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1日1回ガチャ無料!  作者: 相舞藻子
魔法少女大戦
125/153

再来の兆し






 ミレイがこの世界に帰還して、最初の夜。

 居候先であるイーニアの家では、楽しい夕食が行われていた。




 イーニアの家に転がり込んだのは、キララ、フェイト、ソルティアの三人。

 そこにミレイとアリサも加わるのだから、合計で六人暮らしということになる。


 ”まったく、しょうがないわね”。

 そう言いつつも、イーニアはとても嬉しそうであった。





 ミレイ達全員で、大きなテーブルを囲み。

 調理などは全て、執事ロボットのバーバックが担当する。


 楽しい楽しい、みんなでのご飯。

 まるで修学旅行のような気分で、ミレイはにっこりしていた。





「……なにこれ」



 提供される料理に対し、アリサはいちいち質問を入れる。




「なんだろね」



 とは言え、ミレイも答えを知らず。自分が何を食べているのか、あまり気にせずに食べていた。




 帝都には世界中からの物品や食材が流れてくるため、ミレイも知らないものばかり。

 中には、新種の魔獣や異世界由来の食材も含まれているため、その全てを把握している者は居ない。




 慣れない食文化。

 神経質なアリサにとって、中々にハードルが高かった。


 まぁ、いいか。で済ましてしまうミレイとは、雲泥の差である。





「アリサちゃん、何が好きなの?」



 キララが尋ねる。




「そうね。ある程度、見た目が綺麗な食べ物。お寿司とか」


「それなっ」



 同じ寿司好きとして、ミレイが共鳴する。




「でた! お寿司。これだから日本人は、あんな食い物のどこが良いのよ!」



 フェイトが、なぜか理不尽な理由でキレる。





「この世界にも、お寿司あるの?」


「うん、帝都にお店があるよ。今度、連れてってあげる」



 ミレイとアリサはそんな約束を交わし。




「騒がしいわね」


「ですね」



 イーニアとソルティアは、澄まし顔で食事をする。




 そんな、温かい時間が過ぎていった。















 夜中。


 ミレイは寝る前にトイレに行き、そこで黒のカードを具現化させる。

 久々となる、トイレでの召喚である。




「……やっぱり落ち着く」



 日が変わる前に、ミレイは本日の召喚を行った。





 2つ星 『ヒエヒエドロップ』


 ちょっとした魔法が込められた青いドロップ。舐めている間、体が涼しく感じられる。





「かわいい」



 戦闘には役に立たないが、その分物騒でもない。

 何ともほっこりするカードである。






「ん?」




 カードの召喚を終えて、ミレイがトイレから出ると。

 一人、外へと向かうアリサの姿が目に入った。










 白銀のドレスを身に纏って、魔法少女アリサ☆ブレイヴが空を飛ぶ。


 地球とはまるで違う、異世界の空。

 高層ビルなどは一切存在せず。ギルド本部の上に浮かぶ塔のみが、わずかに視界に入る程度。


 夜空は何よりも美しく、それだけでこの世界へ来た価値があった。




 誰にも邪魔されずに、アリサが優雅に飛行を続けていると。




「やっほ〜」




 のんきな声の持ち主、ミレイが側にやってくる。

 見たことのない、機械の翼を背中につけて。




「なにそれ」


「飛行用アビリティカード、フォトンギアだよ」


「ほんと、いっぱいあるのね」




 というより、毎日増えていた。







「……どうして空に?」


「特に、理由はないわ」




 くるくると、アリサは空に舞う。




「今までは、自由に飛ぶことなんてなかったから」




 今までアリサが魔法少女になるのは、戦うためだった。


 のんきに飛んでいる暇など無く、いつも熾烈な戦いばかり。

 そもそも、魔法が認知されていない世界なので、人に見られるわけにもいかない。


 しかし、この世界なら問題ない。魔法少女だからといって、喧嘩をふっかけてくる者もいなければ。たとえ飛ぶのを見られても、何の問題もない。

 空を飛べる人間は、それほど珍しくないのだから。




「……確かに、そうかも」




 ミレイも空を飛ぶのは好きだった。

 あらゆるものから解放されて、何よりも自由に、ただひたすらに空を飛ぶ。





 これほど、贅沢な事があるだろうか。



