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我の復讐劇  作者: スモークされたサーモン
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第一幕 物語が始まるの。最初の説明が長いのはお約束なのよ。

 


 それは神託から始まったの。


 

 この世界に存在する神様の神託が世界に降されたの。それによると世界は『終末の獣』によって逃れようのない滅びを迎えるって。


 この神託によって世界中が大騒ぎに……なることは実は無かったの。神託が降されても、わりと平和な日常は続いていたの。


 神託には続きがあって『選ばれた者たちが終末の獣を何とかして何とかする』となっていたの。だからこそ世界は混乱しなかったの。神様のお告げは適当なのよ。ファジーで曖昧模糊なの。


 で、そんなふんわりとした神託によって十人の勇者達が集められることになったの。とりあえず強制なの。権力と脅しとなんやかんやで集められたの。権力って怖いのよ。


 この世界は普通に魔法が存在し、魔物が野山をテコテコしているファンタジーなワールドなの。世は戦国時代。群雄割拠で力こそ正義! みたいな野蛮な時代なの。人の人権なんてゴミなの。でもそれが常識な世界なのよ。ヒャッハーとはちょっと違うの。


 科学技術的な物もあるけど、むしろ魔女や魔法使いの世界なの。和風じゃなくて洋風なの。でも洋風なのにふんどしはあるのよ? そこは謎なの。ちゃんとパンツもあるのよ? そこも謎なのよ。


 この世界は近世に届くか届かない辺りの魔法文明なの。多分どっかで科学と融合して、とんでもない事になるの。


 来たるべき滅びを回避できれば、ね。


 これはそんな世界の物語なの。魔法や神様が普通にいる世界。そんな世界で起きた復讐の物語なの。


 でも復讐というよりは嫌がらせとかイタズラって表現するのが相応しい感じなのよ。復讐者になるには主人公が善人すぎたの。邪気がまるで足りないの。つまらないの。国をまるごと焦土にするとか、強力な毒を撒いて大陸を死で満たすとか……やんないの。ショボい復讐の物語なの。



 ……はふぅ。なんか疲れてきたの。でもまだ説明する事があるの。だからまだまだイントロをドーンなのよ? 長いのは最初のお約束なの。我慢するのよ。しなくても良いけど。



 この世界には神様が普通にいるの。棒を投げれば神様に突き刺さる……事は滅多に無いけどそれなりにいるの。ゴッドは一般的なのよ。そして神様は基本的にダメ人間なの。神様なのにダメ人間なの。これは大切なことなの。


 この世界には神様っぽい存在が沢山いて、しかも大概は適当な性格をしてるの。残念とも言うの。この世界で一番大きな宗教組織『聖教会』が崇めてる光の神様なんてすごいのよ? 石像はごろ寝しながらポテチをかじってる格好なの。一応女神なのよ? でも食べながら尻を掻いてるの。美人の女神なのよ? 尻掻いてるけども。


 神様といえど、この世界では好き勝手に振る舞える訳ではないの。ポテチを食いながら尻掻いてるけども。


 神様は神様で人間に大きく関われないの。それがゴッドルールなの。でもポテチを献上させるのはセーフなのよ? のりしおが好きだけど季節限定のポテチも好きなの。地域限定とかも大好きなのよ。でもでもポテチ大好き尻掻き女神はポテチの神様じゃないの。『光』の女神様なの。ピカピカなの。電気ネズミじゃないのよ? どうでもいいけど。


 神様は神様で人間を利用しているの。ポテチ献上装置なの。いえ、他の神様が求めるのは他のアイテムとか信仰なの。例として挙げただけなの。みんながみんなポテチが好きなわけでもないの。みんな大好きだけども。


 人間も人間で神様を利用しているの。箔付けなの。権威付けでもあるの。


 神様と人間は利用し、利用し合う関係なの。人と神様はそんな関係を築いているの。それがこの世界の常識なの。決して一方的な関係ではないの。


 だから『終末の獣』が世界を滅ぼすぞーっていう神託は……ぶっちゃけ真剣には捉えられてなかったの。大半の人にとってはね。


『ああ、また神様がなんかやったのか』って人間のエロい人達は思ったの。神様は適当なの。人間から信用されないくらいには適当だったの。


 でも神託で『集めろー!』って出された神様の人選リストは大半の人間の予想を越えてガチだったの。ここで人間のエロい人達……う? 


 エロい……偉いなの。偉い人達は焦り始めたの。


 ……これ、本気でヤバくね? って。


 そして物語は綴られいくの。



 ……はー疲れた。お饅頭食べたーい。栗の入ったどら焼も食べたいの。お茶はちょっと苦めで。



 あ、リストがこれなの。登場人物紹介なの。ちゃんと覚えておくの。多分みんな出るから。

 

 


 大国モンドール、白銀の勇者、グランド


 聖王国、慈愛の聖女、ペレノール


 世界最強、太古の魔女、フォンダンテ


 オーク最強の戦士、ザッハーク


 伊達男、千里眼の射手、ブリニョルフ


 盗賊ギルドより派遣された影潜み、ドラッサ


 御者兼荷物持ち、ジョン


 ソルニ教から清烈の神官、マッケンジー


 エルフ族より銀閃の踊り子、ペチカ


 ペチカの双子の妹、占星巫女、パニラ


 そして最後、復讐に燃える闇の魔法使いの『闇』


 最後のこいつが主人公なのよ? ちゃんと覚えておくのよ? 




