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戦姫戦国ぶらり旅  作者: リューク
3/6

香織隊にご厄介?






城に向かう道中、香織は沙羅の意図がいまだに理解できず、困惑していた。



香織「殿、一体何を考えておありですか?あんな妙な者供を殿の配下にするなど...」



沙羅「なに、あれだけの人数の山賊を2人で倒せるものなどそうはいない。味方にして損は無いだろうと思ってな。それに、あの者らは何か異質な物を感じるのだ」



香織「異質?それは一体?」



沙羅「それは我にもわからん。だからこそ我は引き入れたのだ。あの者らから感じる物がどのような物なのかをな」



頬笑みながらそう言った沙羅はどこか目を輝かせていた。香織はそんな自分の殿様を見てさらに困惑を深めるのだった。















数刻後、2人は無事に沙羅の城、尾張城に着いた。前の集団に遅れることなくついてきたことに関しては沙羅だけでなく香織にも驚かれたらしい。



沙羅「貴様らをどの隊に入れるかは後日改めて伝える故、今日は貴様らが住む家を案内させよう。では香織、2人を任せた」



香織「はっ」



香織にそう命じた沙羅は他の兵たちを連れて、そのまま城に向かって馬を走らせていった。残ったのは湊、海、香織の3人だった。



香織「ではお二方、私に付いてきてください。ご案内致します故」



湊「へ〜い」



海「わかりました」




香織を先導とし、2人がこれから住むであろう家に向かって馬を走らせた3人だった。











香織「こちらになります」




馬を走らせ、着いたのは一軒の空き家だった。外見は少し古びていて歴史感ある感じなのだが、その反面、周りは静かで心が落ち着きそうな家だった。これが先ほど沙羅が言った、『昼寝に最適な家』なのだろう。確かにこれだけ静かならば、昼寝もしやすいだろう。



海「思ったよりも広そうでよかった。あの、水とかはどこで確保を?」



香織「近くに井戸がありますのでそちらをお使いください」



海「わかりました」



それからいくつか家のことについて聞いた2人は香織にお礼を言い、中に入ってみた。中は畳み10畳と言ったところで、2人で暮らすには充分な広さだった。



香織「では、私はそろそろ戻ります。明朝、改めてお伺い致します故。よろしくお願い致します」



湊「うんわかった。でさ、おねーさん何て言うの?」



香織「これは失礼を。私は丹羽五郎左衛門尉香織長秀と申します。殿の重臣を務めさせて貰っております」



海「(丹羽長秀まで女......)わかりました。では......」



湊「香織さんで良いよね?なんか名前めちゃくちゃ長かったし」



海「お兄ちゃん失礼だって!」



相変わらずの湊に少し困惑していた香織だったが、気にせずに言葉を続けた。



香織「私どもとしましては、まだ貴方方を信用できるとは思っていません。いくら殿が良いと言ってもです。もし何か妙なことをした場合は......ご覚悟を」



海「...っ」



その一瞬だけ、香織から凄まじい殺気が漏れ出た。その威圧感に海は思わず身構えていた。だが、そんな殺気を放たれても湊は...。



湊「はいはーい。気をつけまーす!じゃ、明日ね」



いつもの調子で軽く返答し、家の中に戻っていった。そんな湊に従うように、海も軽く頭を下げて家の中に戻っていった。残された香織は、自分の出した殺気に眉一つ動かさないで耐えた湊に少し興味を持っていた。



香織「殺気を感じないただの鈍感か......あるいは......」



そんなことを考えながら、香織はその場を後にするのだった。
















翌日、2人は迎えに来た香織とともに沙羅から伝えられた隊に足を運んだ。と言っても......。




香織「(まさか私の隊に加わらせるなんて......殿は一体何を考えて?)」




そう。湊と海は沙羅の重臣、香織の所有する隊、通称”香織隊”に加わることになったのだ。身分はもちろん足軽としてだ。いまだに香織は沙羅の考えができずにいたが、そのうち、これからの戦で2人の実力を測るために沙羅が信頼を寄せる香織の隊に加入させたのではないかという考えに至った。




