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深淵を飛び出して見た500年ぶりの異世界は  作者: 探索者T
深淵に住まう者
7/16

第五話 ないわけないだろ。

疲れた~!

駆けつけてきたのは、

自分達と何ら変わらない

青年だった。

とでも言いたげな目を向けられた信也。

それでさえも嬉しくてつい笑ってしまう。


「あなたが...信也さんですか?」


「そうだね。俺が信也だ。」


なんでこの人は俺の名前を

知っているのだろう?と、信也は困惑する。

ここ四百年ほど外に出てないから、

誰も知らないはず、と。

その困惑は、次の発言の主で取り除かれた。


「私、人化してるから、

魔力が弱くなって、

そろそろ結界が壊れそう...」


「君は...大地の龍王か。

よくきたね。結界は僕が張り直そう。

さぁ、入りなよ。門の前で立ち話なんて、

魔物に来てくださいって

言っているようなものだ。」


「あの、私、昔ここに来て、

潰そうとして、怒ってないの?」


「あぁ、怒ってないよ。

被害はゼロだし、トレントたちにボコられて

帰っていったじゃないか。」


「うん。ごめんなさい。ありがとう。」


引き続きシルアが声を出す。


「待ってくれ!

この庭、魔物がいるじゃないか!」


「そうだね。

この庭をきれいに保つために

管理してもらっているのさ。」


庭にいるのは樹人のトレント、

もぐらのハタケドリュウ、ポ○モンの

エ○フーンみたいなエルリーフだ。

それぞれ庭の木を、豊かな土を、

滑らかな芝生を作ってくれている。


普通、テイムされていない

魔物と共存するのは、不可能とされている。

だがこのトレントたちはテイムされていない。

なのに人を襲わない。

はっきりいっていじょうなのである。


「さぁ、ここが玄関だよ。

靴は脱いでね。汚れたら嫌だしね。」


靴を脱ぎ、

客室に招待された三人は

信也が戻ってくるのを待つ。

木材のいいにおいがして、

なんだか落ち着く。

先程まで気づかなかったが、

結界が目に見えない。

龍王の結界でもよく目を凝らせば

なにやら白い何かがチカチカと見えている。

なのに、信也がはった結界は

なにも見えない。

どれ程すごい人間なのかがそれだけでわかる。


「お待たせ、では話をしようか。

まず、俺は佐藤信也。

特になんのへんてつもない人間さね。」


「・・・」×3


なんのへんてつもないわけないだろう。


三人の意見が一致した瞬間だった。

最初に気を取り戻したのはマリーだった。

気を改めて、姿勢をただし、ゆっくりと

口を開く。


「私はマリー。

マリー・レイズ・ナッセルです。

是非、お見知り置きを...」


信也は、少し考えるかの様に

頭を伏せ、何かしら呟く。

どうやらナニカを必死に

思い出そうとしているようだ。

ハッ!と顔をあげるとわりと大きい声で

ハキハキとしゃべる。


「ナッセルってあのナッセル王国のか!?

まだあだたんだぁぁ。懐かしいなぁ。

君のご先祖様にはとってもお世話になったよ。

ボソッ)こっちに来たのもその人が原因だしね」


信也がさすこっちとは、

異世界のことである。

そう、つまり信也はナッセル王国によって

遥か昔に勇者召喚されたのだ。

三人は、信也の呟きが聞こえなかったらしく、

疑問符を浮かべている。

続いてシルアの自己紹介だ。


「私はSランク冒険者のシルアだ。

平民出身だから姓名はない。」


「Sランク冒険者のシルアか。

叡知の書という起きたことを大雑把に

自動的にのせられる

本に載っていたよ。

ボソッ)レオンハルトのデータにのってたな。」


残念なことに今回の呟きは

シルアの耳に届いた。

シルアを顔を輝かせ、何かを

思い出したかのように信也の顔を

覗き込むように見る。

客観的に見ると甲冑被った怪しい人が

青年に喧嘩を売っているようだった。


「たしか信也さんって、あの

レオンハルト・アウランティム(サール)の

本体かなんかなんだよな!

だったら超強いんだよな!」


「あぁ、強いとも。

戦わないけどね。」


レオンハルトの名前が

アウランティムとサール。

この二つがあることに気づいただろう。

解説するとサールというのは

最初に彼がそう名乗ったからだ。

なんでもそっちの方がしっくりきたからだとか。

だから本名はアウランティムだ。


「龍王はいいや。知ってるしね。」


「そんなぁ、改めて言うのにぃ。」


しょんぼりと肩を下ろす。

突然ドタドタという音が聞こえた。

どうやらフェンリル達が帰ってきたようだ。


「さて、ご紹介しよう。」


バン!と、

扉が急に開かれる。そこにいるのは

人間の身長を裕に越えた大きな犬が6匹

だった。


「俺の家族。

フェンリルたちだ。」

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