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渡り鳥さんの恋
渡り鳥さんが屋根に留まって。
ねえ、あなたって素敵な翼の色をしてるわ。
あたしと一緒に海を渡りませんか。
渡り鳥さんは勇気を出して、コクっちゃったの。。
渡り鳥さんの翼よりも、ずっと派手で素敵な色をしてるから、そんな彼に一目惚れしてしまって。
渡り鳥さんが返事を待っていると。
風がビューっと吹いたわ。
すると、彼はくるりとそっぽを向いたの。
まっ、失礼しちゃうわ。
お高く留まって。
もう、いいわ。
渡り鳥さんは怒って、空へと飛んでいって。
屋根に一人取り残されたのは風見鶏さん。
風の吹くままに回るだけ。
どんな素敵な色の翼も。
飛べない鉄の翼。
渡り鳥さんと一緒に海を渡りたいけれど。
それは叶わぬ恋。
風の吹くままに回るだけの風見鶏。
また風が吹いて。
風見鶏さんがくるりと回って。
羨ましそうに渡り鳥さんを眺めるだけ。
そうして、渡り鳥さんの恋は終わりましたとさ。