夢力(DSP)査定-2
その日の放課後、キリはバイトの面接があるとかで早めに帰り俺は一人で帰ることになった。
「やっぱりあいつがいないと静かだよな…」
そんなことを思いながら下駄箱を開けると、靴の上には今どき珍しい手紙が入っていた。
………?俺に手紙? 早速読んでみると電撃のような衝撃を受けた。
『大夢へ
放課後あなたに伝えたいことがあります。
もしお時間が合えば、あなたの家の近くの公園に来てください。待ってます。 望』
の、望が俺に伝えたいことってまさかこれラブレt…いやいや、そんな訳ない。どうせ何かお願いごととかそういった話題性のものだろう。
と、思いつつも内心ニヤニヤを隠しきれず俺は公園へ一応汗をかかない程度に自転車を飛ばした。
ーーー緊張のせいだろうか…公園に着くやいなや女性との会話も忘れかけている俺は目の前に小さく映る望を見た途端今までで1番の緊張に襲われた。
いや、ここは思いきれ俺!砕けてもいいからいけ!
「ご、ごめん。待った…よね」
よし、これなら及第点だろう。俺は悟った。
「ううん。むしろちょうど良かった。」
『ちょうど』という言葉に違和感を抱く。
「へ、へぇ~、ちょうど良かったってのは…」
彼女は手前のベンチを指さし冷たく言った。
「下、見てみて。あなたの連れでしょ?」
俺は恐る恐るベンチの下を見、そして言葉を失った。
「キ、キリ……?」
そこには血塗れのキリの姿があった。俺は混乱するしか無かった。
何故?バイトの面接は?なんでここに?この怪我は誰が?119番呼ばないと!望はなんでこれを知っ…
「大夢くん」
彼女は高校に入ってから初めて俺を名前で呼んだ。
「の、望?これは一体……」
「あなたを待ってたらこっそり隠れてたの。隙を狙ってこれで一撃って寸法。」
望はかなづちをぐるぐると回す。
「言っている意味が分からないよ!お前は誰だ……?ここまでする必要ないじゃないか!どうして!」
告白かと思ってきてみればこの惨劇はなんだ。早くキリを病院に連れていかないと。俺の頭はその事でいっぱいだった。
「大夢くん、悪いのだけど、あなたもここで」
『サヨウナラ。』
金属の鈍い音が響き俺は倒れる。血の匂いなどせずただ意識だけが遠のいていくのだった。