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2.理科教師殺人事件 前編

 その日、俺は聡美の体を借りて学校へ登校した。

 教室に入り、席へと着く。

「坂上!」

 クラスメイトの男子が声をかけてくる。

「唐沢は一緒じゃねえのか?」

「健くんなら来れないわよ」

「どうして?」

「一昨日の晩、殺されたそうだから」

「こ、殺された!? 誰に!?」

「知らないわ」

「犯人は捕まったのか?」

「一応ね」

「はあ……、そうか。来れないのか。てことは坂上、お前今フリー?」

「何が?」

「唐沢が死んで彼氏いなくなったんだろ? 俺と付き合わないか?」

「無理」

「だよな」

 男子生徒は自分の席へ戻って行った。

キンコンカンコン──チャイムが鳴り、教師が入ってきてホームルームを始める。

「みんな、落ち着いて聞いてくれ。先ほど唐沢の親から連絡をもらったんだが、唐沢は何者かに殺害されてしまったそうだ。そう言う訳で、唐沢は来れない。みんなも犯罪に巻き込まれぬよう、十分に注意してくれ」

 教師はそう言うと、出席を取りホームルームを終えて出て行った。

 俺は時間割表を見る。

 一時限目は理科だった。理科は理科室で行うため、俺は筆記具と教科書、ノートを持って理科室へ向かった。

 理科室には既に担当教師がいた。椅子に座り、机に突っ伏している。

「先生、授業始まりますよ?」

 反応がない。

 俺は教師を揺さぶるが、それでも反応がない。

「先生!」

 俺は顔を覗き込んだ。

 苦しそうな表情をしている。

 手元には青酸カリの瓶がある。

「坂上、俺殺されたみたいだ」

 その声に振り返る俺。

「黒田先生、やっぱり死んでるんですね?」

「俺が見えるのか?」

「はい、はっきりと。それはそうと、何か飲んだんですか?」

「缶コーヒーをな」

「でもないですよ?」

「じゃあ犯人が処分したんだろうな。それより坂上、犯人を見付けてくれないか?」

「分かりました。それと、俺は坂上じゃなくて唐沢です」

「え?」

「坂上の体を借りてるんです。まあ、取り敢えず、警察呼びますんで」

 俺は携帯を取り出して一一〇番をして警察を呼んだ。

 そこへやってくるクラスメイトの深山みやま 佳子よしこ

「早いね、坂上さん」

「深山さん、入らないで」

「どうして?」

「先生が死んでるの。警察が来るまで現場保存よ」

「嘘でしょ!?」

 深山は入ろうとするが、俺は制止した。

 その時、ぞろぞろとクラスメイトたちがやってきた。

「みんな! 悪いんだけど、理科室には入らないで!」

「どうして?」

「先生が死んでるの。警察が来るまで現場保存よ」

「マジかよ、それ!?」

 クラスメイトたちが騒ぎだす。

 それから暫くすると、警察がやってきた。

「おや、ここは坂上くんの学校だったか」

 そう言うのは、先日の事件で知り合った刑事だった。

 この刑事の名は五位堂ごいどう すすむ。警視庁捜査一課の警部だ。

「五位堂さん、その節はどうも」

「坂上くん、今回も名推理を披露してくれるのかな?」

「どうでしょう? 犯人が分かればたぶん。じゃ、私は先生方に話を聞きに行ってきます」

 俺はそう言い残して、職員室に向かった。


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