表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1日1回ガチャ無料!  作者: 相舞藻子
花の都の冒険者
19/153

灼熱の戦い





 β−Earth

 ■■■の手帳




 20XX年7月2日

 怪人軍団とかのせいで、日本はもう滅茶苦茶。

 学校も休みだし、友達と遊びたい。





 20XX年8月15日

 アメリカや中国、ヨーロッパでも大規模な戦争をしているらしい。

 避難所生活もつまんない。ほんと世紀末。





 20XX年9月11日

 安全な所なんてどこにもない。子どもたちのためにも、わたしがしっかりしなくちゃ。

 ”スカルレンジャー”が、きっと助けてくれるはず。









 機嫌よく。

 リズミカルな鼻歌が聞こえてくる。



 花の都から少し離れた、とある草原。

 そこには人の姿もなく。

 魔法やら何やら。修業をするのには、うってつけの場所であった。



 大きな木の下で、何枚ものアビリティカードを地面に広げて。

 ミレイとキララが、あーだこーだと話し合う。

 どれをどう使ったら効果的なのか。

 キララの魔法でこんな事が出来るとか。


 熱心に話し合う2人を、その師匠であるパーシヴァルが見つめている。

 木の根元に腰を落ち着かせて。

 のんきに鼻歌を奏でながら。



 ワイバーンの討伐クエストから、数日が経ち。

 こうして、彼女に様々な教えを請うのが、ミレイたちの日課になっていた。


 無論、細かなクエストもこなしつつ、ではあるが。



 そんな、和やかな雰囲気の中。

 彼女たちのもとに、1人の訪問客が訪れる。


 端正な顔立ちと、美しい黒髪ながら。常に無愛想を振りまく、ギルドの受付嬢。

 ソルティアである。


「あれ、ソルティア?」


「何の用だろう。」


 ミレイたちは疑問に思うも。


 彼女が用があるのは、彼女たちではなく。

 木の下でくつろぐ、1人の魔女。



「パーシヴァルさん、ギルドマスターからの連絡があります。」


 そう告げられ。

 ようやくかと、パーシヴァルは腰を上げる。


「それで、どうなりましたか?」



「はい、――アセアンの冒険者は、件の地でメビウス由来の魔獣と遭遇。それと交戦するも、撃破には至らず。魔獣はその後進路を変え、花の都へと進行中とのことです。」



「……なるほど、一番面倒な方向に転がりましたか。」


 そう言いつつも、魔女は微笑む。


「ギルドはこの事態を、”Aランク超え”の緊急クエストと認定しました。」



 Aランク超え。

 その単語に、ミレイたちの表情は驚きに変わる。



「引き受けて、くださいますか?」


 ソルティアの顔は真剣であり。

 対して、パーシヴァルの余裕は変わらない。


「ええ、もちろんです。元々、それが目的で来たようなものですから。」


 2人の会話は、滞り無く進んでいき。

 状況の掴めないミレイたちは、呆然と話を聞いている。


「それで、敵はどういった魔獣ですか?」


「確定ではありませんが。報告から察するに、”ブラスターゴーレム”かと。」


「……ブラスターゴーレム。あぁ、よく燃えるやつですか。」


 パーシヴァルは、そう軽々と口にするが。



「アセアンの冒険者達は、”近づくことすら”出来なかったそうです。」


 敵は、強大な魔獣である。



「優れた魔法使いとして。名の知れた貴女なら、討伐も可能ということですか?」


「ええ、もちろん。それは容易いことですが。」



 パーシヴァルは笑みを浮かべながら。

 その場にいる、もう2人の方に目を向ける。


「?」


 ミレイたちは、揃って首を傾げた。



「今回、実際に戦うのは彼女たちに任せようと思います。」



 その言葉を聞いて。


「そんなぁ!」


 ミレイは思いっきり不満を口にした。


「Aランク超え、ですよねぇ。」


 キララも、苦笑いでそう呟く。



「はい。」


 当然だと言わんばかりに、パーシヴァルは笑顔であった。



