前へ目次 次へ 29/40 つまらない話 私は冷静沈着な男である。めったに怒りも驚きもしない。 部屋に帰ると彼女が来ていて部屋を掃除してくれていた。 「ありがとう」 「ごめんなさい」 「どうしたの?」 「あなたの小説の原稿、掃除機に吸い込んじゃった」 私は、めったに怒りも驚きもしない。 「フフフ済んでしまったことは仕方がない。掃除機は大丈夫?」 「ええ、つまらない話だったみたい」 私は冷静沈着な男である。それでも再び原稿へと向かう。 ただ少しだけ、涙が出た。