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ごっこまんの140字小説集

ごっこまんの140字小説集⑩

作者: ごっこまん
掲載日:2026/10/11

ごっこまんがX【https://x.com/gokkoman】で発表している140字小説のまとめ

「おほほ!きびきび働きなさい!」

成金令嬢め

宝石をひけらかす豚め

…

街が戦で壊滅

飯…いや、水…

「お飲みなさい」

お嬢?

宝石は

「清潔な砂礫がなくて、ろ過装置用に砕きました」

お嬢…

「しっかりおし!戦後は物要り、商機ですわ!貴方も人を掻き集めなさい!商会再建して宝石を買い替えますわよ!」


――商魂


   ・


「くっ、強い!お前本当にあの噛ませ犬なのか!?」

『以前の俺と思うなよ。改造手術を受けて、全てにおいて貴様を凌駕した』

「それがお前の求める強さなのか!?」

『ああ。貴様を超えるパワー、スピード、タフネス…そして良識』

「おん?」

『自分に反吐が出る。これまでの非礼の数々、心から詫びよう』


――誰がここまでやれと


   ・


「何で私が怒ってるのか、わかる?」

リサ・フェルドマン・バレットらが提唱する構成主義的感情理論とラッセルの感情円環モデルを照らせば、感情とは【興奮・沈静】×【快・不快】の感覚に脳が経験などからラベルを貼ったものだから、君の人生を知らないと怒る理由なんてわからないし、今は泣いてるよね?


――ロジハラ


   ・


「魔法vs現代兵器の矛×盾やりましょう!」

結局企画はボツ

まず両世界を繋ぐと接点でエネルギーが瞬間的に無限になり通行不能

仮に通行可能になっても両世界で物理法則が全く違う…元素も当然相容れず、魔法も兵器も双方の世界では機能不全

生命維持も不能

シャチとヒグマ同時に上がれる土俵がなかった


――リアルとリアリティは違う例


   ・


【何だ…勇者から凄まじい力を感じる…!】

「旅で出会った人々、心の触れ合い…俺は負けられないんだよ!」

――そろそろ家宝を返して…

――買取とかやってないのにガラクタ売りつけられた…

――家を荒らされた…

――ツケはいつ払うんだ…

「うおお!全部魔王討伐出世払いにしといて斬ーッ!」

【やめろォ!!】


――勇者特権


   ・


妹は巫力無しの面汚し

神を祀るのは私の務め

巫力を磨く日々

出来損ないには下働きがお似合いよ

供物を作らせ、実家を掃除させ

みじめね

神は妹を見初めた

嫁入りを徹底的に邪魔してやった

なのに神は私を出し抜き、妹を食った

より貴い神がいるなら感謝したい

巫力をくれたことに

おかげで仇を討てる


――不出来な妹ほど


   ・


「魔法国の法律書をどうぞ」

分厚いし付箋が沢山

「付箋の部分は最低限覚えてください」

常識的に振る舞えば大丈夫だよね?

「魔法国の法は領地内の全員と交わす魔術契約です。うっかり法を犯すと直ちに罰が…」

すぐ覚えます

「それは人用で、これは病原体用です」

“害毒成れば此れを滅す”

ほぼ結界だ


――ま法


   ・


天空の楽園、浮遊島

シャボンチアの種が風に流され、凪に留まるのを繰り返す内に集合、巨大化した地形

長い歳月をかけて雨に含まれる塵が堆積し、土壌を形成

貧栄養の草原、人が立てば底が抜ける脆い地盤は、野鳥の楽園だ

いつしか浮遊島は野鳥の重要な営巣地となり、今も世界のどこかで風に乗っている


――異世界百景 浮遊島


   ・


「なっ、何ですかこの衣装!?」

逆バニーです

こちらを着用の上、撮影を行います

「話が違う…もう、どうやって着れば良いのよ…」

まず網タイツのトップスに袖を通して

レオタードのクロッチは肩がけで

Yゾーンは襟とタイで隠して

ウサ耳カチューシャは腰に

ウサ尻尾は口に咥え

「上下逆なことある!?」


――逆バニー


   ・


崖の村

ほぼ垂直の崖肌に家が吊るされた情景を前にして、あなたは何を思う?

迫害から逃れた人々の村か?病にかかって隔離された棄民か?

いずれも違う

彼らはごく普通に生活しているし、何なら近所を散歩がてら崖肌を歩いている

山羊の亜人、バフォメットの日常だ

差別を連想するのは、人間の勝手である


――異世界百景 崖の村


   ・


同じダンジョンでも入る度に地形がガラリと変わることがある

挑む者は心せよ

幻惑対策は無駄

そこは獅子蟻ミルメコレオと土竜人モールスによる熾烈な領土争いの最前線

一歩踏み入れた瞬間、優勢な側の軍が大挙する

敵の間者を疑われれば、泥沼の撤退戦を強いられるぞ

でなければ崩落した後だ

引き返せ


――異世界百景 不思議のダンジョン


   ・


私もエルフ族みたいに菜食生活すれば綺麗になれるかな?

「うふふ、そうね」

『待つんじゃ』

博士?