 しかしその考えに、ソルティアは顔をしかめる。


「……確かに、”4つ星の力”があれば、不可能ではないと思いますが。」


 フェンリルを用いて、ブラスターゴーレムを倒す。

 そういうことだろうと、ソルティアは予想するが。



「いいえ。お二人には条件として、”フェンリルの使用を禁止”とします。」



 パーシヴァルは、その最大の武器を取り上げた。


「ええっ、そんなぁ。」


「結構きついかも。」


 ミレイ達からは不満の声が漏れる。



「師匠命令です。これも、修行の一環と思ってください。」


「うへぇ。」



 そう、言いつつも。


 ミレイ達のの表情には”微かな自信”が滲んでおり。

 それを不安とは思っていなかった。



「これをしっかりと果たせれば。2人の実力を認めて、特別な”ご褒美”を与えましょう。」


「「ご褒美!!」」


 2人はその言葉に強く反応する。



「……よくカジノの話とかしてたよな。」


「……うん。何万ゴールドとか。」


 カミーラとパーシヴァルの話を、度々盗み聞きして。

 2人は何となく、確信していた。


 この師匠、”実はお金持ち”なのではないかと。



「「頑張ります!!」」


 それほど、お金に頓着はしないが。

 貰えるなら、”それはそれで嬉しい”ものである。



 そんな、師匠と弟子の様子を見ながらも。

 ソルティアの表情は優れない。


「……流石に、無謀ではないですか? いくら貴女の教えが良くても、数日でそこまで腕が上がるとは。」


 かつて、カミーラから教えを受けたこともあり。

 ソルティアは魔法を習得することの難しさを知っていた。


「お二人が心配ですか?」


「いえ、そうではなく。」


 あくまでも、そっけない態度をする彼女の様子を見て。


 パーシヴァルは笑みを浮かべる。


「でしたら、貴女がお二人を見ていてください。」


「……はい?」


「しっかりルールを守っていたかどうか。後で、教えて下さいね。」


「あ、いえ。そんな面倒なことを――」


 ソルティアは、断ろうとするも。



「――では、失礼します。」


 その一言を最後に。

 小さく微笑むと。


 パーシヴァルの身体が”無数の花びら”へと変化し。

 そのまま周囲に散ってしまう。



 あまりに、幻想的な魔法に。

 3人はあっけにとられた。



「……空間転移、でしょうか。」


「どうなのかなぁ。」


 多少、魔法の心得のあるソルティアとキララにも、その仕組みはまるで理解できず。



「もしくはずっと、花の塊と話してたか、だな。」


 魔法のまの字も分からないミレイは、そう適当に呟いた。


 案外、それが当たっているとは思わずに。







 3人の若き女性たちを乗せて。

 フェンリルは広大な野原を駆けていく。


 その身体能力から生み出される速度は、まさに風そのものであり。


 珍しい体験に、ソルティアも微かに楽しげであった。


「この速度なら、敵との遭遇にそれほど時間は掛からないでしょう。」


 背中に乗る順番は、前からミレイ、キララ、ソルティアの順となる。


「本当に、この魔獣抜きで戦うつもりですか?」



 フェンリルの戦闘能力は確かである。

 それ単独でも、ブラスターゴーレムと対峙できるほどに。

 だが、それ抜きで。

 こんな新人2人がAランク超えの相手に立ち向かう。

 ソルティアからしてみれば、とても正気とは思えなかった。



「まぁ、師匠にそう言われちゃったから。」


「ご褒美もあるしね〜」


 しかし2人は、その脅威を理解出来ているのか、いないのか。

 ソルティアには分からなかった。


「ブラスターゴーレムは、ろくに研究もされていない未知なる魔獣です。その生態や弱点も、未だに解明されていません。」


 淡々とした口調ながら。

 ソルティアは真剣に、2人に警告する。


「それでも確かなのは、地上に生息する魔獣とは”比べ物にならないほど強い”という事です。正直な話、ワイバーンに勝って浮かれている程度で、戦えるような相手ではありません。」


