イアという精霊
すまん、忙しくて今回短い!
レオンハルトを振り払った
信也は、五百年前の地形の名残を
頼りに森を目指していた。
森の名前は幻影の森。
いまもその名前が使われているかは不明だが、
妖精と精霊がすんでいるという。
「地形があんま変わってなくてよかったよ」
前にも話したが、信也には
契約している精霊と妖精がいる。
ではなぜ深淵にいなかったのか...
それは、精霊と妖精だからだ。
精霊と妖精は神が作り出したものではない。
あくまで自然発生した魂の粒子の塊の
ようなものだ。
妖精はそうでありながらも実体をもつが、
やはり小さく、手のひらサイズ。
妖精の能力として、巨大化はできるが
精々人間の12歳ほどの身長だ。
そして、神の馬素に対する恩恵を
受けられなかった精霊と妖精は魔素の影響を
もろに受ける。強い出力で魔素を
受けてしまえばもう最後、魂が分散し、
存在が消えてなくなるのだ。
そして信也は深淵にいくのとを決意したとき、
彼ら二人を置いてきたのだ。
幻影の森に小さな家を一軒建てて
そのいえをプレゼントし、
信也は去った。二人して泣いてくれたその時の
顔は、忘れたくても忘れられない。
だから信也は、再びこうして
会うことができるのを非常に喜んでいるのだ。
信也がプレゼントした家の場所は
確か森の中心にある大木から左へ進んだ道。
ここは普通の人間は入ることができないので
警戒心ゆるゆるで大丈夫なのだ。
森を歩き進むこと数十分。あった。
見つけた。俺がプレゼントした
小さな家。一応ノックをし、反応がないのを
確認すると、中に入る。
生活感はあるが、誰もいない。
カチッという音がなると、突然体に糸が
巻き付き、動けなくなる。
まぁ、解除できるけど。
二人が仕掛けた罠だろうか?
「誰!?この家は入っちゃダメ!」
振り返るとそこには、
手のひらにのせられるほど小さな人の形の
妖精がそこにいた。
「ごめんごめん、
俺だよ、信也さ。」
「うぇ?ご主人様?
・・・嘘つかないで!
どこで知ったか知らないけど!私のご主人様は
とても崇高で輝かしいお方!
本当にご主人様だというのなら、アレを
イアにするのです!」
アレ、とはすなわち、
信也流の彼女らが拗ねたときに
ご機嫌取りに使ってた、簡単に言うと
ただ手に微弱な魔素を込めて
なでなですることだけだ。
妖精や精霊からすれば、魔素は強く受けると
消滅する。だが、微弱な魔素なら
逆にリラックス効果があるのだ。
イアといったものの頭に
手をのせ、微弱な魔素を込めてなでなでする。
ふわぁ、と高速でイアの顔が変わる、
蕩けて、気持ち良さそうな顔だ。
「ふあぁ~ご主人様だぁぁ~」
このなでなでのやりかたは、
長時間やり続けると、
やがてリラックス効果が快感へとかわる。
ちょっとからからってやろう、
と、信也はなでなでを続ける。
「ふぁ、はうっ」
艶めかしい声をあげ、
少し悶えるイア。
「遅いですよ~!
おかげで私、ラオとたくさん苦労
したんですからね!」
「ごめんごめん。
ラオはどこにいるの?元気してる?」
「うん!今は山菜採りにいってる!」
「そっか...じゃあ帰ってくるまで待とう」
「はい!500年分、いーーーっぱい!
撫でてくださいね?もちろん、ご主人様の
魔素つきで!」
「うん。任せて!」




