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お馬鹿たち

 ミリウちゃんはお母さんにぼこぼこにされて、ご飯を食べて帰った。それ以来、何故かお家によく遊びに来るようになっていた。

 二日に一回くらい遊びに来てるみたい。ミリウちゃんが帰ってからだいたい三回ご飯を食べるとまた遊びに来るから、二日に一回だ。

「ご飯で考えるなんて不思議だねー」

 あーちゃんのお腹にすりすりと頬を擦りながら、ぽつりと声を漏らす。

 最近はなんだかお馬鹿さんになったみたいだ。

 今日が今日なのか、明日なのか、昨日なのかもちょっとあやふやする。

「難しいねぇ」

 あーちゃんがもふもふ過ぎるから、いっつもあーちゃんでもふもふぬくぬくされてるから馬鹿になったのかも知れない。そうに違いない。

「ミリウちゃんはどうー?」

「なにがぁですか?」

 ミリウちゃんもあーちゃんのもふもふにすっかり夢中になってて、お馬鹿さんになってた。

「ご飯を食べた回数で日を数えるの」

「なんでそんなバカみたいなことを」

「お馬鹿さんになったの私」

「ほんとうですか?」

「ほんとーなの」

「たいへんですねー」

 ミリウちゃんもお馬鹿になっちゃった。

 やっぱり、あーちゃんのもふもふがいけないのだ。これのせいで、私もミリウちゃんも。

「えいっ」

「なんですか」

 怒りに任せてミリウちゃんの髪の毛を撫でた。柔らかいーと思ったけれども、ばさばさだった。

 まだ子供なのに、髪がばさばさだなんて。

「大変だったんだ…」

「え、なんで?」

 こんな歳なのにも、髪の毛がばさばさになるまで頑張って生きて来たんだろうね。なんて偉い子だ。

 よしよししてあげなきゃ。

「いい子いい子。あなたはがんばったよ」

「わけわからん……」

 自分の偉さもわからないなんて、これが当たり前の生活をしてきたんだ。

 まぁ。おふざけはこんなもので。

「ねぇミリウちゃん。勉強はとくい?」

「これまたきゅうですね」

「最近、勉強が難しいーって思っちゃうのー。まだ赤ちゃん用の算数なのにね」

「それは、なんとおバカな」

「そうなのー。私おバカなんだから、ミリウちゃん教えてー」

「それなら、しかたありませんね」

 なんかのりのりだなー。やっぱ子供って偉い偉いしてあげるとみんな乗り気になるんだよな〜。

「これだよー。ここ!」

「なんでそこででるんですか?」

 あーちゃんの下に撒かれていた本を取り出して、早速ミリウちゃんに見せた。

「あーちゃんの下に撒かれると後で取り出した時ぽかぽかなのー。気持ちいいんだよねー」

「はぁ」

 納得いかないって顔だな。

「それより教えてぇ。はぁやくぅ」

「はいはいわかりました。どれどれ……―うわぁっ?!」

「きゃー」

 ミリウちゃんが本に目を落とすと途端、あーちゃんが転んだ。ころころ。

 そのせいで私もミリウちゃんも、本も。あーちゃんの動きに巻き込まれてベッドに下に落ちちゃう。

「いてっ」

「おぐっ」

 本の上に私が落ちて、その上にミリウちゃんがぽんと落ちた。背中が痛ーい。殴られた。

 でも本は無事そう。よかった。破れたりしたら怒られたんだろうねぇ。

「だいじょーぶ?」

「へーきです……むぅ…」

 どこか不満気な声はするものの、痛いところはなさそうだ。よかったねぇ。

「それでミリウちゃーん。わかった?問題解いた?」

「いえ、まだ…」

「えーわからないの?」

「……さっきころんだし、まだちゃんと見てないから、とけなかっただけですよ」

「ほぇー」

 問題って解くのに時間かかるのー?ぱっと見てわかった!か、知らなーいの二つじゃないのか。

「それで、わかった?」

「あまりせかさないでください。うるさいですから」

「えー」

 時間かかりそうだな。じゃあ私ももっかい見てみようかな問題。案外わかるかも?

「んむむむ……なんて、むずかしいやら…」

 ぶつぶつと言いながら私の髪の毛に顎を擦りまくるミリウちゃんをよそに、もう一度じーっくりと、本を眺めた。問題は簡単だった。

 16+83って書いてた。でも、九の書き方忘れたんだよな。どう書いてたけー?

「あ!思い出した!」

「…といたんですか?」

「らくしょーじゃん。私天才?」

「ばかです。えぇきっとバカ」

「えー」

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