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再会とはじまり

はじめましてnataruです。


つい書いてしまいました。


これからよろしくお願いします

―――――――コツ、コツ、コツ

 まだ肌寒い三月、まだ咲いていない桜が向かう先までずらりと並んでいる。空は雲ひとつない快晴、時刻は八時を少し過ぎたくらい。

 前には今日卒業するであろうと思われる、向かっている中学校の制服を着た生徒とその隣に付き添っているその保護者。

 そういった感じの人たちが何組か前方に見える。

 そして俺は、ジッと見ていたり、二度見したりを卒業する生徒や、その保護者である(父親等の男性が多数)がしていた。

 理由は分かっているので気にせずに歩みを進める。

 そうそう、俺は今日卒業する生徒でもないく、その生徒の保護者でもない、ただ後輩四人のお祝いにいくためにここに居る。

 

 俺が中学に入ったあと剣道部に入った。

 理由は親に運動部に入れと言われ、運動部の中で唯一楽しそうだと見学した時に思ったからだ。剣道部に入る時は俺はこう考えていた。学年で同じ部活の人は仲良くなりやすいと聞いていたので、これで話す相手ができる、と。

 しかし、俺が入学したその年、剣道部に入ったのは俺だけだった。

 まぁ、話す相手は普通にできたし、翌年後輩が四人入ってきてその後輩達とはとても仲がよかった。そして俺は卒業した。

 あの時は楽しかったなぁ・・・と思いにふけっていると目的地である今日卒業式が行われる母校が見えてきた。

 校門を通り抜けると一つや二つではなく何十という視線を感じる。

 このままでは後輩にみつかり、卒業式の後に驚かすことができなくなるので、俺は人ごみから離れて遠くにこっそりと卒業式が終わるのを待つことにした。



 卒業式が終わり、卒業生と在校生、卒業生同士などでお別れの挨拶などをしたりしだし、校内のいたるところに散らばっていた。

 さて、そろそろ驚かせるために探しますか。

 俺は注目を集めながらも歩き回り後輩を探す。

 そして、剣道場の前に後輩四人とさらに一つ下の後輩達がいた。

 俺は後輩達のもとへこっそり近づき、卒業する四人の後輩の後ろから声を掛ける。


「よっ、久しぶりだな」


 男にしては高い声、というか女の声といったほうがいいだろう。そんな俺の声に驚いたのか卒業する後輩、しない後輩全員が驚いていた。

 あれ、卒業しない後輩達は俺が近づく姿みえていただろうに、なぜそこまで驚くのかね・・・。

 そう疑問に思っていると卒業する4人の後輩のうち一人が話しかけてきた。

「あ、あの・・・・人違いではないですか?」

 この後輩は初対面などの人には普通のしゃべり方だが、知り合いとなると少ししゃべり方が変わる。性格はおっさんよりもおっさんみたいな感じだ。

「あぁ、一年も会ってないからな、分からないのも無理はないさ。覚えてないか?竹下一季だよ。梅木、緒方、林、佐藤、卒業おめでと」


 さっき俺に人違いでは?と尋ねた後輩が梅木、そしてその他は・・・今はどうでもいいだろうから説明はしない。

「「「「「「「へっ?!」」」」」」」

 まぁ当然の反応だわな、後輩達が知っているのは男だった時の俺だし、今は突如TS、えーと性転換といったほうが分かりやすいか、性転換してしまったので俺の容姿は女だ。それとなぜかものすごく美人であり、先ほどじろじろ見られていたのもそれが理由だろう。