『人間が真似たら動物性タンパク質不足でむしろ老けるぞい』

そうなの?

『エルフは腸内微生物を駆使してセルロースをアミノ酸やタンパク質に変換するぞい』

へぇ

『ゴリラと同じじゃ』

「誰がゴリラよ」


――エルフコング


   ・


険しい谷を渡す鉄橋は、霧に全容を隠されている

この鉄橋は剣だという

かつて巨人王ヨトンが隣国へ進軍した際、この要衝に悩まされた

そこでヨトンは自らの剣を橋として、配下の人間を渡らせたのだ

隣国は人間の国

配下は遂に還らず、鉄橋を剣と知る巨人も去って久しい

自ら渡れぬ橋を渡すなという教訓


――異世界百景 ヨトンの鉄橋


   ・


「小惑星探査機、打ち上げ成功おめでとうございます!」

ありがとう!

でもまだ気を抜けないぞ

小惑星に到着し、サンプルを持ち帰れるか…

「心配しなくても必ず戻ってきます!」

励みになるよ

「捨てても帰ってくる日本人形積みましたから!」

あれかさばるから降ろした

【ただいま】

「戻るのが早いよ!」


――無事に帰って


   ・


【やあ、旧人類の諸君】

何だ…街中のモニターがジャックされた?

【私は肉体を捨て、ネットワーク上に魂を移した電子人間】

何が目的なんだ

【諸君らに紹介しよう】

他にも電子人間が?

【捨てた体組織を移植して回復した子どもたちだ】

「おじさんありがとう!」

『おじさん大好き!』

めっちゃ良い人だ


――電子人間


   ・


「くそっ…使い魔を召喚できないからってバカにして…!見てなさい!大悪魔を呼んでやるんだから!えい!」

【我はダイアモンドグリズリー】

「ダイアくま…ってこと!?」

【汝が主か】

「これじゃない!」

【え】

「あんたじゃみんなを見返してやれない!」

【そんな訳ない。デカいダイアのしゃべる熊だぞ】


――すごいっちゃあすごい


   ・


「言い掛かりはよしとくれ」

しらばっくれるな

白昼堂々、人身売買予備罪だぞ

「ただのミルク売って大袈裟な」

「うちはただの卵」

ミノタウロスとハーピィのな

ご丁寧に棚札に書いて

「余り物を売って何が悪いって?」

市場価値がつくと誘拐が起きるんだよ

「返り討ちにしてるから平気よ」

それもだよ


――人身売買予備罪


   ・


「沈黙の呪いだ。お前ら、もう呪文を唱えられないぞ」

魔法使いが指を鳴らす

吟遊詩人がコンガをセット

杖の両端に火を点け、振り回す

ファイヤーナイフダンスが始まった

「自然と交信して魔法を使う気か!なら…!」

敵も踊る!

「自然を魅せるダンサーはこの俺だ!」

大自然が3人のセッションに熱狂する!


――異世界ダンスバトラー


   ・


「おい見ろ。“板奏者”だ」

ばんそーしゃ?

「異世界から来た吟遊詩人だ。手の平大の板で交響楽すら奏でるんだと」

とんでもねぇな

是非ともうちのパーティに…

「やめとけ」

何故止める?

「奴は曲をリストにまとめている。1番曲の数が多いリストは何だと思う?」

勿体ぶるなよ

「処刑用BGM」

おっかねえ!


――板奏者


   ・


皆さん、ようお越しくださいました

まばらな寄席だと冷房が効く効く

寛ぐにはもってこい

不肖、印叉尼亭九頭竜です

言うても賑やかでなんぼの生業で、こういうときはとっておきの呪文を唱えます

皆さん、さんはい

イゴーロナク

呼べば来る邪神は便利ですね

こんな日にピッタリの怪談話を一つ

いあいあ


――冒涜的寄席


   ・


【私は知恵の四天王】

「現れたな!」

【武器を納めなさい。私は他の野蛮人とは違って知恵を重んじます】

「何か話のわかるやつっぽいな」

【私が課すのは知恵の試練】

「何でも来い」

【この知恵の鎌で貴様の頭蓋を開いて、シワの数と深さを確かめてやりますよォー!】

「結局同じ穴の狢じゃねえか!」


――高度な頭脳戦


   ・


「店長、お客さん殺しちゃったんですか!?」

『あんまり理不尽なクレームだったから…』

「自首しましょう」

『大丈夫…お客様は神様だから』

「だからも何も」

『頭蓋骨を綺麗に祀って魂を天に返せばまた戻って来るさ』

「アイヌや北米先住民の世界観!」

…

【この前はよくも!】

「マジで帰ってきた」


――イオマンテ


   ・


休日何してる?

「大体、母親の買い物の付き添い。荷物が多くて大変なの。1人で行けって感じだけど、双子に間違えられるくらい私ら瓜二つで、若く見られるのが嬉しいとかさ…あと海水を精製塩にしてテールスープ作ってる途中」

…主に面似るオモニの重荷を持ち塩も煮て尾も煮、尚も煮ている、ってこと?


