前へ目次 次へ 5/40 春の章 入学式の日。 隣の列に並んでいた女の子が、僕の顔を見るなりクスクス笑った。 後で理由を聞くと、近所の薬局に貼られた水虫のポスターの患者さんと瓜二つだったらしい。 数日後。 放課後の水のみ場で真ん中の蛇口で水を飲んでいた。 彼女が通りかかり、 「そこ、誰かガムつめてたよ!」 思わず口から水が吹き出た。マンガみたいに綺麗に。 彼女はまた、お腹を抱えて笑った。 その時、恋が始まったのだと互いに気づくのは、まだまだ先の話。