完全犯罪!
「食べたー」
買い食いでいっぱいになったお腹を擦りながら、あーちゃんと帰り道を歩く。
「あーちゃんも中々やるねー…」
私の角が消えるまで一緒に食べれるなんて、やっぱり大きいから食べるのも多いのかな。
「帰ったらまず足を洗おうね。あ、家に入る時も窓から入るのよ。バレないように」
にししと、お互い悪い笑みを浮かべて笑い合う。
あーちゃんって狼だから悪い顔になるとかなり様になるな。絵本に出て来そう。
「ふーん……今日の工事は終わったみたい」
遠くから家が見えて、家の辺りには誰も見えなかった。広い庭があっただけ。狼を飼いたいって言ったらお父さんが作ってくれた庭だ。
まだ作る途中だけど。
「こっそり、静かについてくるのよ?」
ここから気をつけて、草むらに身を隠したり。岩の影に体を潜めて家に近づい行く。
「よーし…ここから登りさえすれば…」
そうやってバレずに私の部屋のすぐ近くまでやって来た。ここで一つだけ問題があるとすれば…
「あーちゃん、ジャンプとか得意なの?」
二階に部屋があるから、私は壁を登ればいいけどあーちゃんはそれが出来ない。
「流石に高いよね……んー…」
やっぱりあそこまで飛び上がるのは無理そうだった。じゃあ、どうしよう。
んー…………
「そうだっ」
お母さんが掃除する時に使えって、物を浮かせる魔法を教えてくれた事があったな。それを上手く使えば、あーちゃんを持ち上げたり出来るのではないか。
「あーちゃん、ここに登ってて。危ないと思ったらすぐに飛び降りてもいいからね?」
私が何をやろうとしたのか理解したあーちゃんは、少しだね震えながらも素直に私に従ってくれる。
信頼には答えないと。
「行くよー…?」
お母さんが教えてくれた魔法で、あーちゃんが乗ってる石をふんわりと浮かせる。
「うーむむ……もうちょっと出来ないかな…」
浮かんだけど、足りない。もう少しは上げないと届かないみたいだけど。
「…あ」
あーちゃんそのものを浮かせたらなんとかなるんじゃないかな。動く事に使った事はないこど、なんかいけるきがする。
「あーちゃん、ちょっとだけじっとしててね?」
魔法をもう一つ掛けて、あーちゃんを浮かばせた。
「ささ、中で待っててねー」
予想通りで、あーちゃんを部屋の中に入れる事に成功した。もう私だけ。
私は日々ここを登ってたからね。問題ない。
するすると壁を蹴って、握ってと二階の部屋まで登りきった。日々の鍛えの成果だろう。
「ちょっと待っててね」
靴を脱いで、玄関にこっそり返して来た。その間あーちゃんは部屋で待機。
「さ、足洗いに行こ」
靴もバレずに戻した。後は泥まみれのあーちゃんの足を綺麗にすれば終わり。
あーちゃんの足跡を魔法で一つ一つ消しながら、お風呂の中に入って行った。未だにバレてない。
「時間がないから魔法でやるね?」
水遊びを期待していたあーちゃんには申し訳ないけど、今は仕方ない。
あーちゃんの足を水や風やで洗って乾かす。
汚れた風呂場の足場も綺麗に片付けた。
「よし…」
それからのこのこと部屋に戻った。お父さんにも、お母さんにもバレなかった。
「完全犯罪だーっ」
なんだかものすごい達成感がして、あーちゃんもやり切ったって感がするのか、二人でだらしなく笑いあった。
「ふへへ」




