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うつぼ作品集  作者: utu-bo
27/65

サンタさんのクリスマス会

毎年のことです。


クリスマスの夜空を彩るのはサンタさんのソリ。


シャンシャンシャン。


シャンシャンシャン。


素敵な鈴の音を奏でて。


子供達にプレゼントを配って。


サンタさんはお家に帰る途中。


「ふぁ?あ。」


サンタさんはおおあくび。


空っぽになったプレゼントの袋にくるまって、サンタさんはスヤスヤ。


ソリをひくのは赤鼻のトナカイさんでちょっぴりウトウト。


突然、現れたのは大きなジャンボジェット機。


赤鼻のトナカイさんはびっくりして、急ブレーキ。


キッキーッ。


飛び上がったのはソリのお尻で。


飛び出したのはサンタさんで。


プレゼントの袋にくるまったサンタさんは真っ逆さま。


あぶな?い。


いやいや、プレゼントの袋が大きなパラシュートになって。


ふわりふわりと降りて。


大きな木に引っ掛って。


サンタさんはブラブラ。


ドスンと落ちても。


しりもちをついても。


サンタさんはスヤスヤ。





お星さまがお日さまにおやすみなさい。


お日さまがお星さまにおはようございます。



朝がやってきました。





サンタさんはどうしたのでしょう?