「確かに見た目は変わってしまったが、本物だぞ?まぁどうしてこうなったかっていうのはどうでもいいだろ。んじゃ、剣道場の中入るぜ」

 俺がそういうと4人の後輩のうち梅木以外が奇跡とも言える重なり具合で言った。

「「「よくないです!!!」」」


 その後後輩たちに性転換してしまった時のことを話した。


 まぁ、性転換してしまった時の話なんてそう長くはないが…。


 確か、高校に入学して半年くらい経った時だった。

 いつも通りに朝7時に家を出て自転車で学校に向かっていると、突如胸が痛みだし、息ができなくなった。そのせいで俺はバランスを崩し、歩道をはずれ車道に出てしまい、ちょうどタイミング悪く来た乗用車にはねられ俺は空に舞い上がり、俺をはねた車が北方向とは逆から来た車…大型トラックにはねられ2連コンボを受けて地面に転がった。俺をはねたことに気がついた大型トラックのおっちゃんがすぐに救急車を呼んだらしい。

 らしいというのは俺はその時すでに気を失っていたからだ。それでその時の俺はどうみても助かる可能性はほぼないだろう、というくらいひどかったそうだ。

 そして救急車に乗せられ病院に向かっているときに救急車に乗ってる人…レスキュー隊員だっけ?その人たちが応急処置をしようと俺の服をはぎ取った時には撥ねられたときに何かの拍子にぱっくりと切れた腹の傷はふさがっており、その時に出血した血だけが残っていたそうだ。

 そしてその時にはすでに俺の体は女になっていたらしい。レスキュー隊員の人はボーイッシュな女の子だと思っていたらしい(髪型や制服が男用のため)。だけどさ、いくらボーイッシュな女の子でも男用の制服着て通学ってするの?俺はしないと思うんだけどね。

 それで俺は病院に運び込まれ、傷は塞がっていたので特にすることなく検査入院ということになった。

 その時に駆けつけてきた親は姿が変わって全く分からないだろうと思うのだが、なぜか疑うことなく俺だと気が付いていた。

 その後の検査入院では特に異常は見つからず一週間で退院となった。

 特に、と言ったのには理由がある。

 そう俺の体が女になったということだ。俺の体は男に戻る気配もなく、髪も運び込まれた時には普通の男子高校生くらいの長さだったのだが、入院しているうちに腰に届くくらいまで伸びたこと。あぁそれと突然の胸の痛みの計三つだな。


 胸の痛みは検査入院の時にも調べてもらったが特に異常はなく、髪についても伸びる速さが異常なだけでほかに害もない。体が女になったことは…、まぁ諦めて楽しく生きてるよ。


 まぁこんな感じで話した。

 そのあとは少し話したあとに解散となった。



 4月、俺は二年となり、後輩の梅木が新入生としてこの高校に入ってきた。

―――――――キーンコーン、カーンコーン

 4時間目が終わるチャイムがなり、委員長が号令をかける。

「起立! 礼」


「「「「ありがとうございましたー」」」」


 あいさつが終わると先生は持ってきた道具を片づけ教室を出ていく、生徒は仲の良い人同士が集まり弁当を広げ話ながら食べ始める。


 そんな中俺は自分の机で一人で食べ始める。

 そうそう、この高校は工業系高校であり、そのため男子生徒が殆どを占める。女子はクラスに一人二人いるかどうか、このクラスでは俺を入れて五人だな。

 それと俺の性別のこととかについてはクラスの人には話している。他のクラスの人たちには話しておらず、転校生と思われている。

 

