すべての始まりについて-3
まぁ今日も望には話しかけられず、今日もキリと帰る放課後。キリが珍しく驚いていた。
「おい、あの雲みてみろよ!」
「ん?お前は高校生になってでも雲で興奮するのか…って、ん……?」
「驚くよな?だって、、、」
だってあの雲は…【俺の夢に出てくる飛行機】にそっくりだ。
「ヒロの絵と瓜二つじゃんすげー!まだあの絵ある?」
「あるけど..本当にそっくりだな。」
この飛行機。詳しく話すと俺の夢に出てくる少女と初めて会った時に少女が乗っていた飛行機であり、通常の飛行機とは決定的に違う点がある。この飛行機は羽がなく磁石の力で飛んでいるのだ。現実的ではないため、形はすぐ覚えられた。
あの夢は正夢になるのかもしれない、期待を弾ませながら帰った俺は少女と会うのを密かに期待しながら部屋で眠りについた…
見る夢はいつもと同じあの夢。いつも通りあの子は、あの場所で待ってる。
「今日こそは何か進歩させないとな…」
いつも以上に張り切る俺はあの場所へと向かった。
だが今日はあの場所にあの子がいない。周りを見渡してもどこにもいない。
どうせ変わらないだろうと思っていたが本当に変わってしまった。夢の内容が変わったことなど初めてだった。しかも悪い方に。
だがその時後ろから見覚えのある声が聞こえた。
「こんにちは。あ、そっちの世界じゃこんばんは、だね。まぁ夢だしどっちでもいっか、」
初めて聞く夢の中の声。だけど俺はわかる。この声はあの子だ。
「君は…?」
「名乗ってなかったね。私はモルペウス。夢の使者。」
明らかに人ではない名前。俺は当たり前のように混乱
しつつも
「使者……?」
と質問のような話を進める。
「うーん、わかりやすく言うのはなかなか難しいんだけどその点についてはまた後で話そ!時間が惜しいんだ。」
忙しく話す彼女を見て落ち着いた俺はさらに質問を続けた。
「夢なのに?」
「夢だからだよ、ここでしか君と交渉できないからね。」
使者と契約とか嫌な予感しかしない。てか普通に怖いし怪しい。その見た目以外は。
といいつつも、少し乗り気になった俺は耳を傾けていた。
「交渉?」
「うん。突然で悪いし、信じてもらえないだろうけど、大夢くんには大夢くんにしか使えない夢の能力があるの。」
……。俺に使えるのなら他人にでも使えそうな気もするし、しかもここまで怪しい話はなかなかないだろう。
「本当に唐突だな…一応話すのは初めてだぞ?」
「え、会うのも初めてだったと思うんだけど…
前に君はこっちの世界に来たことあるの?」
「初め…て?おかしいな、君とは夢で会ったことがあるんだ。しかも数回。」
「っ…数回…も。」『やはりあの方の言った通り君は……』
モルペウスはぶつぶつと呟くが初めて戸惑いを見せた。
「知っているのか!?詳しく教えてくれ!」
「いやいやいや!これは禁則事項だから他人に教えると私が罰せられちゃうんだ。君がこちら側にくれば自ずと耳に入ってくると思うよ。」
「一応聞くけど、その子に会うには?」
この子は何か知っている。禁則事項に違反しないぐらいなら聞いても大丈夫だろう。
「この夢航機に乗れば行けるよ。その為には契約が必要なんだけど……」
結局夢だし冒険してもいいだろう。何よりあの子に会えれば目的は達成できるわけだし。
「分かった。ただしあの子に会ったら帰るからな。」
「そこは大丈夫。広夢くんが帰りたいならいつでも帰れるよ。
……『特別な条件』を満たさなければね。」
なら話は早い。最近面白いこともないし冒険も吉だろう。
「俺を連れてってくれ、その世界に。」
「君ならそういうと思ってたよ。さぁ乗って乗って!
じゃあ行こうか。胎夢へ」
こうして俺はモルペウスと契約しあちら側の世界へと飛んだ。