――おもに


   ・


「私の命令が聞けないと言うの!?」

『滅相もございま…ゲホッゲホッ』

まただよ

姫殿下のわがまま

病に臥せったメイド相手に…

「とっとと出ていきなさい!その子は私のメイドよ、薄汚い病魔め!出てけ!出てけ!」

姫殿下、メイドが眠れませぬ

「嫌だ!私がいないとこの子が死んじゃう!」

良い子なんだよな


――わがまま姫


   ・


巨人の国の、巨木の森

あらゆる植物が巨大で、人の知るオークや松でさえ、ヤドリギのように枝々に根を下ろす

幾重にも立ち塞がる山脈は根、丘は瘤、池は洞、崖道はツタで橋は枝

迷い人は漏れなく古代樹に圧倒され、畏れるか、悟るか、感銘を受ける

巨人は首を傾げるだろう

生活の場に見所などあろうか


――異世界百景 巨木の森


   ・


無限螺旋階段と回廊の迷宮

降りても降りても螺旋階段と回廊の繰り返しで、ゴールに到達できない迷宮

だが無限の原理は解明済だ

この迷宮、実は地下2階までしかない

地下2階の回廊は緩やかな上り坂で、地下1階の螺旋階段に接続されている

往路は死角に隠れ、気づき難い

時に振り返る勇気も、冒険である


――異世界百景 無限螺旋階段と回廊の迷宮


   ・


「魔導書の盗み見を防ぎたい?」

研究成果を保護したくて

「秘密主義も考えものだが…良かろう。好きな方式を選ぶと良い」

これは?

「獣本装丁。持ち主以外を噛む」

これは?

「文字虫書式。女王のフェロモンで正しい文章に並ぶ」

これは?

「わからん。忘却式か。読むと忘れる」

…僕何しに来たんだっけ?


――魔導書のセキュリティ


   ・


海底王国の軍事演習に招待された

「シャチ騎兵隊の編隊航行です」

(海中最強格のシャチを手足のように操っている…)

『これだけの大軍なら船の一艇、容易く転覆させられそうですな』

「いえ、シャチに武力行使はさせません」

『何故です?』

「シャチが餌以外を襲うのは遊びで…流行したら困るのです」


――異世界百景 シャチ騎兵隊演習海域


   ・


主なき徘徊城

大戦時、さるゴーレム技師には想い人がいた

戦火の巻き添えとなった想い人を治すまでの時間稼ぎに、技師は城に脚をつけ、戦地から遠ざけた

しかし、技師はゴーレムを熟知していても、人体は不見識

徘徊城の現城主は人形のように見目麗しい姫であるという

姫が城に停止を命じた記録はない


――異世界百景 主なき徘徊城


   ・


鱗山はドラゴンの巣窟だ

もしドラゴンに襲われたらどう対処する?

ドラゴンには入れない隙間に隠れる?

炎の息を吹かれるぞ

非礼を詫びる?

大概の奴は聞く耳持たんぞ

答えは1つ

温泉を探せ

奴さんたち綺麗好きでな、貴重な湯浴み場で事は起こさん

裸の付き合いが通用するのさ

まあ湯加減の保証はできんが


――異世界百景 鱗山の秘湯


   ・


俺が魔術決闘立会人を務める

作法に則り、双方名乗られよ

「僕はウィン。ウィン・ド・カーターだ」

(シュバババ!)

「すまない。ウィンドカッターが漏れてしまった」

『気にするな。私はフレイ・ムーブ・ラスト(ボワワッ)・サンダーボ・ルト(ピシャアッ)。おっと、漏れてしまった』

お前ら失格だよ!


――魔術決闘


   ・


「我が一族はご先祖様が守ってくださっている」

嘘くせぇ

「罰当たりめ」

【今のはお前の説明が悪い】

「しかし父上」

本当に守護霊いるぞ

【育てたうぬにも責任がある】

「お爺様その辺に…」

良いことばかりじゃなさそう

【ウンバボ】

【【ハハァご先祖様】】

もはや誰

「誰も逆らえないのは確かだ」


――アンセスターズ


   ・


「あっしは組の鉄砲玉ですけ、兄貴、何なりと」

うちを嗅ぎ回ってる犬がいる

消せ

「へい。では兄貴、点呼を」

組のチャカ

「へい」

組の火薬

「ここに」

組の薬莢

「いつでも」

組の雷管

…

組の雷管?

「いねえならハジけねえ。延期で」

何とかならねえか

「雷管抜きじゃあねえ」

この仕組み見直そう?


――鉄砲玉


   ・


登校したら机に花が飾ってあった

息を呑む気配

ひそひそ、くすくす笑う声

私に期待された役割なんかこんなもの

私は制服を脱いだ

全身隙間なく包帯を巻いた身体を露わにし、通学カバンからファラオ的な被り物を装着する

「ほら日本じゃなくてエジプトだろ!」

とか言う男子はピラミッドの置物を誇示する


――何かそういう流行り

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↓は本当に読んで欲しいやつ


無原罪御宿の吸血鬼

https://ncode.syosetu.com/n3398kl/

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