オタク秋葉原に行く
秋葉原は何というか、ごちゃごちゃしていた。
ポップ広告がずらりと並びコンカフェの客引きが等間隔で配置される。
そして何より人が多かった。
「帰りたい……」
改札を出てすぐに迷った。何も目的なく気になるからの精神で来たので本当に場所がわからなかった。
とりあえず何かオタクっぽい施設に入ってから帰ろう。
やってまいりました駿河屋。え?ラジ館?あそこは人多いしほらね?
館内を見渡して思う、めっちゃものある。それ以上の感想が出てこなかった。
語彙力がないのだろうか、それとも目的がないから感受性が薄くなったのだろうか、確かなことはわからないがなんかこう思ってたのと違う。
目についた本を購入してササっと退場。すまない今の私にはそれを受け止めるだけのポテンシャルがないのです。いうなれば舗装されていない悪路に裸足でかけていくようなそんな感じ。
グッバイアキバ、また来るよ。今度はもっと精神が成長してからくるよ。
オタク秋葉に敗北する。(完)
そんなわけで喧噪に殺されたまま帰路に就くのであった。
「絵を描くって私にもできるかな……」
部屋で一人そんなことをぼんやり考えていた。
フワフワしてる感覚だが何かを作れるというものは崇高な、もっと単純なすごいって感じがする。
表現とか創作とか言葉で表すときれいに聞こえるけどもっと純粋に何かをしてみたい。そんな感情がふつふつと奥底に湧き上がっていた。
「よし描いてみるか!私でも何かになれるような気がするし!」
ランナーズハイのような感覚だろうか、全能感というか今なら何でもできるという感じ。
ペンをとってその辺の紙にとりあえず何かを描いてみる。
数分後……
「……」
何とも言えない絵が完成した。マジで何も言えない。
描けると思った、でもなんか完成したのは特急呪物に等しい絵。
そうか、私は絵が描けないのか。練習をしないとかけるようにならないのか。そりゃそうだ初めから描けたらそれは天才というものだ。
「とりあえず明日から頑張るか!」
明日のことは明日の私が決める。とりあえず今日は絵を描いてみたい、その初期衝動を持てたことに感謝して寝よう。今はもうこの絵と向き合いたくない。死にたいもうまぢ無理ぃ~画伯だよこんなのぉ。
嫌な記憶は消去していいことだけを脳内に描いて寝よう。そうしよう。
翌日……私はきれいさっぱり絵を描きたいということを忘れて普通の日々を過ごし始めたのでした。
現実逃避最高!現実逃避最高!オマエも現実逃避最高と叫びなさい。そして無為で生産性のない虚無な日々を惰性で過ごすのだ!
~次回予告~
絵を描くこと。それは己の未熟と失敗を往復して歪ながらも前に進む狂気の行為。
己の理想と離れてゆく絵に苦悩し、思い通りの線が引けず絶望する。
描くこととは、表現とは、直視できない現実に身を焼かれ周囲の絵の精巧さに劣等感を植え付けられる。上手いことが最低条件、それに満たない絵は便所の落書きにも満たない。
自身の実力を受け入れられず現実を拒絶し成長を遠ざける。
1%の成功の裏には99%の失敗があることを理解していても受け入れることができない。不完全で傲慢な生き物。さぁ私よ醜さを愛せ、未熟を成長と捉えよ。
次回「究極の完璧とは何もしない事」お楽しみに!
描いた絵は私が描いたものです。
ここから成長するか挫折するかは私次第