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国賊  作者: 火村虎太郎
22/22

最終話 殺してもいいか?


「大刀さん!どうにか!お願いします!」かすみ

「・・・・・・・・」大刀


田舎の人気のない山奥で何人かが穴を掘る作業。

この意味は何となく分かっている・・


そしてここには、かすみ、大刀と・・


「・・・・ここに多くの夢見た若者が消えていった・・」大刀

「だから?どういう意味だ?」香月


人気のない山の中に連れてこられた香月

勝負は終わった・・香月の完敗。

日本をかき乱して、かき乱して・・

そして・・


「お前か?」大刀


広島をも揺さぶったのは?


「ふふ・・」香月


『花元』の事か?『ジュリナ』の事か?


広島に居た有望なる二人の若者


「俺かな」香月

「やっと繋がったのぅ」大刀


お前が廣島をかき乱しとったんじゃ・・


銭は狂わせるのぅ・・

それも億っていう大金は・・


「・・・掘り終えました」

「おう」大刀


もうどう考えても・・

殺されて・・ここに埋められて・・


「大刀さん!どうにか!黒岩にもうまく伝えますので!」かすみ


命だけは!この香月さんの命だけは!


「黒岩にもねぇ・・」大刀


まるで女帝きどり・・

確かにいい仕事はした。香月との闘いもそうだが、

旧都のジジイ共の押さえつけにも独断で。

さらに黒岩にすり寄ろうとする東京ヤクザの管理まで・・


「忖度かぁ・・」大刀


同じ世代じゃが、すばらしい人じゃわ。

表の世界であそこまで大きくなり、

日本を思い、自分のすべてを捨てて・・・


「多分、一応、言付けじゃ・・」大刀


黒岩さんからの・・

いつしか・・寂しそうに語ったんじゃ・・


「・・何だ?」香月


もうどうせこの状況はひっくり返せない。

大体あの勝負に命を懸けて負けたのだ覚悟は出来てる。


「・・・・・・・・・・」大刀

「早く言えよ」香月


忖度・・・

他人の気持をおしはかり、

指示無くして、決断する・・


「・・・誰よりも・・・」大刀

「誰よりも?」香月

「止めてっ!」かすみ


大刀が拳銃を取り出し・・


あいつはいつか大刀さんまで超えていくかもしれない・・

旧都の裏の住民の旗頭となって・・

それほどのカリスマ性、華、実績、行動力・・

先細っていく旧都の悪党共の玉砕覚悟の一揆は、

いつしか新都と旧都で、

多くの死人が出るような対立が起こりうるかもしれない・・

出会わなければ良かったと思う時もあった。

そしていつしか離れなければとも。


でも・・出来ない・・俺には・・

俺は、あいつの事を・・


誰よりも・・


「愛してる・・・じゃ」大刀


「えっ!?」香月

「・・・・・・っ」かすみ


誰よりも・・愛してるんだ・・


「パン!!」

「・・・・・・ぁ・・」かすみ


ど・・・


「どういう事だぁ!!かすみぃ!かすみぃ!!」香月


撃たれたのは、かすみ・・・


「・・・埋めろ」大刀

「はいっ!」


配下に指示を出す大刀


忖度・・・

勇気がいる決断じゃったわ・・




「ブルン・・」


少し離れた所に止まっていた車が一台走り出し・・


「黒岩か!?」香月

「・・・・・違うだろ。」大刀


違うわけないだろ!黒岩だった!きっと!なんたる・・

かすみはお前の愛人だろうが!


かすみは・・かすみは・・


「誰よりもお前の事愛していたぞぉ!」」香月


くそが!くそ!くそぉ!

