攻防戦
「可能なのか!?」黒岩
テスラがトヨタを買い占める事は?
経営権を取るには50%が必要だが実質20%~30%を所有していれば、
実質的に会社を支配することは可能だ・・
「外国株がすでに20%です」
「・・・・・」黒岩
外国籍の者が保有しているトヨタ株・・
いわゆるアメリカの大手銀行や証券会社。
「すでに15から18%は。もしかしたら全部すでに・・」
イーロンマスクがこれを買い占めてる?
まぁ20%は届かないとしてもアメリカで買えるすべてか・・
「後は!?」黒岩
もし、デンソーなどの子会社ごと買われたら・・
「・・・20%には届きます」
いや、無理だ・・子会社ごと買い占めるなど。
上場してる一流の企業だぞ!
「デンソーの時価総額は!?」黒岩
「およそ6兆です!」
くっ!全然手の届く位置じゃないか!イーロンからすれば!
そして俺が保有してるのが5%・・
どちらも落とせない・・
「待ちますか?」
株価が落ち着くのを・・まだ返済には数日ある。
だがもし・・このまま下落を続けたら・・
だがもし・・ここが底値で反転上昇していけば・・・
たら・・れば・・
たら・・れば・・
守るべきは何か・・・
守るべきは・・
躊躇えば躊躇うほど資金は減っていく・・
「・・・・シンガポールっ」黒岩
「はいっ」
繋がったままの電話。
今はシンガポールが黒岩の総本山と言っていいだろう。
シンガポールに指示を出す黒岩
「売れ。」黒岩
「・・・・はい。」
この大暴落はしばらく世間を騒がせ・・
「え~本日を持ちまして・・」黒岩
記者会見を行う黒岩。
世間を騒がした責任・・
「この日本経済の失速の責任をどう取るおつもりですか!?」
「死人が出てんだぞ!」
「パソック辞めたくらいで済むと思ってるのか!」
飛び交う怒号。
先の暴落に巻き込まれたパソック株も大暴落。
関連会社や株主の者に相次ぐ自殺者。
「パリーン!」
「黒岩ぁ早く出ていけ!」
「国賊!出ていけ!」
「もうぅ・・・ガラスやり替えたばっかなのに・・」佐藤
会社に投げられた石で散らばるガラス。
誰かが荒らしたような乱雑な部屋を一人片づける佐藤
社長のマンションも損をした投資家とかに、
嫌がらせでめちゃくちゃにされてるみたいだし・・
「はぁ・・・」佐藤
どうしてこんな事になっちゃったんだろ・・
しばらく社長室にも来てない黒岩
「ガチャ」
「あっ!社長!・・って・・ああ・・」佐藤
「うん・・」黒岩
やっと黒岩が誰かと社長室にやって来て
「さっさと荷物まとめて出て行ってくれるかね」新社長
「・・・・・ええ」黒岩
「・・・ご苦労様です・・」佐藤
もう黒岩が社長ではないのだ・・
「はは・・・」黒岩
何か持っていく物あるかなっと思って寄ったけど・・
何もないか・・
少し懐かしそうに部屋を見渡し・・
「じゃあね・・」黒岩
「あるよ!」佐藤
まだ残ってる!何もかも失ったって言ってるけど!
「私付いて行きます!」佐藤
私もパソック辞めて・・
しばらく行く当てもなく二人で歩いて・・
「くそっ!」黒岩
ネクタイを投げシャツをはだけさせ路上に座りこむ黒岩
「すべて失った!この国を思って国の借金を返そうと!」黒岩
デフォルトを回避するために売った、使ったのは、
自分のパソック株や個人資産・・
守ったのはトヨタと二名島、日本。
なのに世間はバカばかり・・
国賊、国賊と言われいつしかの竹永のように会社も去っていくことに。
もう手元には小銭しか残ってない・・
「・・ウチおいでよ」佐藤
帰る所もないんでしょ?
少しくらいなら私も貯金あるし・・
「もうその最後の小銭でパーっとご飯でも行こう!」佐藤
いくら残ってるの?牛丼でも全然いいよ!
元気出そう!後の事は気にしなくていいから!
「・・・・・24億・・ほんとクソだわ・・絶望だわ・・」黒岩
「おんっ!?」佐藤
えっ?・・・・・
てか24億って・・一生贅沢して遊んで暮らせるんですけど・・
マジ何言ってんのこのクソバカ・・
24億持って早期退職ならめちゃんこ勝ち組だわ・・
「はぁ?」佐藤
「24億・・」黒岩
いや、聞いた・・・
えっと・・24億ってゴミだったっけ?
「・・ふふふ・・こんな所におったか!こわっぱめが」
えっ!もしや!
「1000億や2000億ならいつでも・・」竹永
「黙れ要らない!帰れタコ!」佐藤
急な竹永登場も一蹴する佐藤
「ええ・・」竹永
唯一の竹永親衛隊と思ってたのにぃ・・
お金出すから、もう一勝負しなよぅ・・
何か大変だったみたいね・・
「4000!4000億までならすぐ出す!」竹永
「聞くなよ」佐藤
「あ・・はい・・」黒岩
お願い!お金余ってるの!使わさせてよぉ!
「もういいの!帰れ!金持ち!」佐藤
「はぁ・・金持ちですみませんでしたぁ・・」竹永
こんな大事な時に、
ショップの紙袋両手一杯抱えて現れやがって・・
「よしっ行こう!」佐藤
もういいじゃん田舎でのんびりとさ・・
人がたまには遊びにきたりしてさ・・
「・・ワシに会いに来るとはまだワシの力が必要かね?」黒岩
「そうそう!あはは」佐藤
あはは大御所黒岩先生!そんなのんびりな生活をさ
「いや・・待てよ・・竹永先生が死んだら・・」黒岩
「遺産入るの?」佐藤
ええ・・30兆・・忘れてた・・
そっか・・あはは・・じゃあしばらく休憩でいいか・・
しばらくゆっくり・・佐藤と二人で・・
だが最後の仕事がある・・
それを見届ける為に・・
「ちょっと廣島に行ってくる・・」黒岩




