喧嘩した!!
新しい友達と三人で遊んで帰っての日々。初めて鬼ごっこをしてからおおよそ十日くらい経った頃の事。
この日はお母さんと一緒にお城に来て、遊んでいた。ツノちゃんと、あの子が来るまではお母さんと二人で砂遊びに夢中だ。
「見てー。お城!」
「うん……」
私の砂遊びの実力はかなり凄腕で、それはそれはお城を作れば中に入っていいと思われるくらい些細に作る事が出来る。同時にめちゃくちゃ早い。
今私が作ったのはお父さんが働くお城だった。
「どぉー?」
「すごいね…」
あまりの出来にお母さんも驚くくらい、私は才能に溢れているのだ。大人になったら色んな家を作ってみるのはどうかな。才能あるし、面白いし。
それはさておいて。
「ツナちゃーん!」
ツノちゃんが見えた。今日はいつもより早かった。
「わーぃ」
遠くでお互いを見つけたら両手をばーって伸ばして、にこにこ。最近の二人の挨拶だった。
これやるとなんか気持ちいい。
「ふふ…」
お母さんもこれが好きみたいで、私がこうしているといつも愛情がいっぱい込められた目で見てくれる。
私は気持ちいいし、愛もされるし、ツノちゃんと挨拶も出来るし。一石三鳥って事だ。
とにかく、ともかく。
「おはようございます」
「ええ、おはよう」
ツノちゃんの後ろにはお姉ちゃんがいた。
「お、おはよう…ございます」
そのお姉ちゃんはどこかがたがた、ぷるぷるとしていた。どうしたのだろう。お腹でも壊したのかな。
「貴方も、おはよう」
「はい…」
お母さんに怯えてるのか。どうして。
「砂あそびしてたー?」
とにかく、そんな二人は置いといてツノちゃんは私のところにやってきた。私と、私が作ったお城に興味を示している。我ながら上出来なんだから、目が行くのはしかたないのだろえ。
「そーだよ。どう?私すごいよ?」
自慢げにお城を見せた。
「えいっ」
壊された。
「ぬぁぁぁ」
なんで……
「いじわる!」
「わははっ」
最近のツノちゃんは意地悪だな。前にも勝手に私のお菓子を食べてたし、今はお城も壊すし。
むー。なんか機嫌悪くなった。
「ぅー……ふんっ」
「あ、ごめん…おこらないでぇ」
今日はもうツノちゃんと遊ばない。新しい友達もいるし、ツノちゃんにこだわる必要もないもん。
「ねぇー」
「ふーんだ」
そっぽを向いてわざとらしく、ぷんぷんと怒りを露わにした。
「ごめんって」
「もうツノちゃんなんかいらないっ」
「ぇ……」
あ、ちょっと言い過ぎたのかな…
「……ふーんだ!つのももうアイラなんかいらない!だいきらい!」
「悪いのはそっちじゃん!」
「しらない!ふんっ」
言い過ぎじゃなかった。ふんっ。
「私もツノちゃんなんかいらないっ!他の子と遊べばいーもんっ」
「すきなだけあそべ!もう一緒にあそばないからっ」
先に悪い事したのはツノちゃんなのに、なんで私が怒られなきゃいけないの。
理不尽だ。
理不尽は悪いのだ。
理不尽を行うツノちゃんは、悪い子だ。
「悪い子とはもうあそばない!ぜっこうよ!」
「いいよ!」
ぷんぷんと怒りをぶつかり合う。
「そこまでにしなさい」
「でもツノちゃんが!」
「アイラがわるいもん!」
「二人とも落ち着いて?」
「私悪くないもんっ!」
「つのもわるくない!」
お母さんが止めても、高まった熱さは収まる気がしなかった。むしろ爆発するばかり。
「「悪いのはあっちだもん!」」
仲良く声を上げる。この場合、仲悪くと言うのが正しいのか、なんて事を考える自分もいた。
「んむっ」
「むぁっ」
言葉では収まらないと思ったのか、お母さんは私達の口に飴を一つずつ入れてくれた。
「取り敢えず、今日は帰ろうねアイラ」
お母さん、怒った。全部ツノちゃんが悪いのに、私に怒ってる。
ツノちゃんが私のお菓子を食べたのが、私が一生懸命作ったお城を壊したのが悪いのに。
なんで私が怒られなきゃいけないの。
「ぅぅ……」
「ほら、泣かないの」
「なかないもんっ…」
理不尽だ。
ツノちゃんが悪いのに、私ばっかり。