湊「俺らこれから何するの?」




香織「私の隊がいる更地に行きます。それからあなた方2人のことを紹介しようと考えています」




海「は〜紹介か......。なんか緊張しちゃうな〜......」




香織「大丈夫ですよ。みな良い者ばかりですから。それよりも急ぎましょう!皆を待たせていますから!」




そう言い放った香織は馬を走らせるスピードを少し上げ、目的の場所に向かった。2人もそんな香織の後に続き、馬を走らせた。













着いた場所は香織の言った通り何もない更地だった。その中におよそ1000人ほどの香織隊の兵たちが隊列を組んで立っていた。




香織「皆さん、お待たせしました!こちらが昨日お話ししました。お二方です。では、お二方......」




海「は、はい!えっと......今日からこの香織隊に加入することになりました、椎名海と言います。よろしくお願いします!」




少し緊張気味だがしっかりと最後まで言い切った海。そんな海を見る兵たちの目はどこか訝しげだった。




湊「椎名湊。一応この隊でお世話になることになったからみんなよろしくね〜」




そして、湊の自己紹介に関しては、訝しげな目は鳴りを潜めたが、代わりに憤怒の怒りのような目に移り変わっていた。




海「お兄ちゃん......」




香織「......ありがとうございます。そんなわけですので今後はこのお二方にも加わっていただきますのでどうかーーー」



?「暫しまたれい!!」




香織が言い切るよりも前に一人の足軽大将が声をあげた。




足軽大将「無礼をお許しを。ですがこのようなわけも分からぬような、ましてや礼儀の基本もなってないような輩と共に戦さ場出るのは我慢なりませぬ!」



その言葉に何人かの足軽たちも首を縦に振っていた。礼儀に基本もなってないという輩というのは湊のことであろう。



湊「ふ〜ん?それって誰のこと?」




足軽大将「貴様以外に誰がおる!!」




湊「え〜、だって礼儀とかめんどいし、みんなで楽しくやれればそれでいいでしょ?そーゆー固っ苦しいの嫌いなんだよね〜」




その言葉に香織を含めたその場にいる香織隊全員がまるで獣のように鋭い視線を湊に向けていた。




足軽大将「〜〜〜〜!!もう我慢ならぬ!!香織様!この者は我らに仇なすものと判断した故、手打ちにさせてもらいまする!!」



香織「待ちなさい!お二方は殿の命によりここに配属となりました。ここで手打ちにすればどのようなーーー」




足軽大将「我らのことを侮辱したことに至っては断じて許せませぬ!殿の命に背こうとも、今この場で貴様らを......討つ!!」




そう言いながら、腰にかけてあった刀を抜いたその足軽大将はそのまま2人に向かって斬りかかってきた。それを見た湊は海を庇うように前に出た。そして竹刀を構えた。




香織「おやめに!!ここで怪我などされては殿に申し開きが......」




海「大丈夫ですよ。お兄ちゃんに任せてあげてください...」




海はどこか安心したような口調でそう言った。




湊「そんな一直線で来ちゃって〜、隙だらけっと!」




湊は振り下ろされた刀を軽くヒョイっとかわし、その隙に相手の懐に入り込み、鳩尾に一発加えた。戦ではないため、鎧を着ていなかったこともあって、足軽大将はその場に崩れ落ちた。




湊「全く〜、いきなり何すんだよ〜」




そして竹刀を懐に戻し、香織の元に戻って来たときにはいつもの湊に戻っていた。




香織「(あの方(足軽大将)は我が隊でも指折りの実力者......。それをたったの一撃で......)」




そして、湊を見つめる香織の目は、何処か前の時よりもさらに輝いて見えていた。





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