 俺は一人黙々と食べていると突然聞き覚えのある声が聞こえてきた。


「うぃーす、一緒に食おうぜ~」


 身長は女になり少し低くなった俺よりも低く、成績はふつう、運動中の下、そしてロリコンである。

 まぁこいつは女になっても以前と変わらずに接してくれるいいやつだ。


 名前はA君とかでいいだろう、どうせすぐに出なくことだろうしな。


「おいっ!A君ってなんだよ!俺にはちゃんと半…「ごちそうさまでした」」


 俺はA君が本名を言おうとしたので被せるように言う。

「って食べるのはやっ!」


 今日は用事があるからな、ちんたら食ってる時間はないんだ。おっとこうしてるうちにも時間が…。


「俺一年のところ行ってくるわ」

「ん、なんだ。ついに竹下が男に目覚めた…。ああ、性別は女だしおかしくはないし…うん、気にするな。応援するから―――――――」


 なんか長そうだったので途中で聞くのをやめ一年の校舎に向かった。



 場所は一年の校舎、そして向かっている先は後輩の梅木がいる教室である。

 その目的地も見えてきた。


 俺は教室のドアを開け―――――――


「この教室に梅木君いますか?」


 俺はいつもとは違うしゃべり方で女にしか見えない感じになる。まぁ、体女だから元からそう見えるんだけどね、あれだよ雰囲気ってやつ?


 俺がそういうと奥のほうで三人で楽しそうに弁当を食べていた一年生の一人が立ち上がる。

 あの少年が梅木かな?


「竹下先輩!?」


 おぉ、合ってたようだ。


「すいません、ちょっと梅木君借りていきますね」


 俺はそう言い近くまで来ていた梅木を捕まえ強引に連れて行く。


「せ、先輩っ!どうしたんすか?!」


 襟をつかんで連行しているため梅木は驚いているようだ。


「え~とね、ちょっと話すことがあるだけだよ~」


 周りにはほかの一年生がいるため男の口調では話せなかったのでこんな口調になった。


 俺はそう言い、部室に連行していった。




 部室につき、俺は部室にあるパイプ椅子にすわる。

 あぁ、言ってなかったけど俺剣道部に入ったんだよ。入ったのは二年になった始業式の日だからまだ入って一週間くらいだな。


 だがそんなことは今はどうでもいい。


「竹下先輩、話ってなんですか?いきなり教室に来られると…その先輩の容姿のせいであとで俺いろいろ聞かれそうなんですけど…」

「さっそくだけど、梅木、剣道部に入ろうぜ! 俺も一週間前に入ったからさ~。どう?」

「剣道すか~、って先輩一週間前に入ったんですか?!ってことは大体一年間くらいスランプがあるってことに…」

「まぁそうなるねぇ~、それでどう?」

「まぁ、高校ならもっと楽しめそうですし、いいですよ。中学の時なんて先輩以外には負けなしでしたから、高校の剣道が楽しみです」


 おっ、言質ゲット。もう言い逃れはさせないぜ?


「んじゃ、これからよろしく~」

「よろしくお願いします」


 こうして梅木は剣道部に入ることになった。




 時は進んで二ヶ月後、場所は市民アリーナ。今日は市内で大会をし、上位がさらに県の大会に出て県の代表を決める。そしてその県の代表が終結して全国一を決める全国大会が行われる日であり、俺と梅木は県代表として出場することになっている。

 ちなみに剣道では五人1チームを学校毎で作り戦うのと、個人戦の二つがある。

 俺の高校は男子が梅木を入れて5人ちょうどであり、市内の予選の大会には出れたのだが、負けてしまった。梅木以外は弱すぎるよ!じろじろ俺の体ばっかりみてくるしさ!

