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第6話 調子乗り

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 第6話 調子乗り

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 Eランク薬師に登録してすぐに作ったポーションが普通品質で、その後錬金術で錬成したポーションが高品質だった。高品質ポーションを薬師ギルドに卸したら、Dランクへの昇格試験を受けていいときたもんだ。

 薬師の試験だから、普通の作成方法で試験を受けたほうがいいのかな? それでも普通品質を作る自信はある。よし、今回の試験だけはレシピ集にある普通の製法でいこう!

 町中の広場で、俺は噴水の縁に腰を下ろしてタバコに火を点けた。異国の景色を見ながら吸うタバコは最高だな。


「ふー、それにしても戦闘スキルがなくても、なんとかなりそうでよかったぜ」


 薬師のランクが上がれば、それだけ儲けが多くなるはずだ。錬金術を使えば、Eランクのポーションを錬成しているだけで、1時間で銀貨4枚以上が確定だ。ボロい商売だぜ。

 タバコを吸いながら普通製法のイメージトレーニングだ。俺は舐めプなどしない。蟻を踏みつぶすにも、全力でやる男だ。


 円形の広場には、露店が出て色々なものが売られている。果物もあれば、串焼きもあり、さらに反物まで売っている。

 チャロの店にも反物は置いてあったが、服を作るためのもので売り物ではないらしい。


「ふー。珍しい景色を見ながら吸うタバコは美味いぜ」


 ここで今日のポーション作りを振り返ってみる。一応、薬師の作り方を薬師レシピ、錬金術で錬成するほうを錬金レシピと呼ぶことにする。

 薬師レシピのほうと錬金レシピは基本的に同じ素材を使うが、薬師レシピでは道具や器具を使い、錬金レシピでは全てスキルが行う。その区別のためだ。

 薬師レシピは道具や器具を使い、錬金レシピは使わない。まあ、鍋のような受け皿は必要になるけどな。

 さらに、錬金術を行使しても、今のところ魔力やMPと思われるものが減った感覚はない。ポーションを100本近く錬成しても、疲労は感じなかった。よって、錬金レシピだと100本どころか200本でも高品質ポーションを錬成できる可能性がある。あくまでも可能性だが。





 さて、今日は朝から薬草採取をする。俺は相変わらず日向の椅子に泊まり、美味しい夕食と朝食で胃を満足させた。

 ベッドも丁度いい硬さで、睡眠の質はこの上なくよい。何よりも美人犬獣人姉妹がいるのがいい!

 町の外の草原には、薬草がたくさん生えている。ちょっと歩くだけで薬草に当たるくらいなのに、俺にはスマホマップがあるから最強だ。


 子供たちも薬草を採取しているので、あまり近場を採り尽くさないようにして、ちょっと遠くまで歩いた。俺はいいヤツなんだ。(ドヤ顔)


 スマホマップを見つつ、青丸と赤丸の位置関係を把握する。


「やっぱり赤色の丸はモンスターのようだな」


 草原なので結構遠くまで見渡せる。身をかがめながら、100メートルほど先を見つめると、イノシシっぽいモンスターがいた。

 鑑定眼を使ってみたが、モンスターの詳細は分からなかった。そういえば、鑑定眼の説明にアイテムと人間とあったな。モンスターは対象外のようだ。今のところ。


 とりあえず、赤丸がモンスターというのは分かった。だが、俺にイノシシを狩る手段はない。

 さて、帰るか。

 だが、その前にやっておくことがある。俺はリトルボアに尻を向けて、お尻ぺんぺんをした。


「へへへ。お前は俺のケツでも見てな! アハハハ!」


 リトルボアはまったくこちらに気づいていない。


「ふっ。勝ったな」


 何に勝ったかは俺自身不明だ。だが、気持ちは高揚している。


「よし、本当に帰るか!」


 意気揚々と歩き出す。

 が、何か殺気のような剣呑な空気を感じる。後ろのほうでガシッ、ガシッという音がした。振り返ってリトルボアを見たら、なんか見つめられている。その前足をかく仕草はなんだ?


「ヤバッ!?」


 俺は走った。え、熊に出会ったらゆっくりと後退するんだって? バカ野郎、あれはイノシシだ!


「お、落ちつけ。話せば分かり合えるはずだ! な、落ちつこうぜ、豚公!」

「ブモォォォッ!」

「うわぁぁぁっ!?」


 俺は走った! 必死で走った! 死ぬ気で走った!


「助けてくれぇぇぇっ!?」


 とにかく走った。


「ヒーフーハー」


 あ、あれ? あの豚野郎はどこだ?

 あいつ……意外と足は遅かったようだ。ハハハ。豚だから、まともに走れなかったようだな!


 遠く後方に見えるリトルボアに悪態をつく。

 その後、薬草を採取して町に入ったのが、昼すぎだった。市場で買った焼き串を食べ歩きながら薬師ギルドに入ると、ミニャンがいた。今日も素晴らしいお胸様だな。


「ようこそおいでくださいました、ケンヤ様」

「みゃいひょ(毎度)。ひゃうぎょうひふふぁいふぇりゅ(調合室空いてる)?」

「……えーっと」


 串焼きを食べながらっでは、やっぱり伝わらないか。ミニャンがキョトンとしているよ。可愛いな、畜生め。

 肉を飲み込んで、再び聞く。


「微小魔石の購入と、調合室は空いてるか?」


 お金をカウンターの上におく。今回は極小魔石を300個買った。


「A室をお使いください」

「あんがと」


 今日は2時間でポーションを200本作った。最後の30分で、薬師レシピで10本作って、試験の練習だ。

 薬師レシピのほうは半分が普通品質で半分が高品質だった。俺の薬師レシピの腕は確実に上がっている気がする。もちろん、錬金レシピのほうは安定の高品質だ。

 2時間もぶっ通しでポーション作りをしていたが、倦怠感も疲労感も大してない。俺は魔力やMPが多いのか、それとも錬金術はそれらを使わないのか。その内分かるかもと、期待しておくことにした。


「本日もありがとうございます」

「ども」


 代金を受け取り、町に繰り出した。



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