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異世界魔法騎士学園  作者: 大根役者
1章2度目の人生
10/15

10話 Magical test and first success~魔法のテストと最初の成功~

 テストの開始宣言があり、ハイケル先生の前に行くと魔導石が置かれたあった。


「そこにある魔導石を取りなさい」


 言われた通りに、目の前にあった魔導石を手に取った。


「では、まず初級火属性魔法火の粉(イグニス)のテストを始めてください」


 手の中にある魔導石に、魔力を込める。今までの失敗を生かし具体的なイメージを創造する。

 イメージは蛇口。

 蛇口をひねり水の勢いを調整する。

 水が流れているかわからないほどの勢いまで小さくし、魔導石に魔力を込め魔法を発動した。


火の粉(イグニス)


 魔法を発動した瞬間、ライターぐらいの火が発生した。


「よし!」


 初めて魔法が使えた達成感で、思わず声が出てしまった。今まで失敗してきたが本番で成功してよかった、心の中で心底思えた。


「喜ぶのはいいですけど、まだ二つ残ってますからね」


 危ない。このまま浮かれて、後二つのテストを失敗したらすべてが水の泡だ。

 もう一度気合を入れなおすために、自分の頬をたたく。


「次のテストに行ってもらっても良いですよ」


「では、次は初級水属性魔法水噴射(アクア)のテストを始めてください」


 次のテストは水噴射(アクア)か。火の粉(イグニス)の時のようにイメージする。

 蛇口をひねり、水の勢いを極限まで小さくするイメージをして、魔導石に魔力を込め発動する。


水噴射(アクア)


 水鉄砲ぐらいの勢いで、水が発射された。

 二つ目の魔法も成功し、残るは後一つとなった。しかし、思っていたより細部までイメージするのはなかなか疲れる。もっと練習して、自然にできるようにならなければならないな……

 そんなことより、今は最後のテストに集中しなければならない。


「最後のテストに行ってもらって大丈夫ですよ」


「それでは、初級風属性魔法微風(ベンスト)のテストを始めてください」


 先ほどのようにイメージをして、魔導石に魔力を送る。


微風(ベンスト)


 魔法を発動する瞬間わかった、魔力を込めすぎた事に。

 急いで魔力を抑えたが、魔法が発動してしまった。

 さっきまでの魔法より威力が上がり、体が吹っ飛ばされる。


「魔導石はどうなった!」


 手の中にあった魔導石を見たが、割れていなかった。

 何とか成功したが、テストは合格なのだろうか?これで不合格だったら、精神的にキツイ。


「これは、成功に入るんですか……?」


「まあ、何とか魔導石は割れていないので合格ですが、どれだけ魔力を込めたら初級魔法でそんな威力が出るんですか!?さっきの威力だと中級魔法の暴風(テンペスト)ぐらいありましたよ!」


「そんなに興奮されましても、魔力操作をミスしたらあんな威力になったわけでして、どれだけ魔力を込めたかわからないです……」


「そうですか……とりあえず気を取り直して、イガラシ・カズト、初級魔法のテスト合格です」


 合格、したのか。

 さっきのミスもあって素直に喜べないけど、合格したんだ。

 何かが、胸の奥からこみ上げてくる。こみ上げてきたものは、胸から喉へ、喉から口へ、口の中で声に変わり、俺は叫んでいた。


「シャアァァァ!!」


 こうして魔法のテストは終わりを告げた。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ハァ……」


 私は、テストが終わり彼が私の前から立ち去った瞬間、ため息を吐いていた。

 仕方がないだろう、なにせ学園が創立して以来の問題児がテストを受けていたのだから。

 彼を始めて見たのは、入学試験の時だった。

 どこにもいそうな普通の少年、そんなイメージがあった。

 しかしそんなイメージはすぐに崩れた。魔力量測定用魔導石に彼が魔力を送った瞬間、魔導石の色が黒色になり、割れてしまったからだ。

 学園史上初めて、彼は入学試験で魔導石を割ってしまった。

 普通は魔導石は割れる事はない。だが彼は魔導石を割るほどの魔力を保持していた。

 そんな生徒が魔法を覚えたらどうなるだろうか?

 そんな期待を胸に授業を始めてみたところ、彼はことごとく期待を裏切ってくれた。

 なにせ、魔導石を16個も割ったからだ。

 この後書く始末書と、期待を裏切られたショックで、私は我を忘れていた。

 子供の頃から、自身の気持ちを制御できなくなるとまるで別人のような『私』がでてしまう。

『私』は、彼に対してひどい事を言ってしまった。その場かぎりの感情で、心の傷を負わしてしまった事を後悔していた。

 心が折れてしまったらどうしよう………

 そんなことを考えながら一週間が経ち、テストを迎えた。

 彼は、私にあんなひどい事を言われてもテストから逃げ出さずに立ち向かった。

 最後は少し失敗していたが、見事に合格してくれた。

 私はそのことに安堵していた。

 ふと、彼が使っていた魔導石に目をやると、ピシ、という音を立ててヒビが入っていた。


「まあ、最初に比べたらだいぶましか」


 そう言い私は微笑んでいた。

 彼に対しの期待を胸に。

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