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箱入り娘は冒険に出る  作者: 陽ノ山猫太郎
一章
9/42

幻惑の森

 あれから数日が経ち、私は外の探索も兼ねて簡単な採取依頼をこなしていた。もちろん、毎日着替えてね。

 そんなある日、以前小鬼と戦った場所のさらに南東へ進んで歩いていると、突然目の前に森が出現した。


「うわっ」


 さっきまでは霧のようなもので先が白く覆われていたのに、いきなり景色が変わったことで驚いてしまう。


 それに、森の中からいろんな色の影がいくつも動いていてこの森は危険だと直感でそう思った。

 そうなると取る行動は一つしかない。


「こんなの入るしかないでしょっ」


 私は好奇心が他の気持ちを圧倒し、森の中へ足を進める。


 しかし、森の中を少し進んでみたが特に何かが起こることはなかった。


 数十分ほど歩いたあと、少し違和感に気づく。


「あれ?さっきから同じ景色ばかりね。森って案外こういうところなのかな」

 

 森というところが自分の思っていたよりも退屈な場所だったと思い始めながらさらに歩いていくと、だんだんと辺りが霧のような白いモヤに覆われてきていることに気付いた。


「な、何だろうこの感じ…あれ?誰かいる」


 視界が悪くなってきたが、少し離れたところに数人の人影が見えたので早足で近づいていく。


「あー、くそっどうなってる。何回目だよこの木の傷痕を見るのは」

「はぁ、ディアンサさんともはぐれちまったしどうするよ…」


 そこにいたのは見覚えのある二人だった。


「あれ?ニワトリのお二人じゃないですか?」

「ん?ああ!あん時のお嬢ちゃんじゃないか」

「覚えてくれていたのか!でも何でここに?」

「ええ、さすがに忘れませんよその髪型は」

 

 二人と情報交換をする。

 どうやらカイルさんからの依頼でここへ調査に来たらしい。

 ちなみに彼らは南エリアの冒険者らしい。知らなかった。


「おっと、そういやまだ名前を言ってなかったな。俺はメント、こっちはスコーラってんだ」

「ソニアです」


 うーん、メント…スコーラ…なんか妙に語呂がいいわね。よく分からないけど深くは触れない方がいい、そんな気がする。


「ディアンサさんと一緒に来たんだが途中ではぐれてしまってな、困っていたんだ」

「気になりますね、とにかく来た道を戻ってみませんか?」

「うーん、何回か試してみたんだがとにかく動くしかないもんな、行こうか」


 私が通ってきた道を十数分歩くと、少し拍子抜けしたことに森の入り口に戻ってくることが出来た。


「ずいぶんあっさり出れましたね」

「おおっ、やっと出られたぞ」

「ああっ、ソニアちゃんが導きの女神様に見えるぜ」

「女神様だなんて、フヘヘ…はっ、ごほん」


 いけないいけない、ハスィさんの笑い方がうつってしまった。きっと毎日聴いているせいね。


「あぁ、ソニアちゃん頼みたいことがあるの。って二人とも!?無事に帰ってこれたのね」

「そうなんだよ、ソニアちゃんが連れ戻してくれたんだよ」

「たまたまでしたね」

「良かったぁ、なかなか帰ってこなかったからカイルに相談して応援を呼ぼうと思っていたのよ。でも、ソニアちゃんあの森に入ったの?」

「ええ、突然目の前に出てきて気になったので」

「とても幸運だったわね。あの森は幻惑の森っていって入るとなかなか出てこれないことが多いのよ。私と一緒だから大丈夫だと思ったけど失敗だったわね…」


 魔術師は何かあまり迷わないらしいから、一緒に調査しに行ったみたいだけどはぐれてしまったせいでほとんど成果は無かったみたい。


 でも真っ直ぐ歩いてるはずなのに迷うなんて変よね。私はなぜかすぐ帰ってこれたし今度また調べてみようかな。


「フヒッ、お疲れ様です」

「あの、ギルドの受付ってみんなハスィさんみたいな人なんですか?」

「ヘヘヘッ分かりませんよ。会って見てからのお楽しみです」

「…気をつけなきゃ」


 達成報酬を受け取って宿屋へ帰ると、今日の分の日記をつけるために机に向かう…。

 

お読み頂きありがとうございます。

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