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1日1回ガチャ無料!  作者: 相舞藻子
サフラ拒絶領域
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芳しき出会い





「さぁ、諸君。そろそろ海が見えてくるぞ。」


「何ですか? その言い方は。」



 フェンリルに乗って、帝都を目指す3人は。

 海にほど近い場所へと近づいていた。



「ふっふっふ。わたしは知っているぞ。お前たち2人が、今まで一度も海を見たことが無いことを!」


「まぁ、確かにそれは否定しませんが。」


 ソルティアは花の都から出たことがなく。

 キララも同様に、海とは無縁の生活を送ってきた。


「ミレイちゃんは、海を見たことがあるの?」



「そりゃもちろん。なにせわたしは、立派な社会人だったし――」



 そう、言いながら。

 ミレイは何気なく、自らの記憶を検索し。海に関する思い出を引っ張り出そうとした。


 それほど珍しいものではない。

 なにせ海である。

 日本人というか、現代人として生きていれば、当然の如く知っている存在である。


 海がどんなものなのか、知識はいくらでもあるし。

 何なら、ゲームでもアニメでも、映画でも、海なんて腐るほど見てきたはず。


 なのだが。



(……あれ? わたしって、海行ったことあったっけ?)


 楽しい思い出フォルダには、記憶が見当たらなかった。


(いやいや、流石に行った事くらいあるだろ。20年も生きてんだし。)


 しかし、どれだけ記憶を遡っても、海に行った記憶が思い出せない。

 精々、近所の川が関の山である。


「……もしかして。ミレイさんも海、行ったこと無いんですか?」


 ソルティアは思った。

 もしかしてこの人は、自分も海に行ったことがないくせに、あれだけの大口を叩いていたのかと。


「いやいやいや、流石にあるって!」


 そして事実。

 ミレイは生まれてから一度も、海へ行ったことが無かった。







「あっ、見えた!」


「おおー!!」


 3人の眼前に現れたのは、彼方まで広がる大海の姿。

 ただただ大きくて、青くて。

 それでいて、どこまでも世界が続いていくような。


 彼女たちには生まれて初めての光景であり。


 知識として知っていたミレイはともかくとして。


 キララとソルティアの2人は、そのとてつもない衝撃に、言葉を失っていた。



「……しゅごい。」


「ええ、これは。想像以上です。」



 これからどうしようか。

 町はどんな所だろう。

 そんな話は、頭から完全に抜け落ちて。


 心は完全に、海に奪われていた。



「ふっふっふ。」


 ショックの少なかったミレイは、何故か勝ち誇った表情をしていた。





「ちょっと、遊んでいこっか。」


 フェンリルから下りて。


 3人は砂浜を目指す。



「わーい!!」


 駆けていくキララを筆頭に。


 ミレイとソルティアも。胸を躍らせながら、海へと向かっていった。





「――うぐっ。」


「くっ、くちゃい。」


 意気揚々と、海へと向かったミレイたちであったが。


「……これは、鼻がもげますね。」


 3人揃って、砂浜で立ち尽くし。

 ”恐ろしい現実”と直面していた。



「海って、こんなに臭いのか!?」



 ミレイの心の叫びが響き渡る。



 浜辺には、とてつもない”悪臭”が漂っていた。


 その威力は、もはや言葉では表せず。

 息を吸うだけで、嫌な汗が流れ。

 体の震えなどの拒絶反応が起きる。



(……これは、人間が嗅いで大丈夫な臭いなのか?)