 女子は俺だけであり、団体は出ることすらできなかった。

 そして個人戦で俺と梅木は余裕で勝ち上がり、全国出場となった。

 言い忘れたかもしれないが、梅木は中学の時に個人戦で全国準優勝を二回している。これで中学から始めたって言うんだから驚きだ。決勝戦で梅木と戦ったのはいい思い出だ。


 そして今、男子の個人戦が始まろうとしている。

 戦う選手はすでに準備を始めており、梅木もその一人だ。


「梅木、お前なら男子の中でなら一番になれると思っている。すぐに勝ってこい!」


 隣にいる顧問の先生がそう言う。けど男子の中でならって部分いらないと思うんだけどなぁ…。


「はいっ!!」


 梅木は元気よく返事をし、コートの中に入っていく。


「試合、開始ッ!!」


 そして試合が開始された。



 梅木は圧勝し、どんどん突き進んだ。そしてついに決勝戦までいき、決勝戦前の自由時間がきた。

 自由時間といっても決勝戦前の選手は休憩し、体力を回復させるか、練習し、体をあっためるかのどちらかである。

 梅木は後者であった。


「先輩、試合お願いします」


 自由時間が来てすぐに梅木は俺にそう言ってきた。梅木ならこの時間寝てても勝てると思うんだけどな…。


 まぁそういうことで、俺と梅木は沢山の観客や負けて行った選手に見られながら試合でつかうコートのなかで試合の合図を待っている。試合といっても練習の試合であり、合図は顧問の先生がしてくれるようにお願いした。


 コートも今の時間は決勝戦に出る人なら使ってもいいので堂々とできる。


「試合、開始ッ!」


 顧問の声が試合開始を告げる。俺はすぐには攻めず、待つことにした。

 梅木はそれに気がついたのか発声しながら攻めてきた。

 狙いは動きから見て籠手こて


「やぁああああああ!」


 俺は籠手を狙ってきた梅木の竹刀をいなし、面を打つ。本当ならば撃った後に「めえぇぇえーーーん!!」って感じに声を出さないと一本にならないのだが、これは練習であり、先生も分かっているので大丈夫だ。


「面あり!一本!」

 きれいにはいったし、周りの人も反対はしないだろう。ってか反対でもなにもいえないさ。


 俺と梅木は開始点にもどり、竹刀を構える。


「二本目!はじめッ!」




「胴あり! そろそろ時間だ、ここら辺で終わろう」


 審判をしてくれた顧問の先生はそう言い、時計を見てみると自由時間はあと数分で終わるところだった。


 俺達は練習を終り、面をはずし休憩にはいる。


「はぁ、はぁ、はぁ、先輩…容赦…ないっすね……」


「ふぅ~…、んでも最後のは惜しかったよ~」


「でも、先輩8本目くらいから手抜き始めたでしょ。それに先輩なんで息きれてないんすか…」


 ふつうは二本先取りで終わるのだが、俺がすぐ二本とってしまったため3,4,5と続けたのだ。


「あれ、気づいてた? う~ん息が切れてないのは体力があるから?」


「俺結構体力増えたと思ってたんですけどね…」


 まぁ実際梅木の体力ですらほかの人とはレベルが違う。

 ほかの人なら十分で倒れる練習を三時間通しでできる。


 まぁ、今の梅木なら俺以外には負けないだろう。




「勝負あり!」


 いろんな声が聞こえるなか、決勝戦は終わった。結果は梅木の圧勝であった。

 梅木が決勝で圧勝したせいで、その梅木を決勝前の練習で圧倒していた女子は何者だ!と思われているそうだ。(顧問の嫁さんから聞いた話)


 あぁ、早く出番来ないかなぁ…。




「優勝、男子の部、梅木進也。女子の部、竹下由紀。二人は数々の選手の中から―――――――」



 俺は優勝した。そして今は授与式が終わり、梅木と自転車で帰宅途中である。

 そうそう、なんか優勝賞品で恒例のいい竹刀くれるんだけど、今回はなんかものすごい竹が見つかったそうで、その竹でつくった竹刀を男子、女子の優勝者、つまり俺と梅木がもらった。


「梅木~、私剣道部やめようかな~。なんか相手いないしさ…」

「それをいうなら俺も先輩以外には相手いないし、楽しくないですし、俺もやめましょうかね…」


 顧問や同じ部の人が聞いたら驚きそうなことを話ながら帰っていると突然竹刀を入れていた竹刀袋が震えだした。


「ん、なんか震えてない?」


 俺がそういうと同時に竹刀袋から竹刀が飛び出し、なにも見えなくなるくらい眩しい光を出し、それがおさまるとそこには由紀と信也が乗っていた自転車だけが残されており、二人と竹刀袋はどこにはみあたらず、大会帰宅途中の謎の誘拐事件とされた。




 


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