 それが、自分たちを心配しての言葉であると。

 ミレイ達にも理解っている。


「……大丈夫だよ。魔法だけじゃなくて、戦いにおける重要なことも、師匠からちゃんと教わってるから。」


 その師匠が、2人に任せると決めたのである。

 故にミレイ達は、慢心するのではなく。


 自信を持って、戦いに挑もうとしていた。



「……少なくとも、”キララは”強くなったから。」


「あはは。」



 その言葉を、本当に信じて良いのか。

 どうにも、ソルティアには判断できない。



「……はぁ。」


 深い溜め息が、風と共に消えていく。











 凄まじいほどの熱気に包まれて。

 周囲一帯に陽炎が見える。


 あらゆるものが蒸発していき。

 草花も、その命を枯らしていく。



 それは、人に対しても例外ではなく。



 ミレイ達一行は、すでに全身に汗をかきながら。

 灼熱の中で立ち尽くしていた。



「あ、あちぃ。」


「……あはは。」


 ミレイとキララはその暑さに明確な危機を感じており。


 ソルティアも黙りつつ、暑さに必死に堪えていた。



「敵が、近い証拠ですね。」


 あまりに暑すぎて。

 ソルティアの言葉に誰も反応しない。


 喋るごとに、大切な何かが失われるような気がしていた。



「ほら、来ましたよ。」


 遙か視線の彼方。



 ゆっくりと、けれども着実に。

 燃え盛るナニカが、こちらへと向かって来ている。



 一歩踏み込むごとに、大地が悲鳴を上げ。

 その恵みを奪っていく。


 大きな体は、そのものが1つの発熱器官のようで。

 ”超高温”の輝きを放っていた。



 その姿は、まるで”歩く火山”のようであり。



「……あれが、ブラスターゴーレム。」


 明確なる脅威であると、ミレイ達に告げていた。



 だが、迫りくる敵を前にしても。

 その表情は変わらない。



「――”冷やして、ズドン”かな。」


「そうだね。」


 ミレイとキララの作戦は、それだけ。


「駄目だったら、もっと冷やしてズドンで。」


「おっけー!」


 一体、なにがおっけーなのか。

 ソルティアには分からなかった。


「じゃあ、わたしは左から回り込むから、ミレイちゃんは正面からお願いね。」


「うぃ。」



 それにて作戦会議は終了であり。

 キララは走って、攻撃場所へと向かっていった。



「さて、と。」


 戦闘準備の為。

 ミレイは”2枚”のアビリティカードをその手に持つ。


 カードは2枚とも、3つ星ランク。

 1枚目は、おなじみの”パンダファイター”で。



 もう1枚は、一昨日新しく入手したカード。

 ”イルル族の大盾”である。



 その2枚のカードを、同時に具現化し。

 巨大な盾を装備した、パンダファイターが出現する。



――名付けて、”ビッグパンダガードナー”。



「頼んだぞ、パンダ。」


「ワンッ!」


 イルル族の盾は、”高い魔法耐性”を有した盾である。

 その大きさはかなりのもので。


 事実、ミレイには”重すぎて”持てなかった。


 そういった事情もあり。

 ミレイは、カードにカードを装備させるという、自分にしか出来ない戦法を取ることにした。



「……日を追うごとに、カードが増えていってますね。」


「あ、あはは。」


 ナチュラルに、複数枚のカードを使い。

 ソルティアに呆れた視線を向けられる。



「まぁ、怪我には気をつけてください。顔見知りに死なれては、流石に夢見が悪いので。」


「了解!」


 新たに展開した、”魔導式スナイパーライフル”を肩に担ぎながら。


 ミレイは、戦場へと足を踏み入れた。






「ふぅ。」


 少し場所を移し。

 ソルティアは2人の戦いを見学する。


 それなりに距離があるにもかかわらず。

 あまりの暑さに、汗が滴る。


「接近戦主体のわたしや父では、太刀打ちできなかったかも知れませんね。」


 ブラスターゴーレムの周辺は、全てが蒸発していき。

 もはや、人の活動できる領域ではない。


「お手並み、拝見です。」


 あの2人が、どうやってこの脅威に打ち勝つのか。

 ソルティアはその行く末を見届ける。







 その魔獣に、意思は在るのか。



 強烈な熱気を放ちながら。

 ブラスターゴーレムは歩み続ける。



 人を殺すのが目的なのか。

 大地を壊すのが目的なのか。


 果たしてその空虚な瞳に、目的など存在するのか。


 誰にも理解されず。

 破壊生命体は進んでいく。




――突如、鋭い音が鳴り響き。


 高威力の”魔力弾”が、ゴーレムの頭部に命中する。



 頭を吹き飛ばすことはなかったものの。

 微かに、体の一部が砕けた。



 どこからの攻撃なのか。

 それを確認する間もなく。


 続けざまに、弾丸が打ち込まれ。


 それを明確な”攻撃”であると判断し、ゴーレムは防御態勢へと入った。





「流石に硬いな。」


 地面に寝そべって。

 ミレイはライフルで、敵の身体を狙い撃つ。


 しかしながら、防御態勢に入った敵の身体は、こちらの銃弾をいとも容易く弾き返す。



「はぁ。骨が折れる。」


 溜息を吐きながら。

 ミレイは、弾を連射していく。




 だが相手も、黙って受け続けるつもりはなかった。


 ゴーレムは防御態勢を解くと、口に当たる部分にエネルギーを収束させ。




 お返しとばかりに。

 膨大な熱エネルギーを、”炎弾”として発射した。

 