 ミレイは明確に、吐き気を催していた。



「こんな場所で泳ごうだなんて。とても正気とは思えません。」


 ソルティアは鼻を摘んで。

 完全に、海を拒絶していた。



「いやいや、何でこんなに臭いんだ? 世の人間たちは、こんな場所で遊ぶのか?」


 あまりの激臭に、意識を朦朧とさせながら。

 ミレイは周囲を見渡した。



 すると、何かを発見する。



「――な、何だあれ?」



 視線の先には。



 浜辺に打ち上げられた、”巨大な何かの残骸”が存在した。



「あれが、臭いの元凶?」


 生理的に、近づいてはダメな気がするものの。


 湧き上がる好奇心に誘われて、ミレイたちは巨大な何かへと近づいていく。





 それは、巨大なタコのような怪物だった。


 魔獣なのか、それとも単純にデカいだけなのか。

 すでに絶命しているため、その生態は計り知れない。


 ただ、おびただしい数の傷を負っており、何者かに殺されたのは明らかであった。



 その巨大な亡骸を前にして。



「――おえぇ。」


 耐えきれず。ミレイは思いっきりえずいた。


 その隣りでは。

 ソルティアが無言で、鼻どころか口すらも抑えている。


 それほどまでに、臭いは凄まじく。

 涙すら溢れようとしていた。



 だが、ただ1人。



「すっごい! こんな臭い初めて!」


 キララだけが。

 異様にテンションを上げて、興奮をあらわにしていた。


「何でこんなに臭いの!?」


 そう言いつつも、キララの表情には笑顔があり。

 フラフラと、引き寄せられるように。死骸の方へと近づいていく。



「うわ。」


 その行動には、流石のミレイもドン引きであった。



「……これは、魔獣でしょうか。」


「かなぁ。何にせよ、こんな化け物がいるとか、海怖すぎ。」



 地上で、巨大な魔獣と出くわすならともかくとして。

 海の底から、こんな化け物に狙われるなど。

 もはや恐怖でしかない。



「まぁ、とは言え。”それを殺すような存在”も、同様にいるという事ですね。」


 臭いを完全にシャットアウトしつつ。

 ソルティアは目の前の死骸を分析する。



 そんな2人たちとは違い。


 ふらふら〜と、引き寄せられるように。

 キララは死骸の、直ぐ側まで近寄っていく。



「彼女、”頭がヤられてる”んじゃないですか?」


「……連れ戻してくる。」



 この臭いの中では、本当に生命に支障が出かねないので。

 キララを連れ戻すため、ミレイも死骸の方へと向かった。







「おい、キララ。もう行くぞ!」


 ミレイが声をかけるも。

 キララはそれに反応せず。


 何故か、怪物の上の方を見つめていた。



「ちょっと、ホントに大丈夫!?」


 この臭いで、頭がヤられてしまったのかと危惧し。

 ミレイは心配を口にする。


 だが、キララはいたって正常で。


 食い入るように、怪物の死骸を見つめていた。



「――ねぇ、ミレイちゃん。あそこ見て。」


「へ?」



 キララが指を差す方向に目を向けると。

 巨大なタコ足の上に、ぐったりと人影らしきものが横たわっていた。


 というよりも、見るからに”人間の女”である。



「……マジか。」



 思わぬ発見物と、なお強烈な臭いに。

 ミレイの思考は停止する。



「あの人、生きてるのかな?」


 キララは純粋に、女性の安否を気にしていた。



「あ、あぁ。」


 ”激臭”に加え、”べちゃべちゃ粘液”にまみれた怪物の死骸。


 その上に横たわる女性も。まぁ、べちゃべちゃであろう。

 そんな事を想像しつつ。



「と、とりあえず、助けるか。」


「うん。」



 悪臭と、べちゃべちゃにまみれることを覚悟し。

 ミレイは鋼の意志を持って、女性を救助する道を選んだ。



 後にミレイは。

 この時の感覚を、”トイレに全身で突っ込む”ようだったと語る。







 全身を、粘液まみれにして。

 人としての”大切な何か”を失いつつも。


 ミレイとキララは、二人がかりで女性を怪物から引き離した。


 地面に横たわる女性は。

 金髪に”和服”と、今まで見たことの無い格好をしており。


 何よりも特徴的なのは、頭に生えた”猫のような耳”と、お尻辺りから生えた”尻尾”の存在だった。



「むむ。」



 ミレイは冷静に、女性の胸部に注目する。


 今までに見たことの無い。

 ミレイでは到底太刀打ちできないほど、規格外の武装を搭載していた。



 しかし、自分は争う土俵が違うのだと。

 ミレイはそう納得し、深く目を閉じる。



 そんな、相棒の葛藤などつゆ知らず。


 キララは女性の胸に耳をくっつけて。

 しっかりと鼓動する、彼女の心音を感じ取る。



「良かった。生きてる。」


 その事実だけで。

 キララは胸が温かくなり、何よりも幸運であると実感した。



 そんな、彼女たちの元へ。


 両手で口と鼻を塞ぎ。

 完全に臭いを遮断した、ソルティアが近づいてくる。



「人間ですか?」


 余程、耐え難いのだろう。

 その身を犠牲にした2人とは違い、ソルティアは一定以上近寄らない。



「うん、そうだと思う。なんか、耳とか尻尾が付いてるけど。」


 キララは見たままを伝えた。



「……まぁ、人間と言っていいでしょう。それよりも、早くここを離れませんか?」


