なでなでし合った!
「この子はあーちゃんだよー」
「お、狼?!こんなに大きいとは聞いてないよ…」
あーちゃんを連れて家に帰って早々、お父さんに紹介した。わんって、あーちゃんが鳴いた。
何って言ったのかはわからないけど、よろしくって意味なのだろう。新しい家なんだから。
「よろしくお願いしますって」
「言葉がわかるのか!やっぱりアイラは只者ではなかったんだ。それもそうか。お父さんとお母さんの娘なんだから動物の言葉くらい――」
「ささ、お風呂入ろうね。色々穢れたんだから」
わんって鳴いた。いいって意味なのだろうか。
言葉が通じないからめんどいな。いい方法とかないかな。魔法に動物と喋れる魔法があったりするんじゃないか。今度探してみよう。
「こっちだよー」
私もあーちゃんも泥足のまま、風呂場まで歩いて行った。後でお母さんに怒られそう。
ま、それは後で考える事にしよう。
「さぁ、洗うよー」
今はあーちゃんを綺麗に洗う事にした。
体に着いた土や塵を流して、荒れた毛を丁寧にシャンプーで泡を立てて洗う。
「もふもふになるんだよー」
水は好きなみたいで、体を洗う途中に何度も湯の中に入っていこうとするのを止めるのが大変だった。
お湯が好きな狼。
一緒にお湯に浸かるのもいいなぁ。
「終わったよ」
一通りシャワーを終えた頃には先程までの野良狼の感じはすっかり消えて、凛とした狼になっていた。
「乾かすねー」
濡れた毛を乾かすのは魔法でやった。
お母さんに学んだ魔法で、暖かい風をあーちゃんの毛に吹かす。お母さんはこれをドライヤーみたいなものって言ってた。
「できた!ささ行くよ?」
ちゃんと乾いて、もふもふになったあーちゃんを連れて一刻も早く寝室に行った。
「お昼寝するよ!いいよね?よく寝る子はいい子って言われてるから、寝るの」
そのままベッドに上がって、あーちゃんを急かす。
「ほら、登って。こっちに来るの」
あーちゃんは野良狼だったのに、何故か私のベッドに登るのを躊躇っていた。まだ寝たくないのかも。
「寝なくてもいいから、はーやーく」
何度も急かしてようやくあーちゃんはベッドの上に登ってきてくれた。やっぱり寝たくなかったんだ。
「撫でるねー…わ、もふもふ」
ベッドに横たわって、私とちょっと距離を置いて座っているあーちゃんを撫でた。手の甲や、腕や、ちょっと手を伸ばして背中や。
「えへへ……」
どこもかしこももふもふふわふわで、無性に気持ちよくなってしまう。お母さんが私を撫でる時ってこんな感じになっていたのだろうか。
これはずっと触りたがるのも理解出来る。
「ぉん……?」
あーちゃんの毛並みに夢中になっていると突然、私を撫でる手が感じられた。お母さんではなく、お父さんでもかく。
目の前のあーちゃんだった。
「撫でてくれるの?ありがとー」
もふもふの手でなでなで。私の頭を撫でてくれる。
なんか安心する。
お母さんやお父さんからは感じられなかった感覚だ。お互いを撫でる行為もまた新鮮で、楽しい。
「うふふ…あーちゃん、あったかいね…」
あーちゃんは狼だからなのか、人間より体温が高かった。お父さんお母さんより暖かく、もふもふ。
これは、眠るしかない状況だ。
「………すやー」
だから眠っちゃった。
「アイラー?ご飯――」
眠りから起きたのはお母さんが部屋にやって来た頃で、私の隣でそっと体を丸めたあーちゃんを見て驚愕した。声のない叫びを上げたとも言える。
「こんにちゃ……」
「な、なんなのその…子は」
「あーちゃんだよー…さっき拾った」
「拾ったじゃないのよもうっ」
なんかすっきりした。あーちゃんと一緒に寝たからなのか、寒くもなかった。