「……マジか。」


 そう呟きつつ、ミレイは慌てない。


 高熱の炎弾は精確な弾道でミレイの元へと飛来するも。



 その間に、盾を構えたパンダが割って入る。


 強烈な一撃が、大盾に阻まれ。

 パンダの腕力もあり、それを完璧に防ぎ切った。




「良いぞ、パンダ。」


 敵も強大だが、こっちの力も負けていない。



「とは言え、もっとダメージを与えないとな。」


 ちまちま狙撃を繰り返しても、ブラスターゴーレムを打破することは叶わない。



 だがこちらには、”もう1人”がいる。



「――頼むぞ、キララ。」







 ミレイを敵と認識して。

 ブラスターゴーレムはその移動速度を速める。



 そんな標的に向けて。

 狙いを定める者が1人。



 純度の高い、魔力の矢が数発放たれ。

 ゴーレムの右腕部に着弾。



 一瞬にして、右腕部が”凍り”ついた。



「やっぱり、あれが発熱器官なんだ。」


 弓で狙うキララの瞳には、すでに敵の弱点が見えていた。



 敵の心臓部、両腕の根元付近に。

 特に温度の高い部分が存在していた。


 そしてそれが、あの”超高熱”の出処である。



 ブラスターゴーレムの熱は、未だ衰えず。

 全身の温度をさらに上昇させ、凍りついた部分を一瞬で解凍する。



 だが、それも予想通りであり。



 キララは高速で駆けながら。

 敵の発熱器官に向けて、次々と氷の矢を命中させていく。



 それに対し、ゴーレムも何とか反撃しようとするも。


 遠方から放たれるライフル射撃によって。

 その活動全般を阻害されてしまう。



 魔法の矢と、銃弾の雨に晒せれて。

 ゴーレムはその場で身動きが取れない。



 その変化は、着実に周囲へと広がっていき。




「……空気が、冷えていく。」


 見届人であるソルティアも、それを感じ取っていた。







 ミレイ達が、ブラスターゴーレムとの戦いを繰り広げる頃。



 花の都ジータン。

 カミーラ邸にて。



「しかし、Aランク超えの魔獣を、あの2人に任せるとはな。たった数日の修行で、そこまで腕が上がったのか?」


「いえいえ。わたしが教えたのは、ほんの基礎学程度ですよ。」



 カミーラとパーシヴァルの2人は、共に魔法を展開し。

 何らかの”アイテム”を作製していた。



「あの2人の持つポテンシャルは、想像を遥かに超えています。Aランク程度の魔獣など、その”才能のみ”で、きっと圧倒できるでしょう。」


 故にパーシヴァルは、弟子の勝利を何一つとして疑っておらず。


 今はその力のすべてを、彼女たちへの”ご褒美”へと注いでいた。







 冷え切ってしまったゴーレムの身体を、パンダが大盾でぶん殴る。


 それによって、体勢が大きく崩れ。


 キララは、大量の魔力を”1本の矢”へ練り込むと。

 それを射出。



 激しい衝撃とともに。

 ゴーレムの右腕部を完全に吹き飛ばした。



 それでも、ゴーレムは未だに活動を止めず。

 残った左腕で、地面を思いっきりぶん殴る。



 その衝撃で、近くにいたパンダが吹き飛ばされる。