 完全に臭いを遮断しつつも。


 ソルティアはやけに冷や汗を流し。

 若干、震えてすらいた。



「そだな。」


 とりあえず、女性を担いで。


 ミレイたちは、悪臭漂う浜辺から退散した。









 街道沿いまで戻り。

 木陰の下に布を敷くと、女性をそこに寝かせた。



 ミレイもキララも、服やら髪やらがべちゃべちゃであり。

 手持ちの布で、拭けるだけ拭いてみるものの。



「お二人共、非常に臭いです。」


 染み付いた臭いは、簡単には取れず。

 むしろ下手に乾いた分、また別種の臭さを醸し出していた。



「キララ、魔法でどうにかならない?」


「ちょっと、難しいかも。味や臭い、五感に干渉するのは、かなり繊細な技量が必要だから。」


 魔法に関しては、並外れた才華を持つキララであったが。

 臭いを誤魔化す魔法は、即席で再現できなかった。



「まぁ、でも。この人に息があってよかった。」


「うん! 見た所、怪我も無さそうだし。」



 2人は、未だ意識の戻らない女性に目を向ける。


 べちゃべちゃの粘液まみれで、色々と残念な事にはなっているが。

 金髪の美しい女性であることは疑いようがない。


 和服っぽい服装をしていたり。

 耳や尻尾など、猫のような特徴を持ってはいるが。



(なんと言うか、キャラが渋滞してやがる。)


 彼女がどういう人物なのか。

 ミレイには想像もできなかった。



 そうして、見つめていると。



「――う、ぅん。……ん?」


 ゆっくりと、女性が目を覚ます。



「あっ、起きたみたい!」


 それだけで、キララは嬉しそうである。




「ここは、一体。……わたしはだれ?」




「そんなっ、まさか記憶喪失!?」


 女性の言葉に、ショックを受けるキララだが。



「あっ、いや。やっぱり大丈夫そう。」


「大丈夫なんかい。」



 多少、寝ぼけてはいるものの。

 女性は何の問題もなく、意識を取り戻した。







「自分の名前は、分かります?」


「……はい。”ユリカ”と言います。」


 キララに尋ねられて。

 女性は自らの名を名乗った。


「ユリカさん、か。」


「見た所、体も平気そうですね。」


 女性、ユリカが無事であると分かり。

 ミレイたちは、とりあえず安心する。




「非常に、”臭い”ですが。」


「――えっ。」




 ソルティアの言葉に。

 ユリカは凍りついた。



「おい、女性相手に失礼だろ!」


「そうだよ! この人だって、なりたくて”こんな臭い”になったんじゃないんだよ!?」



 自分たちも、まぁ臭いため。

 ミレイとキララは、必死にユリカの肩を持つ。


 その言葉で、ユリカは更に傷ついていたが。




「……うぅ、すみません。わたし、”ケットシー”の血を引いてるから、人よりちょっと臭いかも。」



 種族的なコンプレックスがあるのか。

 ユリカは顔を真っ赤に染めて、謝罪を口にする。



「ううん、全然臭くないよ!!」



 ミレイは咄嗟にフォローするものの。


 やはり、現実を誤魔化すのは良くないと思い。




「いや、ごめん! やっぱ臭いけど、……臭いけど! タコの粘液のせいだから!!」




 しっかりと、臭いの原因を説明する。



「……うぅ。確かに、何だかベタベタするような。」



 自らの悪臭の原因を知り。

 嬉しいのか、悲しいのか。ユリカには複雑な気分だった。


 とりあえず、新しい布を渡して。

 粘液を拭いてもらうことにした。







「そもそも。なぜ怪物の死骸と一緒に、浜辺に打ち上げられていたんですか?」


「……えっと。なんでだっけ。」



 ソルティアに尋ねられて。

 ユリカは事の発端を思い返す。



「大きな船で、帝国まで向かってて。甲板で海を眺めてたら、”ドン”って強い衝撃にあって。そのまんま、海に落っこちちゃったような。」



 ユリカに思い出せるのは、その程度の記憶であり。

 海に落ちた後の事は、何一つ覚えていなかった。



「なるほど。まぁ、貴女の状況から察するに、あの巨大な怪物が、船を襲ったのでしょうね。」



「そんなっ。わたし以外に、他に生存者は居ないんですか!?」



 船には、他にも大勢の人々が乗っており。

 ユリカには、彼らの安否が気がかりだった。



「いや、それはちょっと。」


「浜辺にあったのは、怪物の死骸だけだったから。」



 船がその後どうなったのか。

 それは、ミレイ達にも知りようがなかった。



 だが、ソルティアは別の可能性を考える。



「……そもそも、心配する必要があるのでしょうか?」


「えっ?」



「貴女が、唯一の生存者ではなく。”唯一の犠牲者”と考えたほうが、しっくりくるので。」



「わたしが、唯一の犠牲者?」



「はい。怪物は明らかに、”一方的に殺された”ような姿でした。つまり船を襲ったものの、大して損害を与えられずに、逆に返り討ちにされたのかと。」



「……つまり?」




「”鈍臭い女性”が1人、運悪く海に落ちてしまったものの。船自体は、そのまま順調に航海した。という可能性も有り得ます。」




「そっかぁ。もしそうなら、逆にわたしが心配されてるかも。」



(……まぁ、下手したら。”居ないことにすら、気づかれていない”、なんてことも有り得ますが。)



