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箱入り娘は冒険に出る  作者: 陽ノ山猫太郎
一章
8/42

汚い

「おお、おかえり。どうだった?何か分かったか?」

「その腕、怪我したの?大丈夫かしら」

「はい、深くはないですし手当てもしたので。報告しますね」


 ギルドに帰るとディアンサさんも帰ってきていた。

 私は外でのことをそのまま伝える。


「うーん、そこにも変異体か…やはり何か異変が起こっているのだろうか」

「ふふっ、私はきっと出来るって思っていたわ」

「でも巣は爆弾が無かったのでまだ壊せてません」

「それならすぐにディアンサを向かわせよう。とにかくよくやってくれたな、報酬を受け取ってくれ」


 ハスィさんから銀貨二十枚をもらった。五枚も追加で貰っちゃった。これでしばらくは生活に困らないね。

 

 あ、そういえば変異体の頭を渡せばまた追加で貰えるかな。

 ハスィさんに頭を見せると


「きゃんっ…そ、それは?」

「倒した変異体の頭です」

「ヒ、ヒヒッそんな怖いもの見せなくてもちゃんと払いますよ。ブフフフ」


 そう言って追加で銀貨三枚もらった。というかわざわざ頭を持って行かなくていいのね。良かった。


「ところでこの前から気になってたんですけど」

「うん?どうしたの」

「ディアンサさんの頭についている猫の耳ってどうやって作ったんですか?まるで本物みたいですよ」

「ん?これは私の本物の耳よ」

「ははっ、ディアンサは獣人だからな」

「獣人?もしかしてヒト以外の種族ですか?」

「そうだ。だから常にモフモフなんだよ、本物だからな」

 

 ディアンサさんが腰に手を当ててドヤ顔している。


「他にも違う種族がいるんですか?」

「ああ、ドワーフとかエルフだな。武器屋の店主はドワーフだったな。背が低くて髭が濃いのが特徴的だ」

 

 なるほど、確かに背が低いとは思ったけどそういう理由だったのね。

 エルフは本で読んだことがあるから知っている。耳が長くて長生きする人たちだって。


「それなら魔族はどのくらいいるんですか?」

「ま、魔族だと!?そんなおっかない奴はいないよ。怖いことを聞くんだな」

「そうですかー、やっぱり魔族と人間って仲悪いんですね」

「他人事みたいに言うんだな…。いいかい、滅多に無いと思うがもし魔族と出会ったらすぐに逃げるんだぞ。何をしてくるかわかったもんじゃないからな」


 話が一区切りして、今日はもう帰ろうと外に出ると


「おい、そこのお前」

「…」

「お前だよお前」

「…」


 誰を呼んでいるんだろうと思い、声の方向に目をやると黒い服を着た白髪の男の人と目が合った。


「あ、私?」

「そうだよお前ここの冒険者だろ?汚い格好しやがって」

「き、汚い…」

 

 なんて失礼なの…こっちに来てからこの服しか着てないけど。というか私の服とかぶっててなんか嫌だな。


「そんな汚い格好でうちのギルドを出入りしてんじゃねえ」

「何よいきなり、あなたは誰なのよ」

「ふん、俺の名前はブルーだ。このギルドのナンバー2だ、偉いんだよ俺は」


 黒い服に白い頭で名前はブルーって…それはさすがに失礼ね。


「でも格好は関係ないでしょ、それに服はこれしか持ってないのよ」

「ふん、そういうことならついて来い」

「え?」

「そんな格好でいられちゃ困る。もっとマシな服をやるよ、さっさと来い」

「あー…うん、分かった」


 何だろう、感じ悪かったけどこの人もホントはいい人なのかな?


 その後、冒険者用の服屋に連れて行かれ私のサイズに合わせた服と防具の上に着る黒色の上着を何着かもらった。


「ありがとう、さすがはナンバー2ね」

「ふん、そう思うなら今後もよりギルドに貢献できるよう励むんだな。」

「カイルさんと違って苦労してるの?」

「ああ、あのおっさんが大抵の仕事を押し付けてきやがる。書類仕事はよく分からんとか言ってな」

「だからそんな頭になっちゃったのね…私のおじいちゃんと同じだわ」

白髪(しらが)じゃねえよこれは地毛だ!」

「なーんだ」

「この…まぁいい、とにかく順調に活躍してるようなら高報酬の指名依頼も考えてやる。しっかり働くんだな」


 ブルーと服屋で別れて宿に向かう。

 この服洗濯してなかったからカイルさんももしかしたら私のこと汚いし臭うと思ってたのかな。

 帰ったらとりあえずこの服はパメラに言って洗濯してもらおう…。

お読み頂きありがとうございます。

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