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箱入り娘は冒険に出る  作者: 陽ノ山猫太郎
一章
2/42

冒険者登録

「えっと、南門から入ってきて今いる宿は…ここね」


 あれから私は無事に近くの宿屋を見つけることが出来、軽い食事の後すぐに眠ってしまった。そして今は朝食を終えて宿屋のご主人さんから借りた王都全域の地図を見ている。


「それにしても王都がこんなに広いなんてね、想像の十倍くらい?」


 昨日私が入ってきた入り口は南門で他に西と東、合計3カ所あって、王都の中は大きく五つのエリアに分かれているようだ。


「南エリアにもギルド支部はあるみたいだけど冒険者の登録は中央エリアにある本部まで行かないとダメなのよね」


 王宮は北エリアにあって西と東エリアにもそれぞれギルド支部があるみたい。というか地図に書いてあるからそう呼んでるけどそのまんまなのね…。


「それにしても本部までここからこんなに遠いなんてね。歩いて何時間かかるんだろ?」


 とりあえず出かける用意を済ませて地図を返しに行こう。


「地図ありがとうございました。あと野菜スープ美味しかったです。」


「おう、ソニアちゃんこれからどこかに行くのかい?」


「はい、ギルド本部に行きたいんですけど遠いんですよね」


「それならここの近くの広場に馬車の停留所があるからそこから中央エリアに連れて行ってもらうといいよ」


「馬車…ですか、分かりました!ありがとうございます。では行ってきます」


 ……歩いて行こ。しばらく馬車には乗りたくないわ。それに歩きながら街並みを楽しめるし。



 ギルド本部を目指して数時間歩いているといきなり建物の色合いが変わり、歩いている人が減ったので、中央エリアに入ったことに気づいた。


「色で区別しているのね。南エリアの建物が全体的に暗い青色だったのはそのせいね」


 対して中央エリアの建物は全体的に白色が多く使われているのね。

 

 そんなことを思いながらギルドまでの道のりを思い出していると少し離れたところから体格の大きな男の人が二人が近づいてきた。


「やあ、何かお困りかな?」

「俺たちが手助けしてやるよ」

「はい?」


 まさか話しかけてくるなんて。なんか二人ともニワトリみたいな髪型してるし、鎧?みたいなのを着てるけど胸元が大きく空いているし…

これ、お母さんが言ってた怪しい人よね?


「冒険者ギルド本部に行きたいんですけど、道は一応分かってるん…」

「おぉ、俺たちもちょうどそこに用があるんだ。せっかくだから連れて行ってやるよやるよ」

「えぇ…」

「大丈夫さ、すぐ近くだからさ」


ちょっと強引ね。これ断って方がいいのかな?でもこの人たちが見た目に反して冒険者とかそこの偉い人だったら良くないよね。


「それなら…お願いします」

「よっしゃ、そうこなくちゃな!」

「怖がらなくていいさ、このエリアはほとんど冒険者しかいないけどいい人が多いんだよ」


 ホントかなぁ?

 

 そうして違う所に連れて行かれないかなと不安になりながら、変な二人組について行くこと数分、


「着いたぞ、ここがギルド本部だ」

「あ、ありがとうございます」


 連れてこられた大きな建物を見ると看板に『冒険者ギルド本部』と大きな字で書かれていて、それなりの人が出入りしていた。

 どうやら変なところに連れ込まれたりはしなかったみたい。っていうかホントにすぐ近くじゃん。


「奥にいる受付が何でも対応してくれるぜ」

「君は冒険者登録しに来たんだろ?良かったら俺たちがいろいろ教えてやるぜ?」

「それは結構です。」

「そ、そうか」

「もう行かないと、それでは道案内ありがとうございました」

「あぁ、またな!」


 あれ?普通にいい人だった?ならちょっと申し訳無かったかな。

 そう思いながらギルド本部の中に入り、周りを見渡してみる。

 広いからというのもあって、中にいる人は思ったより少なく、数人のグループがいくつかのテーブルで座って話をしている。みんなベテランって雰囲気を出している。多分。

 奥のいくつかある受付のとなりに何かの貼り紙がたくさんしてあり、それを十数人の人たちがそれを見ている。

 

「受付はどこも空いてるのね」


 私は奥に進み、受付の女性の一人に近づくと、


「ようこそ!ご用件をお伺いします」

「どうも、冒険者登録をしたいんですけどここで出来ますか?」

「もちろん出来ますよ、こちらへどうぞ」


 そう言われると受付の横の扉が開き、中に入るよう促される。

 何か大事なお話でもあるのかな?


