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第9話 解毒ポーション

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 第9話 解毒ポーション

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 宿に帰り、さっそく木彫りに挑戦だ。

 ちなみに、ノコギリとノミは木工所のオッサンに紹介してもらった店で買った。

 高さ1メートルもあるので、三分割する。最初から大作にチャレンジするほど、俺は無謀ではない。


「ふっふふふふ~ん♪」


 鼻歌を奏でながら、木を削っていく。こういった趣味の時間というのは、いいものだ。

 こっちの世界に迷い込んで右も左も分からない状態だったから、心の余裕というのは大事だよな~。

 結構削ったところで、暗くなっていることに気づいた。


「もう夜か」


 おかげで手元が見えなくなりそうだ。

 木くずは全部アイテムボックスに収納。掃除機代わりになるアイテムボックスって便利だよな。

 食堂へ向かい、シュラーを見つける。


「シュラーちゃん。今日は腸詰あるかな?」

「ありますよ」

「じゃあ、腸詰と冷えたエールね」

「はーい」


 今日もチップを含んだお金を握らせ、冷えたエールで喉を潤す。

 この腸詰は本当に美味いぜ。


「そういえば、生活魔法のクリーンって知ってる?」

「もちろんです! クリーンはいいよね♪ でも、オーブが高いんですよ!?」

「オーブ?」

「え? まさかオーブを知らないの?」

「この年まで山奥の小さな集落で暮らしていたからさ、色々常識がないんだよ、俺」

「山奥でもオーブくらい知ってそうなものだけど?」

「っはっはっは。この常識を知らないお兄さんに、オーブのことを教えてくれるかな。あ、冷えたエールをもう1杯ね」


 お金を握らせると、はーいと可愛く返事をしてエールを持ってきてくれる。


「オーブというのは、適正のある人に魔法スキルを与えてくれるものなの」

「へー、そんなものがあるんだ」

「でもとても高いのよ。生活魔法のクリーンでさえ最低でも銀貨5枚はするの。これが第10位階魔法だと金貨になるわ」


 それは高いな。だが、いつかは魔法を使ってみたい。


「ほう、それはどこで売っているのかな?」

「魔法店で扱っているわよ。この町なら、アイスマンさんの店ね」


 アイスマンの店の場所を聞いておく。明日、時間があったら冷やかしにいってみよう。


 食後は一服。


「ぷは~」


 オリジナルブレンドタバコも調合しないとな。

 彫り物は一旦置いておいて、ランプの淡い灯りの下でそれぞれの葉を少しだけ取り、火をつける。

 立ち昇る煙の香りを嗅いで、3種類の葉の特徴を掴む。

 酸味のある香り、甘い香り、苦い香り。今持っている3種類の葉は、ざっくり言うとこんな香りがする。

 苦味をやや多くし、酸味を少なめで、甘いのはほどほどのブレンドをしてみる。


「ふ~……お、かなりよくなった!?」


 最初からそれぞれの葉の特徴を把握しておけばよかった。


「しかし、この世界のタバコには有害物質が入ってないんだな」


 鑑定を再度見てみるが、前の世界から持ってきたタバコのように病気などの文言はない。

 これで乾燥させている薬草を使ったらどんな味がするのかな~♪

 フレイク草とアチル草を乾燥させている。アルチ草の茎は解毒ポーション、根は麻痺薬の素材になる。葉は特に薬品に使うことはない素材だが、こういうものは何事も経験だ。危なそうなら、以後使わなければいいのである。




 今日も朝から草原へ向かい、薬草採取をする。ほどなくしてあの餓鬼がハーレム要員の2人の少女を連れてやってきた。リア充は爆発すればいいんだ……。


「オッサン!」


 もうオッサンに戻っているよ。この餓鬼は数歩歩いたら忘れる頭の構造か?


「お兄さんだからな。何度言えば分かるかな?」

「そんな細かいこといいじゃんかよぉ」

「まったく……で、薬草は持ってきたか?」

「おう!」


 袋の中を覗くと……フレイク草、アチル草、クリバム、これは何だ……ウレルカ……マジックポーションの素材じゃないか。


『[ウレルカ]葉がマジックポーションの素材になる植物』


 マジックポーションがあるということは、魔力やMPのような概念の隠しステータスがあるわけだ。それはいいが、俺の魔力はどれくらいあるのだろうか? それに魔法の才能はあるのだろうか?