 だが、その衝撃と土煙の間を縫うように。


 ”フォトンバリア”を展開したミレイが、ゴーレムへと接近。



 その手に握られた”ザザの斧”を、思いっきり振りかざす。



「――これでも、食らえ!」



 鋭い斧の一撃は、ゴーレムの心臓部へと直撃し。



 奥にある重要な何かを、打ち砕いだ。



 それが、ゴーレムの最後の生命線だったのだろう。


 空虚な瞳は、完全にその輝きを失い。


 二度と、動くことはなかった。







「「やったー!!」」



 ミレイとキララは全力で喜びを分かち合う。

 力強く抱き合ったり。


 そのまま、片方をぐるぐる振り回したり。



「……す、凄い凄い。」


 遠心力でフラフラになりながらも。

 ミレイは喜びを噛みしめる。


「こんなのまで倒しちゃうなんて。」


 自身の魔法によるものとは言え。

 キララはこの光景を、未だに信じられなかった。



「これはもう、一気に”Bランク”くらいに上がってもいいんじゃない?」



 これは素晴らしい戦果だと。

 勝ち誇るミレイであったが。




「――いえ。残念ですが、そういう制度はないので。」


 やって来たソルティアによって、その夢は打ち砕かれる。



「お二人は明日からも、”Fランク”のままです。」


「あはは。ですよねー。」


 キララは、当然のように分かっていたが。



「うぐぐ。」


 ミレイは、ランクが上がると思っていた。



「まぁ、お二人の頑張りも、最近は評判ですからね。”ランクアップ”も、そろそろ近いかと。」


 評価する立場である、ギルド側の彼女に言われて。



「はぇ〜」


「なら、嬉しいかな。」



 一歩一歩、実力もランクも上げていく。


 2人の冒険者は。


 少しずつながらも、それを実感していた。







 未だ、勝利の余韻に浸る2人を見ながら。


 ソルティアは、先程の戦いを思い出す。



(酷く、荒削りではあるけれど。確かに、太鼓判を押されるだけのことはあった。)



 連携の仕方も、魔法やアビリティカードの使い方も。

 より経験を積んでいけば、更に精度も上がるだろう。



(――もしもわたしが、あの”2人と一緒に”戦っていたら。)



 あの中に混じって、”刀を振るう自分”を想像して。

 ソルティアはすぐさま、その考えを振り払う。



(……何故、こんな気持ちに。)



 その輝きに触れたくて。


 けれども、今は”まだ”。









 β−Earth

 ■■■の手帳




 20XX年10月7日

 スカルレンジャーと怪人との戦いに巻き込まれて、1週間以上意識を失っていたらしい。

 みんな、わたしを心配してるかも。





 20XX年11月3日

 ようやく包帯が取れた。

 両足が無いのは不便だけど、みんなの分も生きなきゃ。





 20XX年12月24日

 スカルレンジャーが壊滅した。

 ”黒の帝国”を止められる者は、もうこの世界にはいない。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