すべての始まりについて-2
高校で再会した僕たちは「久しぶり」の一言もなしに同じクラスで毎日を過ごしている....のだが!
正直に言います。彼女が欲しい…。
ここまでは丁寧な口調を心がけてみたのだが、女子については別だ。
小学生のときは思春期という絶望を青春に刻み付けるイベントは訪れず、
告ったことも、告られたことも一度もないまま高校生になってしまった。
さらにこの工業高校、男子が9割を占めているとんでもない学校である。
なので俺が女子とまともに喋れないのは学校のせいであって決してコミュ障
ではないこと! これ以上は探るな。うん。
話が脱線した。戻そう。
望は小学生の時は友達として見ていたが、転校初日にあいつを見たときは、
俺だけじゃなくクラス全員が沸いた。
地毛であろう綺麗な茶髪、かわいい声、学生っぽいすらりとしたフォルム。
その子があの望なのかといまだに思うが、望は初日だけ俺に手を振ってくれた。
それが社交辞令なのか久しぶりなのかはわからないし聞けないが、覚えていてくれたのはとても嬉しい。
「おっす、ヒロ! 今日も変わらない陰キャっぷりだな!」
「キリは人のこと言えるのかよ..俺にしか話しかけねぇし。てか、ヒロはやめろって言ったよな?」
「いいじゃん!親友だし?後な、くうとだから!キリは勘弁( ノД`)苗字で呼んでよね♡」
「会話に記号が多すぎる。却下。」
と、毎日のように学校でもこんなで深夜のゲームをするときでも一緒なこいつは 桐ヶ丘 空斗。
ヒロとキリで呼び合っているが決して恋人ではない。仲がいいだけである。
キリは今は明るいキャラだが、昔は人見知りなため、俺としかあまり会話はしなかった。
それが今や学級委員長となりゴリゴリの正統派学生になってしまった。