「全部で青銅貨5枚で買い取ってやるよ」

「マジか!?」

「「うわーっ!?」」


 俺は中身を全部アイテムボックスに収納し、空の袋を餓鬼に、パンを少女Aに、お金を少女Bに渡した。


「パンもくれるのか!?」

「おまけだ。持ってけ」

「お兄ちゃん、ありがとう!」

「うん。お兄さん、ありがとうございます」

「お、少女たちはちゃんとお礼が言えてお利巧だな。それに比べ……」


 じとーっと餓鬼を見つめる。


「な、なんだよ?」

「少女たちはお利巧だな」

「……分かったよ、ありがとうな、あんちゃん」

「よく言えました」


 少年の頭をガシガシと撫でてやる。


「やめろよー」

「明日も薬草を持ってこい」

「ウレルカがあったら、今日みたいに色をつけてやるぞ」

「やったぜ!」

「明日もお願いします」

「お兄さん、明日もいっぱい採ってくる」


 3人と別れ、俺は薬師ギルドへ向かった。


「毎度」


 今日は巨乳受付嬢のミニャンだ。


「ケンヤ様、昇格したそうで、おめでとうございます」


 ライトグリーンの髪をアップにまとめ、チラリと見えるうなじが色っぽい。オレンジ色の瞳は優しげだが、情熱が垣間見える。

 普通に美人だし、艶っぽい。こんな巨乳彼女がいたら、毎晩ハッスルするんだがなー。


「DランクとCランクのレシピっていくら?」

「はい。Dランクのレシピ集は銀貨1枚と青銅貨5枚です。Cランクのレシピ集は銀貨3枚になります」


 Eランクのレシピ集が銀貨1枚だから、こんなものか。


「両方とももらえるかな」


 奥からコミケの冊子のような薄い本を2冊を持ってきた彼女に、お金を渡す。

 錬金術がある俺にはレシピ集は不要だが、どういった薬があるのか知るくらいには役に立つ。


 Eランクのレシピ集ではポーションと解毒ポーションの2レシピが載っていたが、Dランクのレシピ集では8種類、Cランクでは21種類だ。数がかなり多くなっている。


 調合室を借りて、Eランクレシピの解毒ポーションを作ってみた。

 薬師レシピで1本作るのに10分。下処理をまとめてやれば、1本あたりの作業時間は短くなるだろう。

 だが、俺には錬金術がある!

 錬金術では鍋に素材をぶち込んで、スキルを発動させるだけだ。錬成が終わるまでに3秒ほどだ。解毒ポーションを瓶に移したり、素材を用意するほうが時間がかかるんだよ。


 ピロリンッ。

『鑑定眼のレベルが上昇しました』

『鑑定眼レベル2が開放されました』


 おっと、鑑定眼のレベルが上がったよ。どんな効果が追加されたのかな~♪


 =・=・=・=・=・=・=

 【ridiculous skill 鑑定眼】

 ・Lv1:アイテムの用途を理解する 人間の詳細を表示する

 ・Lv2:アイテムの相場を表示する 人間の詳しいステータスを表示する モンスターの詳細を表示する

 ・Lv3:未開放

 =・=・=・=・=・=・=


 これはいいぞ!

 早速俺のステータスを見てみた。


 =・=・=・=・=・=・=

 【class 錬金術師】

 【level 18】

 【life point 300/300】

 【magic point 29900/30000】

 =・=・=・=・=・=・=


 お、おぅ……。俺のmagic point(以後MP)は膨大じゃね? それに比べてlife point(以後LP)のショボさよ……。

 と、とにかく、俺はMPバカということだけは分かった。


「解毒ポーションも全部高品質でした! 1本を白銅貨1枚と青銅貨2枚で買い取らせていただきます。100本で金貨1枚と銀貨2枚になります」


 薬師レシピで作った1本は普通品質で、錬金レシピのほうは全部高品質だった。普通品質1本と高品質1本は俺がもしもの時のために持っておく。

 また、卸値は通常品質だと青銅貨8枚(800G)なんだが、高品質は1.5倍の白銅貨1枚と青銅貨2枚(1200G)になる。これは鑑定眼が教えてくれたものと同じだ。

 何はともあれ、なかなかの儲けだぜ。



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