どうして・・


しばらくして二名島の定例記者会見で・・


「総理!国のキャッシュフローが・・」記者


かなり良くなっているとの発表ですが・・


「ええ・・これも・・」田岸


黒岩くん主導で行っている新しい改革すべてがうまくいき、

さらに、国の税収運用を任せているチームも・・


「高いパフォーマンスを維持出来てますので」田岸


また何かとんでもない男を連れてきたな黒岩は・・

あの男に任せて国の資産がどんどん増え続けてるな・・。


「元パソック会長の黒岩さんにお伺いしたいのですが!」記者


そう・・ここには居る。

守ったのは二名島・・


「あー・・都市機構会長の・・黒岩でお願いします」黒岩

「あはははは。すいません。」


和やかな会見。


「何かご結婚なさるとかで?」記者

「はい。実はすでに・・」黒岩


入籍を済ませ・・


「小さいながらも仲のいい者だけで・・」黒岩


披露宴も行う予定でございます。


昨今の世間を騒がせた事への配慮から、

大々的に大きなものは遠慮し、仲のいい者だけで小さなものを・・


だがこの披露宴には誰もが参加したいものだ。

ここに集まるのは竹永をはじめ、各界の大物達が集まるはず。

人数を少なくするとなると超一流のトップの人間だけで・・


「・・・私には招待状届くかね?」田岸

「あ、ギリ当選上ですね」黒岩

「はははは。総理大臣は一流ですよ!」記者


そして、この会見を見てる者が・・


「・・2流か3流が丁度いいんですよ・・女も。」大刀

「ディスってます?」佐藤


いや、完全にディスられたな・・


「はいっ大刀さんシード降格です。披露宴来れるか微妙でーす。」佐藤

「まぁ暴力団ですし。無理ですよ。」大刀


あ、自分で言った・・

でも・・


「お祝いありがとうございます」佐藤

「ええ。さすがに表立っては無理なので」大刀


黒岩のいない時に結婚祝いを持参した大刀。

そしてまた佐藤が恐る恐る・・


「・・・・人とか殺してるんでしょ?」佐藤

「あはは。しませんよっそんな事。」大刀


でも・・


「誰よりも悲しい思いはしてますよ・・」大刀


トップに立つ男は・・

私も・・黒岩さんも・・


黒岩さんは、守るものを守った・・


二名島・・日本・・そして・・


「アナタを。」大刀

「くーっ。よく分かんないけど黒岩かっこいい!」佐藤


超一流がずっと2番でいいなんて思わない・・

しかも実行できる力、度胸、コネがある・・

困るんだ・・

かすみという旗頭で旧都の悪党共、ヤクザに出てきてもらうと・・

ウチと旧都で、どちらも黒岩という錦を掲げるおかしなことになる。

当然この娘も危険に巻き込まれる事になるだろう・・


黒岩さんは日本の為に、

かすみという旧都の悪党を切り、ウチを取った。


「帰ります。」大刀

「はーい。本当にありがとうございました。」佐藤


いつしか黒岩さんと語り合った・・


『お互い敬語ですが同い年って知ってました?』

『あはは。それでもタメ口なんて使えませんよ』


表と裏では価値が違います・・

でも表と裏・・真逆の世界ですが、共に日本の為に・・


「あっ!先生こんにちは。」大刀


帰り際に黒岩の玄関先で大きな紙袋を持った竹永先生と出会い・・


「邪魔じゃチンピラ。どくのじゃ!」竹永

「はは・・では失礼いたしますっ。」大刀


はは。先生から見ればまだまだ俺もチンピラか。


「結婚祝いじゃ!300億じゃ!」竹永

「うわぁ!現金で持ってこないでください!」佐藤


あはは。チンピラだ。そりゃ先生から見れば。

現金で300億ってすごいな。

こないだ新築祝いだって100億貰ったって言ってたな。

それとこの・・


「ブワッ・・」

「カコーーーン」


仮想現実のししおどしって何じゃ?

メタバースってなんじゃ?NTF付きのブロックチェーンが何たらとか・・

急に現れて、何かカラーもちょいちょい変わるのぅ・・

どうやって投影しとんのじゃろう?

変な贈り物じゃのう・・高いんじゃろうけど・・


「なぜワシが当落線上なのじゃ!?」

「先生来ると人が多くなるんですよ!」


あはは。外まで声聞こえとるぞ。


「ブルン・・」


ヤクザは退散っ退散っ。もうお役御免じゃ。


おっ!・・


「スッ・・」

「スッ・・」


たまたま帰宅途中の黒岩さんと車ですれ違う。

お互いが気づくも目線も合わせず笑顔で軽く手を挙げるだけ。


もう会う事もないじゃろ・・



「ふふ・・」大刀


「ふふ・・」黒岩



きっと・・完結だ・・

やっと・・



「ただいまぁ」黒岩

「おかえりぃ」佐藤

「来とるぞ!こわっぱめが」竹永



俺もいつかあんな幸せな家庭を持ちたいのぅ・・


もう会う事はないし、忘れずに覚えとくわ。

最後のあの笑顔を。



ふふ・・じゃあヤクザは闇に消えるで。

黒岩?一度も会った事もないなぁ・・



じゃあの・・・国賊・・・・友よ・・。





国賊 完

ご愛読ありがとうございました

小説『廣島』のエピローグも織り交ぜて書かせて頂きました。他の小説の登場人物も登場してますのは遊び心で、時代背景は『廣島』と『国賊』だけが同じ物です。

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