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ローズマリーの思い出
出されたお茶を一口飲んで、男は顔をしかめた。
ペンションの女主人は笑いをこらえながら窓の外を指さす。
庭の花壇に白い花が並んでいる。
「あのローズマリーっていうハーブが入ってるの」
「へえ、あんなに綺麗な花なのに飲んじゃうんですね」
「では花言葉は何でしょう?」
馴れ馴れしい態度を怪訝に思いながら男は尋ねた。
「さあ、何ですか?」
女は、ため息を一つつき、若年性アルツハイマーになった主人に、いつもの台詞で答えた。
ローズマリーの花言葉は、追憶 変わらぬ愛 です。




