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1日1回ガチャ無料!  作者: 相舞藻子
魔法少女大戦
119/153

湖に墜つ






「ここはわたしに任せて、先に行って!」




 成長し、白銀の鎧を身に纏ったミレイが、たった一人で敵と対峙する。

 とはいえ、敵は三人の伝説級魔法少女。どう考えても、ミレイが太刀打ちできる相手ではない。




「いくら何でも、無謀だと思うけど」


「いいから、早く!」



 しかし、ミレイは譲らなかった。




「……」



 ここで言い争っても仕方がないため。

 アリサは観念して、単独で女王の城を目指すことに。




 三人の魔法少女を避けて、アリサは城へと一直線に飛んでいく。

 だが、それを見逃すような相手ではない。




「行かせるとでも?」



 風の魔法少女、フレイヤ☆オーバーループが飛翔し、圧倒的な速度でアリサに追いつく。

 そのまま、攻撃を加えようとするも。


 それを”上回る速度”で、ミレイがフレイヤに接近。




「なっ」


「ごめん!」




 魔力のこもった拳で、フレイヤをぶん殴る。


 背後から思いっきり殴られ。

 フレイヤは反応すら出来ず、そのまま湖へと落下。


 激しい水しぶきが発生した。




 その一部始終を横目に見て、アリサはミレイの持つ力を認識する。




「わたしが戻るまで、持ちこたえて」


「むしろ、倒すつもりで頑張るよ」




 ここはミレイに任せて、アリサは城へと向かった。






「――まったく、だらしがない」



 伝説級魔法少女の一人。

 炎の魔法少女、レジーナ☆ネイバスター。


 様子見をしていた彼女であったが。

 飛んでいくアリサに向けて手をかざし、そこにエネルギーを溜めていく。



 だが、それを見たミレイが、光の翼を全開に急接近。

 溜めたエネルギーを放出する前に、レジーナを蹴り飛ばした。




「くっ」



 ミレイに蹴り飛ばされながらも、レジーナは空中で姿勢を立て直す。

 確かに、スピードでは魔法少女を圧倒するものの、ミレイの攻撃力はさほど高くはない。




「思ったよりも、やりますわね」



 湖に落とされたフレイヤも、ほぼ無傷で浮上してくる。





「――お二方。まずは、このイレギュラーを捕らえましょう」



 三人目の魔法少女。

 カティ☆メテオールも、ミレイを敵と認識した。





 伝説級魔法少女が三人、ミレイと対峙する。





 ミーティアと融合したことで手に入れた、圧倒的なスピード。

 これを駆使して、相手を翻弄しようとするミレイであったが。


 ”重力使い”、カティが手をかざすと。




「ぐっ!?」



 唐突に、ミレイの体に猛烈な重力がかかり、そのまま湖へと突き落とされる。

 伝説の魔法少女、その力は伊達ではない。




「ちょっと、カティさん?」


「こっちにも効いてるぞ」


「……すみません、上手く加減が出来ないもので」




 しかし、その力の制御は難しいらしく。カティの高重力攻撃は、仲間の二人にも影響を与えていた。

 同格の魔法少女でなければ、きっと彼女たちも湖に落とされていたであろう。



 重力に引っ張られ、ミレイは湖の底へと落ちていく。

 しかし、そう簡単には負けられない。


 光の翼をフルパワーで展開し。

 圧倒的な推力をもってして、湖から浮上。



 そしてそのまま、空へと飛翔する。




「重力を弱めてください! これでは追えませんわ」


「……しょうがないですね」




 カティは、渋々能力を解除。

 するとフレイヤは風を纏い、ミレイを追いかけた。




 ミレイとフレイヤ。

 以前遭遇した時には、フレイヤは圧倒的な速度でミーティアに追いつき、ミレイたちを手玉に取っていた。


 しかし、憑依融合を行うことにより、ミレイとミーティアの持つ力は”より高次元”へと昇華。


 光の翼によって生み出される速度は、フレイヤの追従を許さない。




「……確かに、トップスピードでは負けますが」



 とはいえ、フレイヤも負けっぱなしではいられず。

 鋭い風の刃を形成し、それをミレイに向かって解き放つ。




「ッ」



 まるで銃弾のように、無数の風の刃が襲ってくるも。

 研ぎ澄まされた感覚をもって、ミレイはその全てを回避する。



 伝説の魔法少女を、華麗に翻弄していた。

 しかし、敵は一人ではない。



 飛び回るミレイを見上げながら、レジーナはその手に膨大なエネルギーをチャージ。

 そのエネルギーを、一気に解放すると。




「――落ちろ」



 竜王の一撃に等しい、強力な”破壊光線”を発射した。




「なっ」



 放たれた光線を、ミレイは紙一重で回避する。




 凄まじい光線の威力によって、雲には大穴が空いていた。




(……当たったら、死んでまう)



