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俺は死にたいけど死ねない  作者: ひろし。
6/18

主人公を描きながらおもうこと…こいつ腐ってる。

中々いい性格した主人公だと思います(笑)。



「俺は一真。蓬一真だ.聞いているとは思うがお前らのボスは俺が殺した。

 其々想うところがあるとは思う。だが俺も止む無く殺したんだ。そこは分かっていてほしい。

 これからは俺がこのグループのリーダーだ。」

目の前には二人の男と一人の女の合わせて三人が一真に視線を集中させている。

ある者は興味の目を、ある者は警戒の目を、ある者は怯えた目を。

端的に、冷徹にそう言い放った一方の一真はというと堂々としていた。というより

胡坐をかいて腕を組んだ状態で微動だにしない。いや、微動だにできないでいた。

朝と夜に手伝ってもらって座らせてもらったのだ。


それにしても、もう少し驚くなり恐怖するなりあると思っていたが

皆思ったより冷静だったな。先に帰っていた朝が説明しておいてくれたのかもしれないな

いやだがそれにしても…。自分たちのボスを殺した人間が目の前にいるっていうのに。


「リ、リーダー。初めての顔合わせですしお互いに自己紹介でもしませんか。あの…。」

どう呼んでいいかわからないのだろう。迷ったようにそう提案してきたのは、

一真と同じ年頃には見えるが、どこか幼さを残した顔をしている。見るものを安心させるような

不思議な雰囲気がある。


「それもそうだな。じゃあ、君から始めてくれ。」

まさか自分からになるとは思っていなかったのだろう。驚いた様子の少年だったが

言い訳を見つけられなかったのだろう観念して渋々といった様子で口を開く。


「ぼ、僕の名前は桔梗ききょうです。えっと、生前はサイバーテロ組織の幹部をしていました。

 あと、えっと、好きな食べ物は…メロンです。趣味はパソコンをいじることで

 あとは、えっと…。」


「あ、ありがとう。もう、大丈夫だ。次頼む。」

放っておくと無意味な情報を延々と語りだしそうな雰囲気を醸し出していたので制止しながら

思う一真。サラッととんでもないこと言ったな。ん、もしかしてここって…。


「田中・アイリス・あやめだ。」

…………

そういって黙り続ける黒髪ロングの少女。見るものを射殺さんと言わんばかりの鋭い目でただ前を見ている。


「終わりか?」

元から誰も喋っていなかったその場にさらに深い静けさが漂う。


「………」

無理に長く喋らせるつもりもない一真、あやめがこれ以上喋る気がないことを確認すると

続きを促すため喋ろうとしたと同時。


「私はあんたの事認めるつもりはないわ。私たちは生前犯罪者グループに属していたから

 仲間が消えてく事なんてしょっちゅうだった。けど、だからってあなたを認めることは別問題だわ。」

これ以上重くなるとは思われなかった空気がさらに重くなる。もしこの場の空気に本当に重さがあったら

重量挙げの世界チャンピオンでも持ち上げられないだろう。


一瞬何を言っているか分からないと理解に苦しむ一真。

あぁ、俺に殺されたあいつの事か。仲間を一人殺されたくらいで何を言っているんだこいつは。


一真は六年間植物状態で文字どうり心から死にたいと願い続けてきた。

植物状態が長かったので家族以外の人間関係は希薄で、まして大切な人を失ったという経験は

もちろんない。死というものが周りの人間にどんな影響を与えるのか全く理解していないのだ。

それにしてもではある…が。


「じゃ、じゃあ次は俺の番かな。俺の名前は皐月せいじ(さつきせいじ)だ。

 俺は生きてた時は田中組っていうヤクザの組に入ってたわけなんだけど

 上の者の権力争いに巻き込まれて三人殺して俺も道ずれって感じで今に至る。

 喋りながら生きてた時はなんて言うのも変な話だけどな。

 ちなみに好きな食べ物は寿司だぜ。へへっ。」

そういって自己紹介したその男は、名前のとうりの日本人らしい顔つき体格、目だったりと

日本人的要素で包まれていたが髪色だけは日本人離れしたきれいなブロンド色をしていた。


なるほど、やはりな。このグループ元犯罪者の集まりか。

確かに考えてみればこういう奴らの方が死には身近だしな。

そんな事を考えているうちに次の番になっていた。

「もう全員知っていることだけど改めて。

 俺は兄の小林夜顔。で、こっちは」

「弟の小林朝顔です。」

兄弟の見事な連携を見せたところで続ける夜。

「なんか生前の犯歴を語る流れになってるからこれは乗らないといけない感じかな。

 俺たちは皆と違ってグループには属していなった。強いて言えば二人一組かな。

 二人で渋谷のスクランブル交差点をめちゃくちゃにしてやりましたよ。」


「そうだねお兄ちゃん。あれは爽快だったね。」

焦らしているつもりなのだろうか、恐らく本人たちにそんな気はないのだろう。

なかなか中身を語ろうとしない

早くも痺れを切らした一真が続きを促す。

「それで、何をしたんだ。」


「いや~昔二人でゲームをしたんですよ。渋谷のスクランブル交差点で

 一人でも信号を渡り切ったらせたら負けっていう。」


「だから、それがなんの…。」

喋りかけた言葉を止めたのは決して、言葉に詰まったからではなく

周りの反応に違和感を覚えたからである。皆それぞれ気まずそうな顔をしている。

何故みんなそんな顔を……。

そんな一真の事など一切気にしない様子で続ける夜。

「手榴弾とかナイフとかガトリングとかショットガンとか色々使って皆殺しにしたんですよ。

 文字通り皆殺しに。せっかくゲームに勝ったのに警察に捕まっちゃいましてね。

 そのままあの世に直行って感じです。」


恐らく当時の事をニュースか何かで知っているのだろう。

三人は黙って下を向いていた。


本当に頭のおかしな人間というのはこういうものなのだろう。

いかれたようにふざけてでもなく、まして落ち込むようにでもなく

ただ当たり前のことを話すように性格どうりに明るく真面目に話す二人。


そんな二人に何も言うことができずただ黙って話を聞いている三人のなか

ただ一人違うことを考える一真。


こいつ等使える!

動くはずのない口角が吊り上がりそうになるのを感じる一真。


二人がもう喋り終えたと判断すると。

「じゃあ次は俺か。さっきも言ったが俺の名前は蓬一真。呼び方は任せる。

 リーダーでも、一真でも何でもいい。

 先に言っておくが俺は生前殆ど病院で寝たきりだったから犯歴は当然ない。

 そして前のリーダーがどうだったかは知らないが俺は自由放任主義でいく。だからグループを抜けるの も自由だし、俺のやり方が気に入らないなら反抗すればいい。

 その代り自分の身は自分で守ってくれ。それが原則だ。」


そして一呼吸おいて今までよりも一層緊張した声音で喋りだす一真。

「犯歴を語れないので代わりと言っては何だが新しいこのグループでの

 目標を語るとしよう。」

一真の真剣さが伝わったのか全員が耳を一真に傾け言葉を聞き洩らさんとしている。


「俺たちはこれからこの世界を征服する。」


全員が揃って一言

「えっ。。。。」



やっと物語の方向性が出てきました。

ここまで読んでくれた方ありがとうございます。

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