 女性に案内された部屋で少し待つと、


「お待たせしました」


 さっきの女性が何かを持って戻ってきた。


「こちらにお名前と年齢、種族をご記入ください。それとこれが冒険者証です。それからもし出来るなら、こちらに魔力を流してみて下さい」


 そう言って私に冒険者についての説明が書かれた紙と楕円形の輪が斜めに交差した形をしたバッジと手のひらサイズの黒い透明な板を渡してきた。

 この板なんだか不思議な感じがする。あと種族?私はヒトでいいのよね。他にも種類があるのかな。

 

 えっと、ソニア 16歳 ヒト っと。用紙に記入してから尋ねてみる。


「この板はなんですか?」

「ステータスボードです。魔力の扱いが出来る人は自分の今の状態とか、持っているスキルとかが分かるんですよ」

「すごい!そんなことが分かるんですね。魔力なら私にも扱えますよっ」


 お父さんが外の世界を冒険するならある程度戦えないといけないって言ってたから、私が家を出る日まで何年も訓練してたからね。

 お父さんとお母さんがつけてくれた稽古は厳しくて大変だったけどおかげで剣の振り方も分かるし魔法もいくつか使えるようになったのよ。お母さんも私の魔力量は普通の魔族よりも多いだろうって言ってくれたし。お母さん以外の魔族に会ったことないからよく分かんないけどね。


 渡されたステータスボードに魔力を流してみると、文字が浮かび上がってきた。


_______________________

ソニア


健康


スキル     魔法


アナライズ   ーーー

ファイア

シールド


_________________________



「うーん、魔法は分かるんですけどスキルって何ですか?」


「えっと、実はまだよく分かっていないんですよね。スキルっていうのも言葉もこのステータスボードを作った人がつけたもので、強いて言うなら魔法以外で使える能力ってところですね。」


 みんなもよく分かってないなんて…あれ?魔法以外?スキルの欄に覚えた魔法が書いてあるけど、もしかして私が今まで魔法だと思って覚えたものはスキルで魔法じゃないの?


「魔法について詳しいことは冒険者さんたち、そうですね『魔術師』を名乗っている方たちに聞いてみるといいですよ」

「そうですね。見つけて聞いてみます。」


 確かに分からないことは誰かに聞くのが一番ね。それに知りたいことは他にもたくさんあるから魔法のこと以外にもいろんな人に聞いてみようかな。


「ってソニアさん!もう既にいくつかスキルをお持ちじゃないですか。それなら能力測定と依頼の受注制限は無くても良さそうですね」

「?」

「それでは最後に大切なことが二つあります。冒険者証はいつでも必ず身につけていてください。それと、何かの事情が無い限り最低でも半年に一つは必ず依頼を達成して下さい。もし出来なかった場合、冒険者資格を失ってしまいます。必ず気をつけて下さいね。それと…死なないでくださいね」

「あ、はい。わかりました」

「以上で手続きは終了になります。お疲れ様でした」

「え?これだけですか?結構あっさりしてるんですね」

「はい、終わりですよ。あとそのステータスボードはソニアさんに差し上げます。活用して下さいね」


 受付の女性と一緒に他の冒険者たちがいる広間に戻る。

 最後何か引っかかることを言われたけど…。

 名前を書いただけで良いなんて驚きだったけどこれで憧れの冒険者になれたのよ。やりたいことは沢山あるけどそれは明日にしよう。

 今日の晩ご飯はご馳走がいいな。


 そうして少し浮かれながら私は宿へと帰るのだった。

基本的にソニア視点で進めていきます。

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