 こんな幸福が、ずっと続けばいいのに。










◆◇










『あんた、仕事しないの?』




 朝一、フェイトから衝撃的な一言を言われて。

 ミレイは冒険者ギルドへとやってきた。




 別に、働けと催促されたわけではない。

 ミレイはキララと共有財産なので、お金の面では心配ない。


 しかし、色々な事情が重なった結果、クエストをこなす頻度が落ちているのも事実であり。

 ミレイだけが、Eランク冒険者のままであった。




 そんなわけで、ミレイはクエストを求めて冒険者ギルドへ。


 いつも通りキララも一緒に。

 そして、初心者のアリサも連れてきた。





「キララって、今ランクは?」


「Bランクだよ〜」


「あなた達、先輩後輩なのね」


「……いや、同期なんだけど」




 ミレイとキララでは、”手際の良さ”が違う。




「三人でやるなら、難しくて報酬の高い依頼にしよっか」


「ミレイちゃん、大丈夫?」


「もっちろん」




 キララに加え、アリサも居るのだから。

 相手がドラゴンだろうと、怖いものなしである。




 ミレイたちは、貼られた依頼票を見ていく。




「……色々、あるのね」



 とは言え、アリサには別の問題があった。




「これは、なんて書いてあるの?」


「えーっと、不死身の悪魔を殺してください、だって。燃やしても、首をはねても倒せません」


「じゃあ、こっちは?」


「いつの間にか、見たことのない不思議な町が現れました。得体が知れないので、調査をお願いします」


「そう」



 すらすらと依頼票を読むミレイに、アリサは感心する。




「ミレイって、この世界に来てどれくらい経つの?」


「んー。二、三ヶ月くらいかな」


「それで文字が読めるなんて。あなた、案外頭が良いのね」


「……まぁね」




 最初から、何故か読めていました。

 この話をするのは、一体何度目だろうか。




「言語には強いから!」



 そうやって、見栄を張るミレイであったが。




「……」



 アリサは直感で嘘が分かるので、何とも残念そうな顔をしていた。








 その後、三人で色々と話し合った結果。

 ”不思議な街の調査依頼”を受けることに。




「あー、これね。なんか面倒そうな依頼だから、あなた達がやるなら助かるわ」



 一番窓口で、サーシャに手続きをしてもらう。




「分かってると思うけど。”本戦”は来週だから、それまでには帰ってきなさいよ」


「分かってま〜す」





 ミレイは留守にしていたので、その後の展開を知らなかったのだが。

 帝都最強決定戦の予選は、キララと九条瞳が勝ち上がった。



 そして来週、世界中の都市から集まった猛者による、真の帝都最強決定戦が開催される。





「あぁ、そう言えば。ちょっとサフラの手を借りていいかしら」


「あっ、はい」




 サーシャの頼みを受けて、ミレイの体から”白い触手”が出現。

 彼女の魔水晶にまとわりつく。




「いくつかデータが破損してるのよ。上手く修復できそう?」


『やってみよう』




 サフラが魔水晶を操作する。

 彼女たちの間では、それほど珍しい光景でもないのだが。




 その衝撃的なビジュアルに、アリサは絶句していた。










◆◇










 β−Earth

 ■■■の手帳





 20XX年3月15日


 ザイードから話を聞いた。不思議な門を潜ることで、異世界へと行けるらしい。

 それが本当なら、行ってみたいな。もうこの世界に、人間が暮らせる領域は残ってないから。





 20XX年4月8日


 隊長クラスの怪人と遭遇。ザイードとの連携で、難なく撃破できた。

 彼のように、人の味方をしてくれる怪人がもっといればいいのに。





 20XX年4月10日


 ザイードの話によると、異世界にはパンドラ=ゲノムの適合者がいるみたい。

 もしもそれが本当なら、まだ希望は残ってる。






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― 新着の感想 ―
[一言] 日記あったなーって思いながら内容忘れてたので見返してきました。 ザイード完全に味方ポジに落ち着いてますね。そして気になるのが、日記を書いてる人の名前が明かされてないこと。名前を隠すのはもしか…
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