表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
うつぼ作品集  作者: utu-bo
9/65

要らない旦那に読ませる魔法の絵本。

毒リンゴです。お一ついかが?


ディズニーチックな風体の老婆に呼び止められた。


ここは電気仕掛けの街。


電気で光り。


電気で動く。


魔法とか、そんなディズニーチックなものなどないはず。


だが、目の前には毒リンゴを差し出す老婆がいる。



これ、TVショーか?


毒リンゴです。お一ついかが?



老婆は繰り返すので。


俺は真っ赤な毒リンゴを受け取り、握り締める。


目の前のディズニーチックな風体の老婆が何の目的を持ち、誰に頼まれたのか、そんなことはどうでもいい。


ともかく俺は真っ赤な毒リンゴを一つ手に入れた。











なあ、リンゴ食べない?



道行く人に、自分好みの女の子に声をかける。


髪の長くて。


足首がキュッと締まってる女の子。


真っ赤なリンゴはポッケに入れてある。


嘘か?まことか?毒リンゴ?


せっかく手に入れた毒リンゴなのだから。


ぜひ試してみたい。


そう思うのは当然だ。


かといって、彼女で試すわけにも。


かといって、女房で試すわけにも。


かといって、子供で試すわけにも。


そういうわけで、こうして電気仕掛けの街で声をかけているわけで。



どうせなら自分好みが望ましい。




なあ、リンゴ食べない?




ポッケにある毒リンゴを季節外れのコートで磨く。




やっぱリンゴじゃ釣れないね。




諦めようとした時。




おいしそうなリンゴですね。




そこにはプリンセスチックにコスプレした女の子がいた。




お一ついただけるかしら。




上品な口調で、女の子は言う。


よく見れば。


髪が長くて。


足首がキュッと締まっている。


自分好みな女の子だ。



周りを見回して。


電気仕掛けの街を確認する。




本当においしそうなリンゴだわ。




プリンセスチックな女の子は一口毒リンゴをかじる。


毒リンゴが喉元を過ぎていく。


俺は唾を飲み込んだ。




嘘か?まことか?毒リンゴ?





女の子は地面に座り込み、倒れていく。





マジか?毒リンゴ。





そして、俺は取り押さえられた。














そう、珍しく子供に絵本を読んでいたはずだ。


あんまり女房がしつこく絵本を読んでやれとうるさかったから。


だが、気がつけば、牢屋に入れられている。


毒リンゴをプリンセスにかじらせた罪でだ。



電気仕掛けの街は目の前にはない。


薄汚い牢屋の中で一人きりだ。


女房の姿も、子供の姿もない。


よく見れば、俺の格好も変わっている。


寝間着を着ていたはずなのに。



茶色くて、貧乏くさい、1枚布の服を着てやがる。


どういうことだ?


これは夢か?


どこから?


毒リンゴの下りからか?


この牢屋から俺を出してくれ。





あら、寝ちゃったの?


パパは?



あたしは子供に毛布をかけた。


そして、絵本の中の牢屋の絵を見て、微笑んだ。


そこには旦那に似た男がみじめに鉄格子を掴んでいる。


別れたいといっても。


別れてくれなかった旦那。


浮気ばかりする旦那。




いい気味だ。



あたしは絵本を閉じて。


他の本と一緒に縛り付ける。




なんのことはない。


明日の廃品回収に出すだけだ。


これであたしもあの男から解放される。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