカ!ちなみに19才よろしく」とユメカはジンと握手を交わした。
そして、ユメカはタツミの前に手を出して「ねぇ?君の名前は?」と聞いた。
「…クーラの均整師タツミヤス・カミュ」とタツミは恥ずかしそうに呟く。
「タツミね、よろしく!!」とユメカは言って笑った。
「早く、この街から出ませんか?もうすぐ村人が起きて来ますよ」とジン。
タツミは黒いマントを拾い上げフードを被った。
「じゃあ、早く出なきゃ!!」とユメカ。
「早くしろよ!」とタツミは街の外へ向かって走りだす。
「あ〜っ!待ってよ〜!!」とユメカがタツミの後を追い、ユメカの後をジンが猛スピードで走ってくる。
「タツミ!待て〜ぇ」とジン。
「イヤだよ…」とタツミは楽しそうに笑いながら走った。
「そんなに走ると転んでマント取れて、光浴びるぞ」とジンが笑いながら言う。
「そうだよ、コケるよ〜?」とユメカも笑う。
「うるせぇ〜」とタツミ
は意地を張って言う。
リィヤがタツミの隣を走りながら静かに言った。「ねぇ?タツミ、仲間が出来たね?」タツミは嬉しそうにリィヤに笑いかけた。
タツミとユメカとジンの三人、そして、リィヤとラィヤの二匹がもうすぐ登る朝日に向かって笑いながら楽しそうに走って行く。
彼らの旅は始まったばかり…。
~END~
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by.天海 聖哉&成田 慎也