【短編】甘々な休日
なんか、ブクマが連載よりも多いんですが?(ただいま作者混乱中)
3月16日 ちょっと本文変更しました。
まずはじめに、私の自己紹介をするわね。
私はアールゲッタ伯爵の一人娘の、アールゲッタ・ラージよ。「ラー」と呼ばれることが多いわ。
今は社会のことなどを知るため、上級貴族専用の学園、エクルゼリ学園に二年間通っているわ。
その学園で主に男性から、「女神様」と呼ばれているの。
なぜって?そんなの私が聞きたいくらいよ。
まぁそれは置いといて、最近嬉しいことがあったのよ!
それは五日前のこと…
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「ラー。これやっとけよ。」
そう言って分厚い書類の束を置いていったのは、ナルベルド・アランという、ナルベルド伯爵家の三男よ。
アランは、私の恋人…つまりは私の婚約者なの。
私はアランを独り占めしたいくらい、心から愛しているのだけれど…アラン、最近はあまり喋りかけてくれなくなってしまって…。
幼い頃はずっとくっついていたのに…今では唯一会える学園内さえ、仕事のことしか話しかけてこないの。
もう、アランは私のこと好きじゃないのかしら?
「ラー。今度の土曜日って空いているか?」
仕事、そんなに多いのかしら。
アランが少しでも楽になるなら、嫌いな仕事でも引き受けるわ。
「えぇ。予定は空いていますわ。あなたの家に行けば良いんですの?」
あら。アランの首が取れてしまいそうなほどに、超高速で頷きだしたわ。大丈夫かしら?
…走っていってしまったわ。アランの背中がもうパンクズほどになってしまったわ。あんなに足が速いなんて…。知らなかったわ。
土曜日にアレンの家…忘れそうだわ。後で、メイドに頼んでおきましょう。
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ガタガタ
今、馬車に乗ってアランの屋敷に向かっているわ。
学園に入る年齢になると、自分の屋敷をプレゼントしてもらって、そこに住むの。
もちろん、それは王族や、上級貴族だけよ。
私の屋敷と、アランの屋敷は一応歩いて行ける距離だけれど、貴族が歩くのははしたないとされているのよ。
アランの屋敷が見えてきたわ。
屋敷は黒がメインで、所々銀色に光っている部分があるのよ。
男っぽくてすっごくかっこいいわ。
門の前で馬車から降りて、あとは自分で歩いていくの。
「ラー、いらっしゃい。今日は俺の部屋だから、付いてきて。」
アランの部屋?いつもは仕事場に案内されるのだけれど…。
戸惑いながらも付いていくと、部屋に入る直前に彼の後ろに付いていた、護衛を下がらせた。
重要な話でもするのかしら?
…はっ!私、婚約破棄されてしまうのかもしれないわ。
「ラー。」
ビクッ
「座っていいよ。」
はぁ…。びっくりしたわ。婚約破棄されるって思うと、緊張するわね。
「…大好き。」
…ん?私の聞き間違いでなければ、だ、だ、大好き…と聞こえたのだけれど…。
ア、アラン?ジリジリ近づいて来ているわね?
ぎゅっ
きゃっ!?
えっ!アラン、私のこと嫌いになったんじゃなかったの?
「ずっとこうしたかったんだ。他の奴らに見られたくなかったんだ。だから、なかなか気持ちを言ったりすることができなかったんだ。本当にすまなかった。」
み、耳元でそんなこと言われたらっ!
…でも、ずっとアランは私のことを好きでいてくれたのよね?
はぁー。良かったわ。
「私もアランのことが大好きですわよ。」
ふふっ!アラン、赤くなって固まってしまっているわね。
実は…最近ずっと、アランのことを名前で呼んでなかったのよ。
ちゅっ
これからはもう少しだけ勇気を出してくれると嬉しいわ。
こうして私の休日は、チョコレートよりも甘々で、充実した休日になったのであった。
アラン視点も欲しい?