 敵の攻撃力に、ミレイは戦慄する。





 風の魔法少女、フレイヤと。

 炎の魔法少女、レジーナ。


 4つ星との憑依融合を果たしても、一切油断の出来ない強者であった。



 そして、敵はもう一人。




「――引っ張ります」



 重力使い、カティが手をかざすと。




「うっ」



 彼女の元へと、ミレイの体が引っ張られる。



 光の翼の出力なら、それに抗うことが出来るも。

 結果として、ミレイは空中で身動きが取れなくなってしまう。




「止まっていれば、単なる的だな」




 炎の魔法少女、レジーナが破壊光線の第二射を放つ。

 完全に、ミレイへの直撃コースであり。




「ッ」



 命の危機を感じ、ミレイは咄嗟に”サンドボックス”を起動。

 大量の砂を盾にすることで、光線の威力を殺した。




 しかし、抑えきれなかった爆発に吹き飛ばされ、ミレイは湖へと落下していく。




(……やっぱ、無理かも)




 アリサに対して、カッコよく見栄を張ったものの。

 三対一でボコボコにされ、ミレイは涙目になっていた。

















 ミレイが三人の伝説級魔法少女と戦ってる頃、女王の城では。

 城にいる大量の魔法少女を相手に、アリサが一騎当千の大暴れをしていた。




――きゃあああ!




 研ぎ澄まされた剣に、並の魔法少女では太刀打ちできず。

 悲鳴を上げながら、次々と倒されていく。



 たった一人のために、城にいる全ての魔法少女が集まってくる。

 しかし、アリサは負けられない。



 伝説の魔法少女と比べれば、その他の魔法少女など有象無象に過ぎず。

 ブレイヴより強いAランク魔法少女が相手でも、アリサには関係なかった。




『ステッキの保管場所は、城の地下研究所にあるわ』



 モニカに教えてもらった情報を頼りに、城の地下を目指していく。






 その頃、玉座の間では。




「――女王陛下、敵が城内に侵入しました!」



 妖精界の新たなる支配者、”女王レイシー”が襲撃の報告を受けていた。




 本来であれば、玉座には正しい女王が座っているはずである。

 だが今、そこに君臨するのは、”魔法少女の王”だった。




「敵の数は一人。おそらくは、研究所を目指していると思われます」




 部下の魔法少女から報告を受けながらも、レイシーはまったくもって動じない。

 まるで、全てが”予想通り”であるかのように。




「……悲しいものね」



 ただ、哀れみを口にするのみ。






 そんな事など、つゆ知らず。


 天井を力ずくで突き破って、アリサは地下の研究所へとやって来た。




「ふぅ」



 無理やりな突撃をしたせいで、白銀のドレスはかなりの損傷を受けている。




 城の地下にある研究所。そこは明らかに、他とは雰囲気が違っていた。

 ファンタジーの世界から、急にSFの世界にやって来たかのように。人間界でもお目にかかれないような、ハイテクな電子機器で溢れている。




「はわわっ」



 この研究所のスタッフだろうか。一人の妖精が、アリサを見て後ずさる。




「伝説のステッキは、どこに保管してるの?」


「ふぎゅ」



 妖精を掴み上げて、アリサは彼を尋問する。




「し、知りません」


「嘘、ここにあるはずでしょう!」




 この戦いに勝つためには、こちらも伝説級のステッキを手に入れる必要がある。

 そのために、アリサは珍しく声を荒らげていた。




「ほんとに知らないんですぅ」




 しかし、妖精からは何も情報を聞き出せず。

 仕方がないので、アリサは自力で杖を探すことに。




「……一体どこに」



 この場所でステッキを管理しているのは確かなようで、関係のないステッキは大量に出てくる。

 けれども、お目当ての伝説級ステッキは見当たらない。




「早くしないと」



 こうやって探している間も、城の外ではミレイが戦っているはず。

 そんな彼女の頑張りを無駄にしないためにも、どうしてもステッキを手に入れる必要があった。




 しかし、いくら探しても伝説級のステッキは見当たらず。


 アリサが焦っていると。





「――残念。あれはもう”破壊”したのよ」





 研究所に、一人の少女がやって来る。




「こんな風に、万が一があったら困るもの」




 倒すべき敵にして、魔法少女たちの王。

 伝説の魔法少女、レイシーが現れた。















 空から飛来する”隕石群”と、地上から発射される”破壊光線”。

 そして、後ろから追尾してくる”風の刃”を避けながら。



 傷だらけのミレイは、まだ何とか戦いを続けていた。




「ッ」



 しかし、いくら速度で勝っていても、三対一では分が悪く。

 敵の猛攻を前に、ミレイの集中力もすり減っていく。





「うぐっ」



 そしてついに、破壊光線の直撃を受けてしまった。





 光の翼が消失し、ミレイは湖へと落下していく。

 もはや彼女に、体勢を立て直す余裕は残っておらず。



 そのまま湖に着水し、激しい水しぶきが舞い上がった。





 水面の光を見つめながら、ミレイは湖の底へと沈んでいく。

 力なく伸ばされた手では、何も掴むことは出来ない。




 ミーティアとの憑依融合が解除され。

 ミレイは、元の小さな姿へ戻ってしまう。




 そんな彼女を助けるために、傷だらけになったミーティアが具現化。

 ミレイの体を背負って、水面へと持ち上げていく。




 そのさなか、





――待って、ミレイちゃーん!!





 思えばなぜ、こんな事になったのか。

 ミレイは全てを思い出した。






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