9話 Magical operation that morning break victims teach~モーニングブレイクの犠牲者が教える魔力操作~
ユイナとの食事が終わり、学生寮の自室に戻ってきた。部屋のドアを開けると、何か変な音が聞こえてくる。
「グゥゥゥ〜〜」
音の鳴る方へ近ずいてみると、とても幸せそうに眠るウィークがいた。昨日は部屋に戻るなりすぐにベットにダイブしたウィークだが、12時間以上寝ても一向に起きないってどんだけ疲れていたんだ。
昼も過ぎたのでそろそろ起こしてやろうとウィークをさするが一向に起きる気配がない。
「ウィーク!ウィーク!起きろ、もう昼過ぎだぞ!」
叫んでみたが、一向に起きる気配がない……どんだけ熟睡しているんだこいつ。こうなったら必殺技を使わせてもらおう。
必殺――
「モーニングブレイク!」
必殺技を叫び、ウィークの寝転んでいるベットにダイブした!
「ぐへ!な、なんだ。地震?もしかして世界の終わり!」
「おはよう、ウィーク。よく眠れたか?」
「なんだ、イガラシ君か。ていうか、さっきの起こし方はひどくない!?」
「ハハハ、これが五十嵐家に伝わるモーニングブレイクだ!」
今使ったモーニングブレイクは五十嵐家に代々伝わる、寝坊した家族に使う技だ。まさかここで使うとは思っていなっかた。いつも寝坊する親父に使っていたっけ……
今思うと、何気ないやり取りでも大事な思い出なんだな。親父にやるみたいにまた毎日誰かに食らわしたいな、どこかに代わりになるやつは……
「そうだ!ウィーク、毎日遅くまで寝てていいぞ。毎朝俺がモーニングブレイクを食らわして起こすからな!」
「こ、これが毎日!?僕の安眠が奪われていく……。ていうか、わざわざ起こすなんて何か大変なことでもあった?」
「いや、実はなウィークに聞きたいことがあってだな」
「また何か付き合わされるの!勘弁してくれよ……それで、質問って何?」
「魔力操作ってどうしたらできるんだ?」
「…………は?今なんて言った?」
「なんて言ったと言われましても、魔力操作ってどうやったらできるんだ、と聞いたんだが」
あれ、何だかウィークの顔がおかしくなってきたぞ?あれは何かを哀れんでいるような顔だ。
「ここまできたら呆れちゃうよ。いいよ、教えてあげるよ。それで、どういうところがわからないの?」
「まず、魔力の操作方法がわからないんだ。それに魔法を唱えようとすると魔導石が割れるんんだけど、どっやったら割れないんだ?」
「普通は子供の頃から自然と魔力操作ができていくようになるから、その人その人によってイメージが変わってくるんだけど、イガラシ君の場合はイメージができていないんどと思う」
イメージ、イメージか。言われた通り魔力操作のイメージをしてみる。蛇口をひねって水を出すイメージをしてみる。
そして魔力を流し魔法を使う。
『微風』
魔法を発動しようとしたが、また割れてしまう。なぜうまくいかないんだ?
「イメージしてみたんだけど、また割れたんだよな。なんで、魔力操作ができないんだ?」
「たぶんそれは、まだイメージしきれていないんだと思う。実際、時間をかけてイメージが固まっていくけど、イガラシ君の場合はまだイメージがまとまり切っていないだよ。だから地道にイメージしていくしかないね」
「ありがとう、ウィーク。後は自分で練習してみるよ」
そう言い残し部屋を出る事にした。これ以上ウィークに迷惑をかけるのも気がひけるしな。しかし、これから魔力操作のイメージをどうしていくかだが……
なぜイメージをしきれていないんだ?イメージと言われても、最初に思いついたのは蛇口をひねって水を出すイメージだが、これはさっき失敗したしな。もっと具体的なイメージが必要だ。
しかし具体的なイメージとは何なんだ?まったく思いつかない。試験まで残り一週間、それまでに魔力操作のイメージを考えなければらないが、魔導席の数にも限界がある。
とりあえず今はイメージトレーニングしかできない、本当に試験までに間に合うのだろうか?不安に駆られながらイメージトレーニングをするのだった。
そして迎えるテスト当日。
魔力操作のイメージトレーニングをしてきたが、すべての魔導席を割ってしまった。しかし、だいぶイメージはできてきた。後はぶっつけ本番なわけだが、ものすごく緊張している。待っている間は暇なのと、緊張していたからイメージトレーニングをしていた。
イメージトレーニングをして順番を待っている間ユイナのテストが行われていたが、難なく成功していた。成功したときに手を振ってくれたので、振りかえすと少し気分が晴れた気がする。
ユイナありがとう、心の中で呟いていると、ウィークのテストも行われていた。ウィークも難なくテストを成功していた、ていうか俺のほうを見てドヤ顔をするのはやめろ!これで失敗したら絶対ウィークが、自慢してくる。何としてでも成功しなければ……
しかし二人を見てると緊張していた俺が馬鹿らしく思ってきた。本当に二人のおかげだな、そう思いリラックスして順番を待つことができた。そしていよいよ順番が回ってきた。
「イガラシ・カズト!テストの開始です」
「はい!!」
こうして初級魔法のテストが始まった。