おやおや、大きな木の下でまだスヤスヤ。


あらあら、そこは大きな木のある保育園で。


大変ですよ。サンタさんが大好きなみんながやってきますよ。


スズメさんが心配して、チュンチュン大騒ぎ。


それでも、まだまだサンタさんはスヤスヤ。


そして、先生と子供達がとうとうやってきました。




「昨日ねぇ、サンタさんがうちに来たんだよ。」


「へぇ?、すごいねぇ。」


「サンタさんに用意したクッキーだって食べてくれたんだよ。」


「お手紙だって持ってってくれたんだ。」


子供達のサンタさん自慢に先生が返事をして。


ワイワイガヤガヤ。


ガサガサゴソゴソ。


「ふわぁ?あ。」


サンタさんが大きなあくびをして。


草陰から頭を出しました。


真っ赤な帽子に。


真っ赤な服に。


真っ白なおひげ。


サンタさんに先生も子供達もびっくり。


「ああ、そうか。今日はクリスマス会でしたね」


「でも、おやつの時間からですよ」


「きっと予定が早まったんでしょう」


先生はサンタさんがクリスマス会の時間を間違えてと勘違いして。


子供達はサンタさんが会いに来てくれたと勘違いして。


みんなでサンタさんの手を引っ張って。


「サンタさん、プレゼントありがとう。」


「サンタさん、クッキーおいしかった?」


「サンタさん、おうちにどこから入ったの?」


子供達の質問責めにもサンタさんはニコニコ。


だって、いつも子供達の寝顔しか見たことないのですから。


サンタさんはみんなに手を引っ張られて。


パンダ組のお部屋に入っていきます。




「まずはお部屋の中でゲームをしましょう。」


「は?い。」


さあ、フルーツバスケットの始まりです。


赤い帽子をかぶってる人。


真っ白いおひげのある人。


真っ赤な服を着ている人。


子供達はなんとかサンタさんを立たせようとサンタさんのことばかり。


眼鏡をかけた人。


ズボンをはいてる人。


手袋を持ってきた人。


サンタさんもなんとか座ろうと子供達のことばかり。


サンタさんも子供達も走り回って、とっても楽しそう。



さあ給食の時間です。


手をジャブジャブ洗って。


手をピカピカにふいて。


手をみんなで合わして。


「いただきま?す。」


元気な声が部屋中に響きます。


ホワイトシチューに。


クリスマスチキンに。


ロールパンに。


サラダと牛乳。


サンタさんも子供達と同じ給食。


みんながサンタさんが給食を食べるところをじっと見ています。


真っ白い髭で上手に食べれるかなと心配して。


でも、安心安心。


上手にスプーンでシチューを口に入れて。


上手にクリスマスチキンをかじって。


サンタさんは美味しく給食を食べます。


みんなもサンタさんの真似をして。


上手にスプーンでシチューを口に入れて。


上手にクリスマスチキンをかじって。


美味しく給食を完食しました。


お皿がピカピカになったら。


みんなで声を合わせて。


みんなで手を合わせて。


「ごちそうさまでした。」


ピカピカのお皿を片付けて。


ピカピカに歯を磨いて。


サンタさんの前にみんな並びます。



次はサンタさんがお話をしてくれます。


夜空をソリで駆け回って。


みんなの家を回って。


プレゼントを配って。


クッキーを食べて。


お手紙を読んで。


嬉しかったサンタさんのお話。


サンタさんのお話を聞いて。


子供達も大喜び。


だって、クッキーを食べてくれて。


だって、お手紙を読んでくれて。


子供達もとっても嬉しくて。




さて、とうとうプレゼントを配る時間です。


なのに、プレゼントの袋はぺっしゃんこのまま。



先生達は困った顔で。


子供達は悲しい顔で。


ぺっしゃんこの袋を見ています。


「みんなが欲しいプレゼントを心の中で思ってごらん。」


サンタさんが言って。


子供達は目を閉じて。


おもちゃの車のことを思い浮かべて。


お人形のことを思い浮かべて。


でも、プレゼントの袋はまだぺっしゃんこのまま。


サンタさんはぺっしゃんこの袋の口に小さくつぶやきます。


「プレゼントの袋君、悪いが、もう一働きしてくれんか?みんなプレゼントを待っとるぞ。」


すると、プレゼントの袋がムクムクと天井にくっつくくらい部屋一杯に膨らみました。


先生達はびっくり。


子供達はニコニコ。


子供達はみんなサンタさんに駆け寄って。


「みんなの分があるから、並んで並んで。」


サンタさんが言って。


子供達が順番に並んで。


「はい、しょうくん、怪獣大好きなんだね。」


「はい、みきちゃん、いっぱいお絵描きしてね。」


「はい、こうたくん、かっこいい車だね。」


「はい、ななちゃん、クマさんにかわいい名前をつけてね。」


怪獣のおもちゃに。


カラフル色鉛筆に。


速そうなスーパーカー。


ふさふわのクマさんのぬいぐるみ。


足が速くなりそうなスニーカー。


楽しいお話が一杯の絵本。



みんなが欲しかったプレゼントがどんどん出てきて。


先生達はまたびっくり。


子供達はまたニコニコ。


あっという間にプレゼントの袋はぺっしゃんこになりました。


あれれ、みよちゃんだけが。


プレゼントを貰ってなくて。


つまらなそうに。


爪先を立てて。


泣きそうな顔で。


サンタさんを見て。


サンタさんはプレゼントの袋の口に耳を当てて。


みよちゃんを見て。


ウンウンと頷いて。


サンタさんがみよちゃんの前に座ります。


真っ赤な帽子をずらして。


おでこをだして。


みよちゃんのおでこにくっくけて。


「目を閉じてごらん。」


サンタさんとみよちゃんは目を閉じました。


真っ暗な世界。


何も見えません。


でも、おでこがホカホカで。


おでこの向こうから声が聞こえて。


おでこの向こうから光が見えて。


そこには笑っているママがいました。


「みよちゃん。」


優しい声。


「大きくなったね。」


暖かい声。


「クリスマスツリーの絵、上手にかけてたね。」


そういえば、パパがママに見せるって言ってた。


みよちゃんのママは遠くの病院に入院していて。


会いたくても、会えなくて。


『ママに会いたい。』


心の中に思い浮かべたのはママ。


「毎日、お利口に頑張ってるね。」


ママの暖かい手が頭を撫でてくれて。


「もうすぐお家に帰れるからね。」


ママがギュッと抱きしめてくれて。



みよちゃんが目を開けるとサンタさんが笑っています。


「ありがとう、サンタさん。」


みよちゃんはサンタさんに抱きついて。

子供達みんなもサンタさんに抱きついて。


シャンシャンシャン。


シャンシャンシャン。


お空から鈴の音が鳴り響いて。


シャンシャンシャン。


シャンシャンシャン。


赤鼻のトナカイさんがサンタさんを迎えにきました。


「サンタさん、迎えが遅くなってごめんなさい。」


赤鼻のトナカイさんは立派なツノを下げました。


「いやいや、とっても楽しい時間を過ごせたよ。ありがとう。」


サンタさんは空っぽのプレゼントの袋を引きずり、ソリに足をかけます。


先生達はびっくりしたまま。


子供達もびっくりしたまま。


みんなでサンタさんを見ていました。


「楽しいクリスマス会をありがとう。メリークリスマス。」


赤鼻のトナカイのソリが空を駆けて。


シャンシャンシャン。


シャンシャンシャン。


いつまでも鈴の音が鳴り響いていました。


シャンシャンシャン。


シャンシャンシャン。


シャンシャンシャン。


シャンシャンシャン。


シャンシャンシャン。


シャンシャンシャン。






【おしまい】


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