 この11人が神託の予言により世界救済の為に集められ終末の獣討伐の旅に出ることになったの。


 若干変なのが混じってるけど、そんなもんなのよ。


 世間に混乱を与えないよう内密に集められて討伐に向かった10人は半年後帰還するの。獣を討伐し世界を救った英雄として10人は誉め称えられることになるの。


 一人……存在さえ消された人物を除いてね。


 あたかも最初から英雄は10人だった。そんな感じで神託は成就された……ということにされたの。


 終末の獣ごと封印された一人を無かった事にして。


 そして英雄達の凱旋から更に半年が経過したの。


 で、その存在を消されてしまった『闇』さんは今、どうなっているかというと……




 ………………お前らマジ許さん。


 半年も終末の獣と一緒に暮らしてた我は怒髪天である。腹枕も出来るぐらい仲良しになった我の苦悩をどうしてくれる。


 いつ来るかドキドキしながら待っていた我を居なかったことにしたお前ら、全員地獄に落としてやる。

 


「ではクラウザーよ」


 我が命を懸けて封印せし混沌を統べる終末の獣。常闇の結界に侍りしその偉大なる姿、まさに世界を滅ぼすに足る存在。


「わふ」 


「……もふもふタイムでしゅよ~」


「へっへっへっ!」


 ああ、この柔らかな毛触り……相も変わらず極上である。特に腹部の毛はフワフワのぬくぬくでいつまでも我を魅了する。これは生けるもの全てを堕落へと導く……はっ!


「いかん、クラウザーよ。我は復讐のためにしばしここを離れねばならん」


「わふん!」


「くっ! 仕方無い……復讐は明日にしよう」


 そして我は終末の獣、我の名付けしクラウザーとの幾度と知れぬ戦いにまた挑む。この封印の中で共に過ごすこと早半年。時の流れすら曖昧な洞窟の中、我は待ち続けた。


 いずれ封印は解かれあやつらが助けに来るだろうと。それまで終末の獣をここに繋ぎ止めるのが我の役割だと。


「……わふ?」


「よーしよし、よーしよし。良い子でしゅね~」


「わっふ!」


 我は待っていたのだ。クラウザーもふもふー! もふもふー! 


「もふもふでしゅね~。ここでしゅか? ここなんでしゅか? クラウザーは可愛いでしゅね~」


 ごろりと横たわり腹を見せる終末の獣……我はまたしてもこの混沌の獣を倒すことに成功した。おなかもふもふー!


「……はふ~ん」


 くっ、なんて甘美なる誘惑であるのか。おっと、そんなことよりとにかく腹を撫でねば。クラウザーの懇願の瞳に我は逆らえぬからな。


 我がこのクラウザーと虚無の空間に封印されたのはもう半年も前。『ここは我に任せて一度立て直せ!』なんて言ったのが始まりであったな。


 あいつら、我を見捨てて本気で逃げた上にここに繋がる鍾乳洞を全部崩落させて行きやがった。我、マジ、プンプン。


 すぐに戻って来ると思いきや、もう半年。流石の我もおかしいと思った。


 影を飛ばしてみたら、我……居なかったことにされてた。


 なんか……討伐は成功してる、みたいなことになってた。


 クラウザーは、ばっちり元気だと言うのに。


 ……あいつら絶対に許さぬ。


 英雄視されてちやほやされてる奴等に復讐を。その性根に見合う場所……地獄の底まで、いやさ! 


 不幸のどん底まで一人残らず落としてやる。


「わふ?」


「クラウザーしゃんは違うんでしゅよ~。ほ~らもふもふー」


 必ずこの手で奴等に復讐を……とても口には出来ないぐらい、めったんめったんのギッタンギッタンにしてくれるわ! 


 明日からな!




 ……という感じで復讐に燃えてたの。多分萌えてるのは腹毛なのよ。終末の獣はおっきなワンワンなのよ。いいなー。


 終末の獣は相対する存在によってその性質を変えてしまうの。もふもふのワンワンの姿をしているのは『闇』の頭の中がもふもふだからなの。頭の中がお花畑はよく聞くけど、頭の中にもふもふが詰まってるとか意味分かんないのよ?


 もうこの時点で復讐にならないと思うの。でも復讐はこれからなの。


 これでイントロは終わりなの。次からが本編なのよ。まぁ楽しんでいくといいのよ。

 

 一人の男が綴る壮絶な復讐劇をね。



 今回は最終回に後書きを入れてます。なので次話にゴーゴー。

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