 仮に、もしそうだとしたら、余りにも可哀想なので。

 ソルティアは口にはしなかった。







「そう言えば。船に乗って来たということは、ユリカさんは外国の人?」


 ミレイが疑問を口にする。



「あっ、そうなんです! 武蔵ノ国(むさしのくに)から来ました。」



「……へ?」



 武蔵ノ国。


 その、聞き覚えがあるような、無いような。

 予想外の名称に、ミレイは言葉を失う。



「東にある島国ですよ。」


 ソルティアが、武蔵ノ国について説明する。



「”侍や陰陽師”という、独自の技の使い手を抱えてまして。浮遊大陸を除けば、地上で唯一、帝国に滅ぼされなかった国です。」



「……へ、へぇ。そんな国があるんだ〜」



(もはや日本じゃないか。)


 そんな思いを、内に秘めつつ。


 非常に気になる国の存在に、ミレイはただただ驚いた。






「ユリカさんは、どの街に向かう予定だったんですか?」


 キララが尋ねる。



「一応、”帝都ヨシュア”にね。”陰陽師が大勢必要”だって話で、わたしもその内の1人なんだ。」



「へぇ、そうなんですか。」


「なら、ちょうどよかったね。」



 ミレイとキララは目を合わせる。



「うん! 実はわたしたちも、帝都に向かってる途中なんです。」


「えっ、そうなの!?」


「はい! ぜひ一緒に行きましょう!」




 目的地が同じ、ということで。

 ミレイとキララ、そしてユリカの3人は、完全に”仲良し旅行モード”へと移行する。



 だがしかし、他1名。

 ソルティアのみが、その輪から距離を置いていた。



「……あの。その前に、”臭い”をどうにかしませんか?」



 気になるのは、その一点のみ。

 だがその一点が、ソルティアには何よりも譲れない部分でもあった。



「流石に、”今のお三方”と、密着はしたくないと言いますか。」



 粘液にまみれ、乾き。


 見た目から想像もできないほど、3人は”据えた臭い”を発していた。



「いやさ。あとちょっとで町に着くんだから、我慢しようよ。」


「そうだよ! わたしたち、苦難を共にしてきた仲間でしょ!」


「……ま、まぁ。そうですが。」


 ソルティアは、思わず後ずさる。



「ものには、限度があると言いますか。」



 生まれてこの方。

 20年以上に渡って、花の香りに包まれてきたソルティアにとって。



 ”臭いにおい”というのは、何よりも耐え難い苦痛であった。



 3人に見つめられているだけで、体が拒否反応を示す程度には。



「多少、時間はかかりますが。わたしは別行動で、徒歩で町に向かおうかと。」


「そんなのダメだよ! ソルティアさんも大事な仲間なんだから、一緒にフェンリルに乗るの!」


「な、仲間だと言うのなら。わたしの要望も聞いて欲しいのですが!」




 キララもソルティアも、互いに譲れないものがあった。



 2人が、そんな不毛な言い争いをしていると。




「……ソルティア。悪く、思うなよ。」



 ミレイは己の中で覚悟を決め。


 禁じ手と定めた、”あの力”を行使する。



「はい! ちゅうもーく!」



 ミレイの声を聞き。

 ソルティアが、彼女の方を向くと。



 ミレイの瞳には、”ハートの模様”が浮かんでいた。



「――あっ。」


 気づいた時には、すでに遅く。



 ソルティアは、”蠱惑の魔眼”に魅入られる。



「……効いたのかな?」



 若干、頬が赤くなっているものの。

 それ以外の違いは、ミレイには分からなかった。



「えっと。一緒に、フェンリルに乗ってくれる?」


 魔眼で見つめながら、ミレイがお願いすると。




「――そう、ですね。心底嫌ですが、”貴女の頼み”ならしょうがないです。」




 どんな命令だとしても。



 ”心の底から愛している人”に頼まれたら、断ることなど出来ない。



 それこそが、”蠱惑の魔眼”の力であった。







 魔眼を用いて、ソルティアを”説得”し。

 ユリカを加えた一行は、フェンリルの背に乗って町を目指していた。


 フェンリルに乗る順番は。

 前から、ユリカ、ミレイ、ソルティア、キララの順番であり。


 一応、謝罪という意味を込めて。

 ミレイは、ソルティアに背中を預けていた。



「まさに、悪魔的な能力ですね。」


「……ごめん。」



 魔眼の効力を解かれたこともあり。


 ソルティアは酷く、不満げな顔をしていた。



「一応、忠告しておきますが。わたしが吐くとしたら、”貴女の頭の上”ですよ?」


「本当に、ごめんなさい!」



 二度と、仲間には使わないと。


 ミレイは固く、その胸に誓った。






「……全く。」



 臭いには、辟易としながらも。


 ソルティアは、ほんの僅かに”微笑み”。



 それでも憎めない、仲間の身体を。

 しっかりと抱き締めていた。





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